近年さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めているグランピング。なんとなく言葉を聞いたことはあっても、詳細な意味までは知らない人も多いでしょう。

本記事ではグランピングについて、意味や歴史、キャンプとの違いを解説。あわせてグランピングの魅力や注意点なども紹介します。グランピングに関する知識を深めていきましょう。

  • グランピングの基礎知識を詳しくまとめました

    グランピングの基礎知識を詳しくまとめました

グランピングとは

まずはグランピングの言葉の意味や定義など、基礎的な情報への理解を深めましょう。

グランピングの意味は

グランピングとは「魅力的なキャンプ」のこと。言葉自体は「魅力的」を意味する「Glamorous(グラマラス)」と、「Camping(キャンピング)」からなる造語です。テント設営などの手間がなく、キャンプ道具がなくても楽しめる、自然の中での体験を意味します。

海外でのグランピングの歴史

ここ数年で人気となったグランピングですが、実はルーツは1100年代のモンゴルと考えられています。モンゴルに住む遊牧民はテントで生活しており、居住地を変える際はテントを畳んで別の場所に移動。次の居住地が決まったら再びテントを広げて暮らす、といった生活スタイルがグランピングの原点とされています。

グランピングが遊牧民の暮らしから今のスタイルへと近づいたのは、1800年代後半から1900年代。イギリスやフランス、イタリアなどのヨーロッパ貴族が、当時の植民地であるアフリカに赴くようになりました。その際、有名ブランドのトランクに豪華なインテリアや洋服を積み込み、宮殿のような空間をテント内に再現していたそうです。

1960年から1970年代になると、観光客をターゲットにしたロッジが次々と誕生。2000年代初めには富裕層向けのサファリロッジが作られ、「ラグジュアリーキャンプ」という言葉も生まれました。

さらに、「グランピング」という言葉が誕生したのは2005年のイギリスといわれています。豪華絢爛(けんらん)な雰囲気というよりは、素朴で豊かな自然が感じられるような宿泊施設が多いことが特徴的です。

日本でのグランピングの歴史

日本でも2000年代からすでに、グランピングに似たアクティビティに取り組む事業者は一定数ありました。そして2010年ごろになると、徐々に海外から日本にグランピングの言葉や情報が浸透し始めます。

その後、日本においてグランピングが広く知れ渡ったのは2015年。大手リゾート運営会社が開業した施設の名前に「グランピング」と入れたことがきっかけでした。これを機にメディアはグランピングに着目。近年では、コロナ禍でも人と接触せずに楽しめるなどの特徴も影響し、今日のブームへと至ります。

グランピングの定義

一般的なグランピングの定義は以下の通りです。

・自然を感じられること
・魅力的なサービスや体験ができること
・誰でも気軽にキャンプが楽しめること

重たい荷物やテント設営などの技術、暑すぎたり寒すぎたりといった不便さを抜きに、ホテルのようなサービスとともに誰もが快適に過ごせること。これこそがグランピングと呼ぶにふさわしいポイントといえるでしょう。澄んだ空気や風で揺れる葉の音、鳥の鳴き声などを五感で楽しみ、キャンプの魅力を味わいましょう。

  • 大自然の中で体験できる、気軽かつ魅力的なキャンプを指します

    グランピングとは大自然の中で体験できる、気軽かつ魅力的なキャンプを指します

グランピングとキャンプの違い

グランピングはキャンプの一種ではありますが、準備や宿泊環境などさまざまな点に違いが見られます。

キャンプ道具や食材が不要

グランピングとキャンプの大きな違いは、寝袋やタープ、テントなど従来のキャンプ道具を用意する必要がない点です。宿泊用品はリゾート施設が用意してくれるため、グランピングを楽しむ側の負担は大きく軽減されます。

またキャンプでは食材の調達から調理、後片付けまでも自分たちが担う必要がありました。しかしグランピングは、ほとんどの施設で食材と調理グッズを準備してくれるのが特徴。食事スタイルをバーベキューとレストランから選べる施設もあります。

設営準備なしで手軽

グランピングではテントの持ち込みはもちろん、テントの設営も施設におまかせ。設営手順をあらかじめ確認する必要がないため、思い立ったときにすぐグランピングが楽しめます。

環境が整っている

浴室やお手洗いを完備している施設があることも、グランピングならではの特徴。冷暖房完備の施設であれば、夏も冬の寒い時期も快適に過ごせます。

  • ホテルに似た心地いい空間と自然の共存がグランピングの特徴です

    ホテルに似た心地いい空間と自然の共存がグランピングの特徴です

グランピングの魅力

グランピングは今や多くの人が体験している人気レジャーの一つ。では人々はグランピングのどこに引かれるのでしょうか。

基本的に手ぶらOK

前述のように、グランピングは道具の準備が不要であることが魅力です。事前にテントや料理用品、アウトドアチェアなどを買いそろえるのは非常に手間がかかるものです。楽しみたいと思ったときにすぐ行動に移せるのがグランピングのメリットといえるでしょう。

初心者も気軽に楽しめる

テントの設営からたき火の準備まで、予備知識や経験がなくてもグランピングなら問題なし。宿泊に必要な設備が整っているので、アウトドア初心者や、力仕事に自信のない女性だけでも存分にグランピングを楽しめます。

くつろぐ時間がたくさんあり日帰りもOK

通常のキャンプだと、買い出しをしたり、暗くなる前にテントの設営をしたり、まき割りや夕飯の準備をしたりと、意外とやることがたくさん。グランピングの場合は到着後すぐにくつろぐことができます。そのため日帰りでも十分楽しめるでしょう。

雰囲気がおしゃれ

ホテルさながらのスタイリッシュなお部屋に宿泊できるのもグランピング施設のいいところ。ナチュラルな雰囲気のログハウスや屋外の景色が楽しめる大型テントなど、心躍る空間が多く存在します。

アクティビティが豊富

グランピング施設では、豊かな自然を体感できるアクティビティが用意されていることが多いです。内容はシーカヤックや乗馬、釣り体験などグランピング施設によってさまざま。普段の生活では体験しづらい貴重な経験もグランピングなら可能です。

ペットと宿泊できる

現在増加傾向にあるのがペット同伴OKのグランピング施設です。ペット用の屋外テントやプライベートタイプのドッグランと、ペットも快適に過ごせる工夫がされています。中にはペットと同じお部屋で過ごせるグランピング施設もあり、室内犬との旅行も安心です。

  • 誰でも気軽におしゃれなキャンプとアクティビティを満喫できる点が魅力

    誰でも気軽におしゃれなキャンプとアクティビティを満喫できる点が魅力

グランピング施設の種類

グランピング施設にはキャビンやテントを含め、あわせて5つのタイプがあります。施設ごとに宿泊スタイルが違うのでチェックしておきましょう。各施設の一般的な特徴を記します。

テント

グランピング施設のテントは通常のキャンプで使用するものと違い、通常、冷暖房やベッドが完備されています。室内は広々としており、5~6人で利用しても十分な広さのものが多いです。浴室やお手洗いは共有が多いものの、個室にシャワーを設けていることもあります。

テントは周囲の音が室内に漏れ聞こえやすい分、グランピング施設の中で一番自然を感じやすいのがメリット。テントでの寝泊まりに憧れるアウトドア初心者にも適しているでしょう。

キャビン

キャビンとは木造小屋のことを指し、強度が高く悪天候でも安心して宿泊できます。多くが1部屋のみで、ほかのタイプよりもこぢんまりとした印象です。基本的に浴室とお手洗いは共有ですが、プライベートスペースに設置されているケースもあります。シンプルな内装で宿泊費用が比較的安いことが特徴です。

コテージ・ヴィラ

コテージとは一戸建て住宅に似た小屋のこと。ヴィラと呼ぶこともあります。室内は複数のお部屋に分かれており、キッチンやベッド、空調など充実した設備が魅力的。浴室とお手洗いも設けられているほか、庭ではバーベキューも可能です。

コテージはプライベート空間で過ごしたい人やアウトドアに慣れていない人に適したタイプ。小さな子供を連れての家族旅行にも安心です。

トレーラー

トレーラーはキャンピングカーに泊まるスタイルのこと。コテージよりコンパクトなサイズ感ながら、設備の違いはほとんどないのが特徴です。頑丈で悪天候にも強く、安全・安心にキャンプを楽しめます。

ツリーハウス

ツリーハウスとは木の上に建てられた小屋のこと。小屋までは階段を上るのが基本で、数ある宿泊スタイルの中でも唯一高い場所からの景色が楽しめます。

  • 理想のキャンプスタイルに合うグランピング施設を選ぶことが大切です

    理想のキャンプスタイルに合うグランピング施設を選ぶことが大切です

グランピングを楽しむときの注意点

存分にグランピングを楽しむためには、グランピング施設を選ぶときに気をつけておきたい点があります。

水回り設備の充実度

たとえおしゃれな建物で充実したサービスでも、水回りが清潔でなければグランピングの魅力も半減するでしょう。浴室やお手洗いといった衛生面は、可能な限り事前にクチコミなどで確認するようにしてください。

浴室とお手洗いの設置方法もグランピング施設ごとに違うもの。共有タイプか個別配置かチェックしておくといいでしょう。

アクティビティの種類

大自然を感じながら遊べるアクティビティはグランピングの醍醐味(だいごみ)ともいえます。グランピング施設ごとに満喫できるアクティビティの種類が違うため、予約前に確認しておきましょう。

電源の有無

日常的にスマホを使用することが多いからこそ、電源の存在は気になるところ。テントでも電源を備えているケースが多いものの、予約時に確認すると安心でしょう。Wi-Fi完備の施設であれば、ワーケーションにもいいですね。

ペット同伴可否

ペットと一緒にグランピングを楽しみたい人は、ペット同伴可否の確認が必須です。犬用テントや食器などペット用品の充実度、ドッグランの有無やノーリードがOKな範囲などもチェックしておくといいでしょう。

初めての人は日帰りグランピング

グランピングには宿泊スタイルと日帰りスタイル、2種類の楽しみ方があります。日帰りであればお試し感覚でグランピングを体験できるので、初心者も満喫しやすいでしょう。

  • 気になる点は事前に確認し、グランピングを満喫しましょう

    気になる点は事前に確認し、グランピングを満喫しましょう

グランピングの楽しみ方(一泊二日の場合)

それではグランピングの一般的な流れ、楽しみ方をご紹介します。

14:00~15:00ごろ

チェックイン。チェックイン後はテント設営などの必要がないので、すぐにリラックスできます。散策やアクティビティをしてもいいでしょう。

夕方

夕食はバーベキューが人気。セットが届くので、好きなタイミングで楽しみながら夕食を。通常のキャンプだと重たい食材やお酒を運ばなければなりませんが、施設側が用意してくれるので楽ちんです。

夕食後

星空観賞や収穫体験、火起こし体験、そしてキャンドル作りといった手作り体験など、さまざまなイベントが用意されている場合も。

バスタイム

お風呂は、シャワールームが備え付けられている場合、共用の施設を予約してその時間帯は貸し切りで使える場合など、施設によりさまざまです。

温泉があるグランピング施設も人気で、部屋に専用の露天風呂がついているタイプなどもあります。また最近ではテントサウナつきの施設なども。

就寝

グランピングの場合は寒すぎて眠れない、暑すぎて寝苦しいなどの心配をしなくても大丈夫です。快適な空間、寝具でゆっくりと休みましょう。

翌朝8:00ごろ

ハンバーガーやホットサンド、スキレット入りのハムエッグなど、用意されたセットを使い朝食を調理します。その他、ビュッフェ形式がとられている施設も多くあります。

10:00~11:00ごろ

チェックアウト。通常のキャンプと異なり、テントの片付けなどが不要なので、朝もゆとりをもって過ごすことができるでしょう。キャンプより荷物が少なく身軽なので、チェックアウト後は周辺の観光をしてもいいですね。

グランピングで思い思いのキャンプを楽しもう

グランピングの意味は、魅力的なキャンプのこと。グラマラス(Glamorous)とキャンピング(Camping)を掛け合わせて生まれた造語です。言葉自体は2000年代に誕生したものの、起源は1100年代のモンゴルといわれています。

キャンプと異なり、グランピングはキャンプ道具不要でテントを設営する必要もありません。キャンプ初心者でも楽しみやすいことから、今では多くの人々が気軽にグランピングを満喫しています。

宿泊スタイルはテントやコテージ、キャビンなど施設によってさまざま。アクティビティの種類と水回り設備も宿泊施設ごとに違うので、事前確認を怠らないよう注意しましょう。