JR東日本は、山手線の営業列車で自動運転をめざした実証運転を2022年10月頃から2カ月程度実施し、性能の確認や知見の蓄積を行うと発表した。
JR東日本では、ドライバレス運転の実現のため、ATO(自動列車運転装置)の開発を進めており、自動運転導入に向け、2018年度から山手線で終電後の時間帯に試験を行ったほか、2022年2月に営業時間帯での試験を行い、前後に列車が走行している環境で自動運転に必要な運転機能、乗り心地、省エネ性能などの確認を行っている。
2022年10月頃から、乗客が乗っている営業列車での自動運転をめざした実証運転を2カ月程度行い、加速・惰行・減速等の自動運転に必要な運転機能、乗り心地、省エネ性能などの確認や知見の蓄積を行う。実証運転中も通常の列車と同様、運転士が乗務し、必要な機器操作など行うという。
JR東日本で検討している省エネ運転は、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転とのこと。具体的には、加速時間を短くし、惰行の時間を長く、減速時間を短くする運転と説明している。山手線では、2020年度から乗務員の操縦による省エネ運転の研究に取り組んでおり、自動運転をめざした開発においても、その知見を活用している。
2022年2月に実施した自動運転の試験では、約12%の運転エネルギー削減効果があることがわかっており、10月頃から行う実証運転で、実際の営業列車におけるデータを数多く蓄積し、より詳細な分析を行うことで、定時性・乗り心地と省エネを両立するATOの開発に役立てるとしている。
山手線では今後、2023年春頃からATOに対応した車両改造等の準備を行い、2028年頃までにATOの導入をめざす。さらなる技術イノベーションにも取り組み、将来のドライバレス運転の実現に向けた開発を進めていくとのこと。