現在放送中のTBS系連続ドラマ『村井の恋』(毎週火曜24:58~25:28)で、乙女ゲーム「恋する戦国絵巻」のキャラクターを愛するオタク気質な高校教師・田中彩乃に扮する女優の高橋ひかる(※高ははしごだか)。劇中“鉄仮面女子の鉄子”と呼ばれる田中を、コミカルかつ愛らしく、そして切なく好演している。高橋自身も「昔からお姉ちゃんや家族からオタクと言われてきて、子どものころは隠していた」というが、あるときから「好きなものは好き」と開き直り人生が豊かになったという――。

  • 高橋ひかる

高橋演じる高校教師の田中は、乙女ゲーム内のキャラクターに恋するオタク女子。勤務が終わると一目散に帰宅し、ゲームに興じる毎日。自身のオタク気質がばれないように、生徒には必要以上に干渉せず、同僚の教師とも交流しないことから“鉄仮面女子の鉄子”と呼ばれている。

「最初に原作マンガや台本を読んだとき、オタク味がどうしても出てしまう部分とか、メチャクチャ分かるなと思いました。私は子どものころからアニメや漫画など二次元が大好きでした。ちょうどそのころ、初音ミクさんなどがすごく注目されていて、インターネットにも興味を持ち夢中になっていました。私も昔からお姉ちゃんや家族からオタクと言われてきて、自分でも自覚はあったので、似ている部分があるなと感じていました」。

当時小学生だった高橋は、本作で演じた田中と同じように、あまり人前で自分の趣味を開けっ広げに話すことにはためらいがあったという。「家族に“オタク”と言われることに悔しさを感じていましたし、田中のように『好きを共有する必要があるの?』みたいなひねくれた気持ちも少しあって隠していました」。

しかし、多感な時期を迎えた高橋は「好きなものは好き」という気持ちを抑えることができなくなっていった。

「ちょうど、オタクという言葉の認知度も上がってきたということもありますが、やっぱり隠しても漏れ出てきてしまうんですよね(笑)。ちょうど中学生のときに好きなアイドルがいたのですが、周りから理解されなくても『すごくいいんだよ』と伝え続けていました。もし受け入れられなくても『私とは趣味が違うんだ』って思えばいいし、共感してもらえたら、一緒に“推し活”ができるのが嬉しいですよね(笑)」。

そこから高橋は「好きなものは好き」と周囲を巻き込んで楽しんでいると言うと「やっぱり好きを共有できるってとても楽しいし、幸せなこと。私は変われて良かったなと思うんです」としみじみ語る。

こうした高橋が感じた思いは、本作の大きなテーマになっているという。「原作者の島(順太)先生が、(宮世琉弥演じる)村井のことを現代の勇者とおっしゃっていましたが、あそこまで“好き”をハッキリと伝えて、まっすぐに向き合うって格好いいし、好きとストレートに言える人生って、とても素敵だと思うんです。作品を観た人が、少しでも自分の好きなものを“好き”と胸を張って言えるようになってくれたら、こんなに嬉しいことはないですね」。