■大学進学の選択肢はなかった
――さて、望月さんは現在21歳。大学に進学した同世代の方々の多くは就職活動をしている頃だと思います。ご友人から話を聞いたりはしますか?
中学、高校からずっと仲良くしている友だちのグループがあるのですが、そのなかの大学に進学した子たちから、社会人になることへの不安な気持ちや大学を卒業することに対しての思いをよく聞きます。
――望月さんは役者一本でやっていくため、高校に入学した時から大学に進むつもりはなかったそうですね。早くから自分が進みたい道があって、一足先に社会人になった先輩として、アドバイスを求められることもあるのでは?
僕はただ好きなことをやってきただけなので、アドバイスなんてできないです(笑)。就職活動のことは全然分からないので、どちらかと言うと、僕が知りたいから話を聞かせてもらっています。
話を聞いていて思うのは、やりたいことがある人のほうが少ないのかなと。やりたいことがある人は迷ってないというか、やりたいことがあるから「そのためにこういうことをする」という道筋を明確にできるけど、そもそも自分が何をしたいのかが分からないと、何をどうしたらいいのかも分からなくて大変みたいです。
――それは社会人になってからも、多くの人に付いて回る悩みかもしれません。望月さんは大学に行きながら、役者を続けるという選択肢は全くなかったんですか? もちろん環境が許せばということが大前提なのですが、大学に行っておくことで「潰しがきく」という考え方も少なからずできるのかなと。
自分は役者以外の仕事ができないような気がしていたので、大学に通いながら役者をするという考えはなかったです。
――「役者以外の仕事ができないような気がする」というのは?
実際に別の仕事をしたことがあるわけではないので、あくまでもイメージでしかないのですが……理不尽だなと思うようなことがたぶんあって、それに我慢しないといけない場面があるかと思うんですけど、僕は納得がいかなかったら、我慢できない性格なので。
――自分が正しいと思う演技プランと周りが求めるものが違ったり、お芝居の世界でも我慢しないといけない場面はありそうですね。
それはいくつもの芝居プランが成立する中で、監督が選択した芝居プランが正解になりますし、一つの作品を作るなかで、自分の演技はその一部分に過ぎなくて、監督からの「こうしてほしい」と言われていることに納得できないということはないです。
自分が興味のあることをやっていて、仕事に対して熱意を持つことができるのであれば、大丈夫ということかもしれません。それがなかったら、やっぱり僕は耐えられないかな。