急病や事故でのけが等で誰でも呼ぶことができる救急車。緊急の際は利用したいものの、「高額な費用を請求されるのでは?」と不安になる方も少なくないでしょう。急病や事故は誰しもが起こり得ることなので、あらかじめ費用については知っておいた方が安心ですよね。

また「救急車を呼ぶほどではないけど、病院には行きたい」「救急車を呼ぶべきか呼ばないべきか、自分で判断ができない」ということも今後あるかもしれません。

この記事では、救急車の費用や知っておきたい救急車以外のサービスなどについて解説します。

  • 救急車の費用はいくら?

    いざという時の救急車の費用について把握しておきましょう

救急車の費用はいくら?

まずは救急車の費用がかかるのかについて解説します。

日本では救急車の費用は無料

日本では、救急車の利用に費用はかかりません。無料で利用できます。さらに、救急車の利用だけであれば保険証も不要です。

ただし、病院に搬送された際は保険証が必要となるため、救急車が来るまでに用意しておきましょう。

救急車が来るまでに用意しておくといいものには、保険証を含め以下のようなものがあります。

  • 保険証
  • 診察券
  • お金
  • お薬手帳
  • 普段飲んでいる薬

救急車を利用するのが乳幼児の場合は、上記にプラスして以下のものも用意しておきましょう。

  • 哺乳瓶
  • おむつ
  • 母子健康手帳
  • タオル

救急車が来た時には、それまでの体調の変化、どんな応急手当てをしたか、搬送される本人の情報(かかりつけの病院、普段飲んでいる薬、持病など)を伝えられるようにしましょう。

病院での診察料はかかる

救急車は無料ですが、病院に搬送された際の病院での診察料はかかります。診断や点滴などの処置、血液検査……etc.手術となった場合、万単位のお金がかかることも。また、夜であれば、夜間料金がかかるということもあわせて覚えておきましょう。

救急車の費用が無料になる人

救急車は日本にいる人全員が無料で利用できます。利用者による制限はありません。旅行で日本に来ている日本国籍ではない外国人が利用した場合も、費用がかかることはありません。

救急車は、国籍や納税状況などに関係なく、日本国内にいる人なら誰でも無料で利用できるのです。

  • 救急車の費用はいくら?

    日本では救急車の利用自体は日本国内にいる人なら誰でも無料で利用可能です

救急車の費用はどこから出てる?

救急車の利用が無料とはいっても、救急車の設備や備品、救急隊員の人件費などお金はかかっています。利用者がお金を払わないなら、一体その費用はどこから出ているのか気になる人もいるでしょう。

ここからは、救急車の費用がどこから出ているのか、どのような費用がかかっているのかについてご紹介します。

救急車の利用が無料なのは、その費用が税金でまかなわれているためです。救急車が1回あたり出動するのにかかる費用は約45,000円といわれています。

救急車出動にかかる費用

ここでは、救急車が出動するのにかかる費用を紹介します。

救急車出動に使われる年間の費用

「令和3年版 消防白書」によると、令和2年中の救急車による全国の救急出動件数は5,933,277件となっています。一日あたりの救急出動件数は16,211件で、約5.3秒に1回出動している計算になります。

単純な計算式で

45,000×5,933,277=266,997,465,000

となり、年間で約2,670億円の費用が税金から捻出されていることになります。

救急車の出動にかかる費用の内訳

具体的に救急車の出動の際には、救急隊員の人件費、救急業務費(救急隊の運営・資機材整備費など)、救急車の維持費などがかかっています。

そのほか救急関連の事業費には、応急手当講習の普及業務に関する委託費や、救急救命士を養成するための研修費などもあります。

救急関連の事業費には、巨額の経費がかかっており、これらはすべて税金でまかなわれている状況です。

  • 救急車の費用はどこから出てる? 税金? 内訳は?

    救急車の出動には多くの税金が使われています

アメリカなど海外の救急車費用

「日本では救急車が無料だけど、外国ではどうなの? 」と疑問に思った人もいるでしょう。ここからは、アメリカなどの海外における救急車の費用についてご紹介します。ぜひ、日本と比較してみてください。

国や地域によって救急車費用の負担がある

救急車の費用負担の仕組みは、国や地域によって異なります。たとえば、アメリカ、オーストリア、フランス、中国などでは、救急車の利用は有料です。また、アメリカは州によって費用が異なるなど、同じ国内でも地域差があります。

自由診療制度を採用しており医療費が高いといわれるアメリカは、救急車が有料で、走行距離によって搬送料金も異なります。たとえば、ニューヨーク消防局が救急搬送した場合は150,000円前後、1kmあたりの搬送料が約1,000円と、日本と比べて高額です。

海外旅行の最中、日本と同様に無料だと思って気軽に救急車を利用すると高額な料金を請求されることも。海外の救急車事情についても、ぜひ把握しておきましょう。

また、イギリスやイタリアなど、公営の救急車であれば日本と同じように利用にお金がかからない国もあります。海外に行く際は、けがや突然の体調不良に備えて、その国の救急車や医療費について事前に調べておくと安心です。

  • アメリカなど海外の救急車費用

    アメリカなど、海外では日本と異なり救急車が有料の国もあります

救急車以外のサービス

けがや病気の際に、救急車を呼ぼうか迷うこともあるかもしれません。また、緊急ではないけれど、退院や転院の際に「ストレッチャーのまま移動できたらいいのに」というケースもあります。

このような場合の対処法や、知っておきたい救急車以外のサービスについてご紹介します。

救急車を呼ぶか迷った時

救急車を呼ぶか迷った時には、「#7119」への電話で対応してもらえます。

「#7119」は、救急安心センター事業と呼ばれるもので、相談に応じているのは、医師や看護師、トレーニングを受けた相談員などです。相談料はかからず無料で利用できます。ただし、通話料については、利用者負担となっています。 「#7119」は、電話をかけるとオペレーターや自動音声が応答し「救急電話相談」か「医療機関案内」を、まず選択します。

救急電話相談の場合、けがや病気の症状を伝えて緊急性が高いようならば救急出動となります。緊急性が高くなければ、受診可能な医療機関の案内を受けるという流れです。医療機関案内の場合は、同様に受診可能な医療機関を案内されます。

「#7119」は実施している地域と、実施していない地域がある点は注意が必要です。また、「#7119」以外の番号で救急の電話相談等を行っている地域もあります。

「#7119」は利用時間も地域で異なります。365日24時間対応の地域もありますが、たとえば宮城県や鳥取県は利用時間が限定されており、24時間ではありません。

自分が住んでいる自治体の電話相談窓口は何番なのか、利用時間などの詳細について、ぜひ一度確認してみましょう。

小児救急については、「#7119」とは別で相談窓口となる番号を設けている地域もあります。小さなお子さんがいる家庭は、小児救急の窓口の番号についてもあわせて確認しておくのがおすすめです。

民間救急サービスもある

日本には、消防救急の対象外で、緊急ではない傷病者の搬送などを行う民間の救急サービスがあります。

救急車の適正利用のため、緊急性のない入院などで使える民間の患者搬送サービスとして利用が可能です。有料のサービスで、運賃のほかに必要に応じて介助料や看護師の要請料などがかかります。

民間サービスでは、全国各地で病院間の転院による入院患者の搬送、大規模イベントの開催時の救護待機といった活動も行っています。

  • 知っておきたい救急車以外のサービス

    「#7119」や民間救急のサービスなども知っておくことで救急車の適正利用を目指しましょう

救急車の費用について知っておこう

日本では、救急車を呼んだ時に費用はかかりません。しかし、病院を受診した際には、診察料がかかります。

世界的に見ると、アメリカなどの海外では救急車が有料の国もあります。海外旅行の際に救急車に乗ると、高額な費用を払うことになるおそれもあるので、けがや病気には注意しましょう。

救急車を呼ぶべきかどうか迷った時、夜間に受診できる病院を知りたい時などは、「#7119」に問い合わせるなどの方法もあります。

救急車以外のサービスについても知っておくことで、いざという時にも慌てないように備えておきましょう。