コロナ禍におけるリモートワーク普及によりライフスタイルや価値観が変わり、自分自身で納得できる働き方や暮らし方を求める人も増えているのではないでしょうか。さらには、物価が高騰するも上がらない賃金に対して、将来に不安を感じているビジネスパーソンも多いでしょう。
本稿では、エンパワー 代表取締役社長であり、書籍「学歴なし、人脈なしなら、社長になれ!」(ダイヤモンド社刊)の著書である増井俊介氏に働くことや独立について、お話を伺いました。これからの人生に悩む人にヒントを授けてくれるかもしれません。
■低迷景気の中で躍進を続ける「買取大吉」
買取、リユース、リサイクル関連業界は、不況に強いと言われています。加えて、環境負荷低減への関心も、業界を活性化させる大きな追い風になっています。そんなリユース業界の中で注目を集めているのが、エンパワーが運営する「買取大吉」。
――「学歴なし、人脈なしなら、社長になれ!」はどのような思いから出版されたのですか?
私は現在48歳ですが、ときおり学生時代の友人などに会うと少し残念な思いが過ることがあります。まだまだビジネスパーソンとして可能性があるのに安定した社内の地位に固執しようとしている人がいたり、逆に老後の計画が杜撰で大丈夫かなと思える人もいました。これは私の友人に限らないのではないかと思い、書籍を出版することにしました。
■親の世代とは環境が劇的に変化した
――日本では、終身雇用と年功序列の仕組みが確立され、長く勤めれば給料が上がり、退職金もある程度保証されるという構図がありました。ところが最近はそうではありませんね。
私の父の時代なら、たとえば郵便局の定期預金をすると、7~8%もの金利がありました。ある程度の退職金もあり、貯金しておけば安泰でしたが、今はお金を預けても増えません。だからといって投資だ、と言ってもリスクもあるし、年金だって今後どうなるかわかりません。
仮に65歳で退職したとして、残り30年程度を、年金と貯金で賄えるでしょうか?1年に200万かかるとしても6,000万円。物価が上がればもっと必要になります。銀行に預ければお金が増える時代ではない今、親の人生をそのまま投影してもダメなんです。老後の準備もしっかりしておかないと。
■生涯現役、雇われないという働き方もある
――普段の仕事や生活が忙しくて、「自分事」の問題として認識できない人がほとんどなのでしょうね?
サラリーマンとして頑張っても定年まで働けるかどうかは保証されているわけではない。老後の心配もしなければいけない。そのことに気づいていても忙殺されている。そういう方が多いのが実態ではないでしょうか?
そこで、一念発起して「雇われない生き方」をしてはどうか?退職した後にも不労所得を得る準備を今からしてはどうか?そんな提案を、この書籍を通じて行ったのです。
■低リスク独立にはフランチャイズ加盟
――増井さんがエンパワーの社長となり、「買取大吉」のFC展開が好調だそうですね。
正直に言えば、リユース市場が伸び続けているということもあるかと思います。また、「買取大吉」のフランチャイズは、経験がない方でも成功する可能性が高いので、それを高く評価されたのかと思います。
普通に起業すると5年でつぶれてしまうところがほとんど。そういった意味ではFCで起業するという選択肢が良いと思います。一方で、フランチャイズオーナーというのは、一人の経営者です。私は、経営者としての心構えを持つことこそが成功の秘訣だと考え、そのことを言い続けています。これが多くの人の気持ちに響き、成功を夢見て一歩を踏み出す方が多いのかと思います。たとえいくつになっても、事業への意欲というのは引き出せるものだと思っています。
■直近1年間のFC店舗継続率99%
――直近1年間の店舗継続率が99%と伺いました。どのようなビジネスモデルですか?
社名の「エンパワー」は、英語表記では「EN-POWER」と書きます。ENとは“縁”であり“円”。人とのご縁がつながり、それが乗数的な力となって円すなわち利益をもたらすという意味であると、創業者から伺いました。
FC事業は、独立起業する中では成功する確率は高いのですが、それでも開業1年以内に30%も撤退するところがあるようですね。私どもには考えられないことですが、FCブランドを見極めることも大切だと思います。既に申し上げたように、リユース市場はコロナ禍においても伸び続けており、不況に強い産業なんです。
「買取大吉」のような買取専門店は、まだまだ展開できるほど余地が残っています。店舗は5~10坪程度で良いですし、従業員を雇わなくても運営できるのでリスクが少ないんですよね。また、「買取大吉」では各店舗にSVが付き、直営店で培ったさまざまなノウハウを提供するなどサポートにも力を入れています。リユース業界の経験がなくても、年商1億円を突破される方もおり、これからの日本においても、大変魅力的な選択肢であると思いますね。