俳優の香取慎吾(45)が主演を務める映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』が9月に公開されることが12日、発表された。

  • 左から岸井ゆきの、香取慎吾

草なぎ剛主演『台風家族』などで知られる市井昌秀監督が監督・脚本を務める本作は、大切な人との絆を取り戻すコメディ。脚本は、香取を主演に当て書きされた。

香取の映画出演は、主演映画『凪待ち』以来3年ぶり。ヒロインは今年公開される映画だけでも出演作4本(うち主演作2本)と日本映画界に欠かせない女優となった岸井ゆきの(30)。香取とは初めての顔合わせとなった。

香取と市井監督も映画撮影の現場では初タッグとなるが、2人の接点は14年前までさかのぼる。まだ監督としてキャリアをスタートさせたばかりの頃、08年のぴあフィルムフェスティバルで当時審査員だった香取が市井の作品を高く評価したのだ(結果はグランプリ受賞)。そこで市井はいつか一緒に香取と映画の仕事をしたいという強い思いが芽生えた。その後、20年1月にリリースされた香取のソロアルバムの収録曲「FUTURE WORLD(feat.BiSH)」のMVを撮影。それが後押しとなり、MV撮影終了後に市井は香取を主演に据えた脚本の執筆に取り掛かり、完成したのが本作だ。撮影は2021年9月下旬から10月下旬にかけて、東京都立川ほか埼玉などで行われた。

香取と岸井が演じるのは、結婚4年目を迎える田村裕次郎と日和(ひより)。表向きは仲良し夫婦の2人だったが、日和がこっそり投稿していたSNS「旦那デスノート」をきっかけに、少しずつ小さなすれ違いがつまびらかになっていく。

市井は構想の段階で2つ思い描いていた。1つは「大切な人との関係性を見つめ直すもの」。もう1つは「情けない、だらしない、ダメな香取慎吾」。コミカルな悪口が並ぶ「旦那デスノート」とは対照的に、シリアスなシチュエーションにもがく裕次郎と日和を2人がユーモラスに演じているのは、市井の狙いだった。絆は些細なことで強くもなればもろくもなる。裕次郎が日和との会話で適当に受け流すときによく使う「いい意味で」という劇中のセリフを用い、崩れかけたメロドラマは「ホラーです、いい意味で」。誰にでも起こりうることだからこそ誰もが痛感し、共感できるコメディとなっている。

タイトルにある“チャーリー”とは劇中に登場するフクロウのこと。2人が飼っているペットの名前だ。チャーリー(3歳/オス)の愛くるしい佇まいにも注目だ。

香取、岸井、市井監督のコメントは以下の通り。

■香取慎吾(田村裕次郎役)

また、映画に出演させてもらえてとても嬉しいです。
初めて市井監督の映画に参加しました。
初めて岸井ゆきのさんと共演させてもらいました。
笑顔のはじめましてが絡み合いながら、SNS『旦那デスノート』にもがく裕次郎を演じました。
恐怖の連続でした!
自分の知らないところで、自分の知っている人が、自分の事を晒している!
コメディです。
コメディだけど、泣けるんです。
いい意味で。。

■岸井ゆきの(田村日和役)

わたしは本当の夫婦の感覚を知らないのですが、両親をずっと見てきて、何もないようで何かある空気、本心を悟られないように諭そうとする威厳、笑いながら諌める態度、不思議な関係だと思いました。そんなことを考えて芝居をするのは、いつかあるかも知れない未来を追いかけるようで面白かったです。
そして隣にいる相手が幼少期から拝見している香取慎吾さんだなんて身の引き締まる思い。毎日が優しい光で溢れて、香取さんと楽しくお話させていただいている時間は自分でも不思議でSFみたいで、市井監督と現実的な会話で構築していく物語はファンタジーで。 皆様がこの映画をどう感じるのか…私も楽しみにしています!

■市井昌秀監督

なんらかのすれ違いで妻に憎たらしさを覚えた後、笑いながら誰かと電話するその背中を見て、「この人は何者なんだ?」と感じる時がしばしばあります。
結婚って、夫婦って、男と女って、一体なんなんだろう?
なんだか厄介で面倒なものを抱えて、どこへ向かっているのだろう?
わからないのその先を、香取慎吾さんと岸井ゆきのさんで見たいと思いました。平凡で情けなくダメな田村裕次郎、笑顔の片隅で毒を盛る田村日和と一緒に。

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