帝国データバンクは4月8日、「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」の結果を発表した。同調査は4月1日~5日、1,855社を対象に、インターネットで実施した。

  • 主要製商品・商材、サービスの値上げ動向

新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした供給制約やロシアのウクライナ侵攻などにより、原材料価格や輸送費などに影響を及ぼす原油価格の高騰が続いている。そのような中、コストアップを受けた企業で製商品の値上げが相次いでいる。

主要製商品・商材、サービスの値上げ動向について尋ねたところ、32.7%が「2021年10月~2022年3月の間にすでに値上げした」と回答した。「2022年4月に値上げした/する予定」(25.7%)、「5月に値上げを行う予定」(11.1%)、「6月に値上げを行う予定」(7.6%)を含め、2022年4月以降1年以内で値上げしたもしくはする予定の企業は合わせると43.2%となった。過去半年間ですでに値上げを行った企業および今後1年以内で値上げする予定の企業の割合は64.7%だった。

値上げの理由については、「原材料等の高騰にともなう仕入価格の上昇によって販売価格への転嫁となる値上げを行った。ただウクライナ情勢によっては主原料である原油なども上がっており、さらなる仕入価格の高騰が予測される」(紙類・文具・書籍卸売、東京都)などの声が寄せられた。

「値上げしたいが、できない」は16.4%だった。その理由として、「安定した販売先があれば良いが、受注産業で競合もいるため、値上げすると競合に負けてしまう」(建材・家具、窯業・土石製品製造、静岡県)など、値上げによる顧客離れを懸念している声もあった。

すでに値上げをした企業の割合を業種別に見たところ、2021年ごろから価格の高騰がみられる鋼材などの「鉄鋼・非鉄・鉱業」は59.8%で、全体(32.7%)を27.1ポイント上回った。「化学品製造」も55.6%とも5割台で続いている。

  • 企業の値上げ動向 ~注目業種~

今後1年以内で値上げを行う企業の業種は、「飲食料品・飼料製造」(73.1%)が特出して高い。「飲食料品・飼料製造」および「化学品製造」ではすでに値上げを行った企業および今後1年以内で値上げする予定の企業割合は8割超だった。

鉄鋼・非鉄・鉱業業種の企業からは、「材料コストが高騰しているため、量産部品の単価の見直しは都度依頼、相談を実施している」(京都府)という声もあった。「運輸・倉庫」では、値上げは失注につながる可能性があることを理由に値上げが進んでおらず、今後も値上げ予定の企業が限られるという。特に「運輸・倉庫」は「値上げしたいが、できない」企業は30.9%と、全国(16.4%)を14.5ポイント上回った。

小売業や個人向けサービス業を含む「個人消費関連」では、企業の43.2%が2022年4月以降1年以内で値上げをしたもしくはする予定と答えている。中でも生活必需品を含め人々の生活にすぐに結びつく製品を扱う「小売」において、すでに値上げを行った企業は37.9%と全体(32.7%)を5.2ポイント上回った。値上げしたいができない企業は9.7%で全体(16.4%)より6.7ポイント低くなっている。

  • 個人消費関連企業の値上げ動向

企業からは、「原材料、包材、段ボール、液体炭酸ガス、コーンなどの値上げにより、これまでの価格では利益を維持できなくなった」(飲食料品小売、石川県)などの理由で、製商品を値上げせざるを得なくなったという声も寄せられている。