アーティスト・森口博子が、ガンダムソングカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS 3』をリリース。第3弾にして最終章となる今回は、男性ボーカル曲だけをセレクトしている。TM NETWORK、オーイシマサヨシ、押尾コータローら豪華アーティストとコラボレーションした珠玉のカバーソングアルバムとなる。また、オリコン&Billboard JAPANウィークリーランキングにて3位を獲得している。
今回は、『GUNDAM SONG COVERS 3』に収録される各楽曲の魅力について語ってもらった。また、「森口博子オフィシャルYou Tubeチャンネル」にて、本アルバムの全曲ダイジェスト動画が公開されている。ぜひ、動画を流しながら本インタビューを楽しんでほしい。
●オーイシさんは楽しい仕掛けをする天才
──インタビュー後編も引き続きアルバムの収録曲について話を聞いていきます。まずは「砂の十字架」。原曲は、谷村新司さんが作詞・作曲、やしきたかじんさんが歌唱を担当されています。
「ライリー」というスキャットから始まるのがとにかく印象的でした。スキャットのように、歌詞が付いてない部分にこそ、ちゃんとメッセージが込められている、と私は思ったんです。今回はアムロとシャアが背負った十字架や悲しみを「ライリー」に乗せました。
──この曲の注目ポイントですね。
ぜひ聴いていただきたい部分です。歌詞が付いていない表現って、工夫が必要なんですよね。ともすれば、ボーカリストの力量が問われる部分でもある。たかじんさんはレコーディング一発OKくらいの歌唱力を持っている方なんです。それでもこの曲はすごく時間がかかったと以前に記事で読んだことがあります。だからこそ、私もていねいに表現させていただきました。後半はスキャットの嵐ですが、ひとつひとつ表現にもこだわったので、そこもじっくり聴いていただけたら嬉しいです。
──カバー曲を歌う際、原曲の歌い方などは意識される?
もちろん、原曲は聞きます。そしてリスペクトは忘れません。みなさんが歌に込めた想いや熱量を受け継ぎながら、私なりに表現しています。たかじんさんの歌声って色気があってすごいんですよ。
──楽曲自体も哀愁が漂っていて、年齢を重ねるごとに沁みる一曲に仕上がっていると感じます。
歌謡曲調の哀愁ある世界観にグッときますよね。アレンジの部分でいえば今回、冒頭にゴスペルテイストのコーラスワークを入れました。あの部分も実は私が担当しています。あえて低音を効かせているので、新しい森口博子が表現できました。
──続く「STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~」。オーイシマサヨシさんとのコラボですね。
オーイシさんとは、BS11で放送されているレギュラー番組『Anison Days』で何度もコラボをしていて、ガンダムソングカバーでもご一緒したいと思うようになったんです。
LINDBERGの川添智久さん作曲のこのギターロックを聴いたとき、「もうオーイシさんしかいない! ピッタリだ」と思い、オファーをさせていただきました。彼は歌声はもちろん、アレンジも素晴らしい。楽しい仕掛けをする天才だと思います。だから今回は、オーイシさんのアレンジ込みでお願いさせていただきました。
──実際にアレンジを聴いてみていかがでしたか?
とにかくハッピー! 体調が悪い時に聴いても気持ちが上がるような一曲に仕上がっていました。また、ミュージシャンの方々の演奏も素晴らしかったです。血流が巡るよう! 自分のなかで何度も立ち上がって掴んだ勝利が見える音でした。そして、オーイシさんのコーラス。あのハッピーオーラは、みなさんを幸せに包み込んでくれますよ!!
──私はこの曲を聴いたとき、拳を突き上げたくなりました。
ライブでは絶対に外せない曲ですよね! 私も歌っていて気持ちいいです。まだなかなか声を出してのライブ鑑賞が難しいですが、それでもみなさんが、心の声を拳に込めて掲げてくれている画が見えてきます。
●日本人の琴線に触れメロディーに感動
──アルバム7曲目「RIVER」の原曲は、石井竜也さんが作詞・作曲を担当されています。
石井さんの独特でオシャレなグルーヴに感動しました。この曲は第1弾・第2弾にも参加いただいた、ジャズバイオリニスト・寺井尚子さんとのコラボレーションです。今回も感動を裏切りませんでした!
このアルバムシリーズのコンセプト「大人のためのガンダムソング」のベースを創ってくださったキーマンです!! 尚子さんには、「イントロ部分に『苦悩』をテーマにした演奏を入れたい」とリクエストさせていただきました。
情感が豊かで繊細かつ情熱的なサウンドに痺れました! 尚子さんのヴァイオリンは歌心があるので、私も毎回覚醒しますね。一発OKの興奮した同時レコーディングでした。
──今回、この曲をカバーしようと思った理由は?
私のディレクターさんが大好きで、「ぜひ森口さんに挑戦して欲しい曲があるんです」と教えてくれたんです。私も聞いた瞬間に気に入って、数ある候補曲のなかでも、「これは絶対に歌いたい」と思いました。どの曲もそうですが、「RIVER」は特に年齢を重ねるとより良く感じられる「大人なガンダムソング」だと思います。
──続く「Meteor」も『機動戦士ガンダムSEED』の楽曲ですね。
実はレコーディングする5日前に、原曲を歌唱されているT.M.Revolutionの西川貴教さんとステージでご一緒したんです。私の後に西川さんの出番で、この曲を歌唱されたんですよ。それなら、「本家本元の西川さんからエネルギーをもらわずにいてどうする」と思いまして。勝手に「Meteor」のイントロを背中に感じ、一人で世界に浸り、自分に酔いしれながら舞台をはけていきました(笑)。
──なるほど(笑)。西川さんも『ガンダム』楽曲をいくつか歌唱していますよね。
歌声が熱いですよね。エネルギッシュで打ち込み主体のロックでエッジの効いた「Meteor」の世界観は西川さんならではと。
──原曲を聞いたときの印象についても教えてください。
何といっても浅倉大介さんが生み出すメロディーの心地よさ。音はとんがったロックテイストかもしれませんが、日本人の琴線に触れるようなメロディーが私はとても好きですね。
──とても流れるようなメロディーですよね。
そうそう! 流れが繋がっているんですよね。今回はそんな原曲をリスペクトしつつ、ストリングスを主体とした少し柔らかい世界に仕上げました。時乗浩一郎さんのアレンジにも注目しながら聞いていただけると嬉しいですね。