転職しようと考えた時、「経験が浅いから不安」「アピールできる要素が少ない」など、少し物怖じしてしまう方も多いのではないでしょうか。

業種や職種により異なる部分もありますが、企業が若手の転職者に期待していることは“即戦力としてすぐに活躍してほしい” ということではなく、ある程度は育成前提で考えて採用をしています。年齢を軸に考えた時、企業から見られている具体的なポイントをお伝えします。

  • 20代の転職で採用担当者が見ているポイント

    ※画像はイメージです

20代でも社会人経験の長さや実務経験の有無によって採用担当者が見ているポイントは違う

大卒を例にした場合、社会人経験が浅い26歳以下の世代と、ある程度の社会人経験を重ねている27〜29歳では見られ方が大きく異なります。

26歳以下の場合は多くの企業で第二新卒採用の扱いになるので、過去の経験も見るのですが、どちらかといえばその方の人となりや熱意、将来活躍してくれそうかどうかなど、“未来”に期待して採用する傾向があります。それより上の世代になると“未来”の要素に加えて“過去”の経験が重視されますし、経験者採用の場合はある程度即戦力になるかどうかを求められます。

ただ、年齢というよりは社会人経験の長さといったほうが近いかもしれません。たとえば高卒の場合は25歳の時には社会人経験7年目になりますので、大卒の25歳よりも過去の経験を見られる部分が多くなります。

<若手の採用でよくある質問>
若手の採用の場合、「仕事をする上で大切にしていることはありますか?」という質問をされることが多いのですが、採用担当者はこの質問から、あなたが仕事で何を重要視していて、どんな時にやりがいやモチベーションを感じるのかを知ろうとしています。

ただ「チームワークです」と一言で伝えるのではなく、その後に「チームで連携を取ることにより、常にお互いの課題解決方法を共有してきたことで自分とチームのパフォーマンスが向上し、個人賞とチーム賞の両方を受賞することが出来ました」など、なぜそう思っているのか実際のエピソードを交えて伝えると、前職でどのような経験をして何を学んできたのかが伝わりやすいので、事前に準備しておきましょう。配属先の組織に馴染める人材であるかも見られるので、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進められる点を伝えると印象がアップします。

<若手の採用でよくある転職理由>
採用担当者は転職することであなたがどんなことを実現したいのかを知りたいと思っています。若手でよくある転職理由として「キャリアアップしたい」という回答がありますが、曖昧な説明では伝わりません。なぜ今の会社ではそれが実現できないのか、転職することでどのように実現したいのかもしっかり整理しましょう。

例えば「前職では、既存のサービスを運用するだけで若手は大きなプロジェクトにチャレンジ出来ない環境だったため、成長に限界を感じています。御社は若手のチャレンジを後押しする文化があり、フラットな社風かと存じておりますので、そのような環境でスキルアップしていきたいと思っております」など、具体的に伝えると説得力のある回答になります。

自分は強みだと思っていなかった経験が武器になる

経験の浅い職種や未経験職種へ転職する時に「アピールできることがない」などの悩みも出てくると思いますが、そんなことはありません。自分では生かせそうな経験や要素がないと思っていても、これまでにやってきたことをアウトプットしてみると「凄いですね」「その視点が大事なんです」と、実は自分が思っている以上に評価されることも多いのです。それが自分の自信にも繋がりますし、むしろ出さないほうがもったいないんです。 実務経験としては未経験であっても、実務に生かせそうな知見・スキルなど、直接実務に関係ない部分でも評価されるものが沢山あります。

たとえば 「飲食業でのホール経験しかないが、営業職へ転職したい」といった場合

  • お客様との円滑なコミュニケーションによる顧客獲得
  • 後輩の新入社員やアルバイトの指導
  • 店舗の売上管理 など

上記のようなものは、営業職採用におけるアピール要素になります。

「販売職の経験しかないが、広告運用の事務職に転職したい」といった場合

  • 商品のPR企画
  • Instagram、TwitterなどのSNS利用
  • 商品画像や動画の撮影・加工(スマホ含む)など

上記のようなものは、広告運用職採用におけるアピール要素になります。

実際の業務に役立つ経験や知見は意外とあるものなのです。重要なのは企業側の視線に立って考えること。「この企業はどんな人を求めているのか」を的確に情報収集し、「自分はどの部分がマッチするのか」を冷静に分析することが大切です。

若手の場合、経験よりも人柄やカルチャーフィットを重視している企業も多い

若手の採用の場合、「人物重視の採用」という募集が出ていることがありますが、これは経験よりも人柄やカルチャーフィットを重視しているという意味合いがあります。マイナビ転職が調査した企業向けアンケート(※)で「自社の選考は、経験・スキルよりも『人物重視』ですか?」という質問に対して、半数以上(63%)の採用担当者が『人物重視』と回答しています。

また、「人物重視」の採用を行う理由として

  • 少人数の会社なので、協調性のある人が良い
  • 理解力の良さなどを重視したい
  • 会社のカルチャーにマッチする人を選びたい
  • 第一印象、雰囲気を見たい
  • ベンチャー企業なので、目まぐるしい変化についていけそうかどうかを見たい
  • 組織においての円滑なコミュニケーションを重視しているから など

あなたも就職活動の際に企業の雰囲気が合う・合わないというのを感じたことがあると思いますが、それは企業も同じ。そこが合っているほうが、マッチングという意味合いでも退職者が出にくいという理由もあるのです。企業によって重視している点は異なるため、自分の強みをしっかりアピールしたうえで、自分と合う企業を見つけましょう。

20代の転職は仕事への取り組み方などから、今後どれくらい成長が見込めるのかを判断されます。これまでのあなたの経験・知見(趣味も含む)を細かく棚卸しをして、次に生かせそうなことは何か、どのような部分を伸ばしていきたいかを整理した上で、職務経歴書の作成や面接の際にアピールするようにしましょう。

若手の転職は第二新卒採用や未経験採用なども多く、転職しやすいというメリットもあります。実際、マイナビ転職を利用される方の半数以上が別の業界や職種へ転職していますので、ぜひ自信を持ってチャレンジしてみてください。

※2016年マイナビ転職調べ