コロナ禍により"働き方"が大きく変化した日本社会。会社だけでなく、働く社員もキャリアの"あり方"を再考するケースが増えてきています。

就職活動中の学生にとっても、「自分のキャリア形成をどうすべきか」を視点に企業選びを考えることが"人生100年時代"と呼ばれる現代において、とても重要ではないでしょうか。

そこで今回は、「女性管理職比率を30%以上とする」をESG関連の重要目標に定めているオリックスグループの人事担当者と先輩女性社員にインタビューを実施。"女性社員"に対する同社のキャリア制度や、実際に働いている社員の声を紹介します。

  • 女性が「働きやすい」職場とは?

オリックスの「社内インターンシップ制度」

2016年に主要グループ会社10社、200人以上の現場で働く社員によって「職場改革推進プロジェクト」の委員会を立ち上げたオリックス。約半年の期間をかけて課題・施策を検討し、約120の施策をCEOに提言し、以後さまざまな施策を展開しているようです。

グループ人事部の江嵜可奈子さんは、オリックスグループが目指している方向性を次のように説明します。

「国籍、年齢、性別、職歴問わず、多様な人材を受け入れることで、多様な価値観や専門性による"知の融合"を図り、新たな価値を生み出す"Keep Mixed"という考えのもと、社員それぞれの能力、専門性を最大限に生かせる職場づくりを目指しています」

そして「職場改革推進プロジェクト」の下、2017年から実際に行われている施策の1つが「社内インターンシップ制度」です。年齢・性別を問わず利用可能なキャリア開発のための制度で、他部署の業務を1週間経験することが可能となります。

「若手社員のモチベーション向上を目的に、他部署の業務を経験することで自身のキャリア選択の幅を広げてもらいたいという声から制度化に至りました。他部署の業務に興味・関心のある社員が、より詳細な業務内容などについて理解を深め、今後のキャリア形成に役立てることを目的にしています」(江嵜さん)

初年度の制度利用者は47人でしたが、その後は右肩上がりに増加。2021年は、スタート時の4倍以上にあたる224人が利用したそうです。

「制度として浸透してきていると言えます。他部門の仕事に触れるからこそ、今の自分を見つめ直すいい機会となり、今後のキャリアを考えるきっかけになっている面もあり、例えば、ある営業部門の女性社員は『社内インターンに参加して一番良かったことは、"自分は改めて営業が好きだ"ということを実感できたことです』と話していました」と、その有効性を語りました。

オリックスの「キャリアチャレンジ制度」

同社がもう1つキャリア開発のための制度として用意しているのが「キャリアチャレンジ制度」です。

異動希望者が希望する部門と直接面談を行い、希望部署への異動を実現するキャリアアップにチャレンジできる、若手のうちから利用されている制度の1つで、「一年に一回、人事から募集をかけた際に社員が直接応募するという形式です。

他にも自身の希望する異動先を申告できる『自己申告制度』などの制度を通じて、一人ひとりがキャリアを自律的に考え、行動できるようサポートを行っています」と江嵜さん。

しかし、結婚、出産などライフステージの変化に伴い、就業の継続が難しくなってしまいがちな女性社員。オリックスグループには、女性社員を対象にしたサポートや支援制度も手厚く用意されています。

「オリックスグループでは、男女雇用機会均等法が設立される前から総合職の女性を積極的に採用しています。その上で、どうしても女性は『ライフイベントとの両立の比重が男性よりも大きい』ことも踏まえ、若手の頃から自律的にキャリアの意識付けを行うために、女性社員向けのフォーラムを2007年から実施。

これまでは、働く上での心構えや両立での工夫をメインに実施してきましたが、今期からは復職したワーキングマザーを対象に中長期的なキャリアを考えるキャリア研修などもトライアル実施しています」(江嵜さん)

  • 2月15日にオンラインで開催された「ORIX Group Women's Forum」 提供:オリックス

意識改革や動機付けだけでなく、結婚・出産後も女性が働き続けられる制度ももちろん早くから整備されています。例えば「配偶者転勤エリア変更制度」。

「地域を限定して働いている社員を対象として、キャリアの継続を支援する制度で、勤務エリアの変更が認められます」

配偶者の転勤先に拠点がないなどエリアの変更が叶わない場合には、最大5年間の休職を認める『配偶者転勤休職制度』も2016年から新たに設けられていると言い、企業としてこうした施策や体制を整える意義を江嵜さんは次のように語りました。

「オリックスグループでは、必要に応じて制度内容を拡充、ライフイベントを迎えた社員でも活躍できる環境を整備してきました。制度化することで、社員に対して公平に対応できること、またそういったライフイベントがあっても安心して就業継続してほしいというメッセージにもなっていると思います。

実際に、毎年必要な社員が一定数利用しており、女性の離職率の低減につながっていると考えられます。退職を防げるだけでなく、休職者の中にはパートナーの転勤で海外へ移住するケースもあり、さらなる経験や知見を増やして復帰する社員もいます」

オリックスの先輩社員に聞く「女性の働き方」の今

こうした充実したバックアップ制度を積極的に活用し、結婚・出産後も活躍を続けている女性社員の代表としてインタビューに答えてくれたのが、オリックス社長室の平川瑶子さんです。

現在の部署では、課長代理として、主にグループ会社やオリックスの各部門のM&Aのサポートに従事し、案件探しから契約・実行、審査に至るまで幅広く関わっているとのこと。

しかし、「オリックスでは、入社してから一貫して同じ部門で仕事をするという社員は稀で、私自身もいろいろな仕事を経験してきました」と明かすように、オリックスにおける現在に至るまでの職歴はとてもバラエティ豊か。

  • オリックス社長室 平川瑶子さん 提供:オリックス

「2006年に入社してから3年間は、流通店舗営業部という部署で、建物のリースの営業をしていました。地主さんから土地を借りて、コンビニやドラッグストア等を建てて、テナントに貸すという仕事でした。2009年に社長室に異動後は、はじめは総会や取締役会の事務局などガバナンス関連の業務を担当し、徐々にグループ会社や各部門の戦略立案やM&Aのサポートをするようになりました。

2013年に経営企画部へ所属、その後組織変更にて新規事業開発部となり、自部門が主体となったM&A案件や新規事業の立ち上げなどを担当しました。2017年の異動後、現社長室に組織変更となってから現在の仕事をしています」

こうした豊富なキャリアを重ねて活躍を続けている平川さんですが、もちろん会社が用意するさまざまな制度を積極的に利用してきた女性社員の1人です。

「私自身、総合職のフルタイムで働いていますが、出産を機に転勤を伴わない地域限定総合職へ転換しました。1日の最低勤務時間を1時間とし、6~22時の間で出退社時間を自由に決められる『スーパーフレックス制度』や『在宅勤務制度』を活用して、プライベートと仕事のバランスを取っています。

オリックスは、制度面が充実しており、周りには、出産を機に総合職から一般職へ職種を転換できる『キャリアセレクト制度』を利用して一般職へ転換するケースや、地域限定型の社員が『配偶者の転勤に同伴するために」勤務エリアを変更できる『配偶者転勤エリア変更制度』を利用する場合もあります」

オリックスの「女性管理職の数」は多い?

冒頭のとおり、オリックスグループでは、「女性管理職比率を30%以上とすること」をESG関連の重要目標に掲げています。実際にその中で働く女性社員の1人として、平川さんはこの目標やその現実味をどのように捉えているのでしょうか。

「組織の中で働く1人としては、正直、まだ30%に届いていないのだなというのが、最初に聞いた時の実感でした(笑)。というのも、活躍している女性が大勢周囲に居るので、もう既に感覚として30%ぐらいはいるのかなと思っていたからです」

さらに、「入社した時から、オリックスは男女の差がなく仕事を任せてもらえる環境で、女性だから何かできないとか、させないということは一切なく、平等に機会が与えられていると感じていました」と平川さん。

「会社として女性の活躍を支援する方針であるというメッセージも、その時々の上司からの声掛けや、入社以来、新しい支援制度の導入が次々と進んでいたことなどから、日々感じています。新卒入社のため、他社と比較できませんが、制度は充実し、活用している人も多く、それが当たり前という環境です。またワーキングマザーの数も多く、珍しいことではありません。今回、30%という数値目標が改めて発信されてことで、さらに働きやすい環境になることに期待したいですね」と、前向きに受け止めています。

一方、人事部の江嵜さんは次のように補足します。

「オリックスグループは、すべての社員に自律的なキャリアを築いてほしいと考えています。女性管理職比率の目標を設定しましたが、基本的に『無理して女性管理職比率を上げよう』とはしていません」

"働き方"や"ワークライフバランス"の重要性が強調されるようになってから既に久しい日本の社会。平川さんは、ライフステージが変わってもずっと働き続けてきた女性という観点から、その思いを次のように語ってくれました。

「私が入社した2006年頃は、まだ女性も男性も朝から晩まで会社にいて働く"the 仕事人間"みたいな人が多く、そうした働き方が評価されるようにも感じていました。しかし、今は社会も会社も変わり、多様な働き方が浸透してきた印象です。同じ部署では、日常的に保育園のお迎えを担当している男性社員もたくさんいます。

今は、労働時間の規制も厳しくなっている中で、一定の時間内で仕事をうまく回して、プライベートと仕事のバランスを取る働き方が評価される時代になっているのかなと感じます。また、コロナ禍が在宅勤務のインフラをさらに整えたという実感も。オリックスでは、入社してから女性に活躍してもらおうというメッセージが一貫してあるので、あまり怖がらずにチャレンジしてください」