一般医薬品の販売の規制が緩和され、コンビニエンスストアでも手軽に薬が買えるようになりました。頭痛のような突発的な痛みに苛まれた際、最寄りのコンビニで販売されている頭痛薬にお世話になったという方もいることでしょう。ただし、コンビニで購入できる頭痛薬の種類は薬局やドラッグストアに比べると少ない状況です。
本記事では、コンビニで購入できる頭痛薬に配合されている成分を4つご紹介します。また、頭痛薬の選び方も解説。頭痛の種類や胃への負担度などの項目別に成分の特徴を解説します。
コンビニに頭痛薬はある? ない?
まずはコンビニでの頭痛薬の取り扱いについて解説します。
頭痛薬は薬剤師や登録販売者がいるコンビニで買える
改正薬事法(現:薬機法)が2009年に施行され、一般医薬品(大衆薬またはOTC医薬品)が副作用のリスクの高さに応じて、第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品の3つに分けられました。
その影響により、コンビニでも登録販売者を常駐させるなどの条件を満たすことで、第2類に分類されている解熱鎮痛剤や風邪薬、第3類に分類されているビタミン剤などの一般医薬品が販売できるようになりました。
項目 | 第1類医薬品 | 第2類医薬品 | 第3類医薬品 |
---|---|---|---|
販売資格者 | 薬剤師 | 薬剤師 登録販売者 |
薬剤師 登録販売者 |
上記の表を見るとわかるように、一般医薬品は分類によって販売資格者が異なります。頭痛薬は薬剤師や登録販売者が配置されているコンビニで購入可能です。
規制緩和によって頭痛薬を販売できるコンビニが増えている
一般医薬品の販売には「店舗の営業時間のうち半分以上の時間帯に薬剤師または登録販売者を常駐させる必要がある」という、いわゆる「2分の1ルール」が存在していました。しかし2021年8月にこのルールが廃止されたことにより、一般医薬品の販売に関する規制が緩和され、頭痛薬を取り扱う24時間営業のコンビニも増えています。
各コンビニで一般医薬品を取り扱っている店舗数は次の通りです。
- ローソン : 267店 (2022年1月時点)
- ファミリーマート : 75店(2022年1月時点)
- セブン-イレブン : 約40店(2018年時点)
特にローソンは一般医薬品の販売に力を入れており、薬を取り扱う店舗を2023年度中に450店舗に増やす予定です。
コンビニで買える頭痛薬の成分
続いてコンビニで買える頭痛薬の成分をご紹介します。
イブプロフェン
イブプロフェンは代表的な鎮痛成分の一つであり、解熱薬や鎮痛薬などに配合されています。痛みの原因とされているプロスタグランジンの生成を抑制することで頭痛を緩和させます。
ただし、胃に負担をかけることもあるので、胃の不快感や食欲不振などといった消化器系の症状が出現しがちな方は服用を控えるか、服用前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
イブプロフェン配合の頭痛薬には第2類医薬品として分類されているものもあります。登録販売者が在籍しているコンビニでも取り扱っている可能性が高いです。
イブプロフェン配合の一般医薬品
- リングルアイビー(佐藤製薬)
- バファリンルナ i(ライオン)
- イブクイック頭痛薬DX(エスエス製薬)
- ディパシオIPa(matsukiyo)
ロキソプロフェン
ロキソプロフェンは代表的な鎮痛成分の一つです。飲み薬だけではなく、湿布などの外用薬にも配合されています。解熱・鎮痛・抗炎症作用に優れ、素早く効果を発揮します。胃への負担が少ないことも特徴です。
ロキソプロフェンが配合されている頭痛薬は、第1類医薬品として分類されています。そのため、薬局が併設されていて薬剤師が在籍しているコンビニで購入が可能です。
ロキソプロフェン配合の一般医薬品
- ロキソニンS(第一三共ヘルスケア)
- ロキソプロフェン錠「クニヒロ」(皇漢堂製薬)
- コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα(興和)
- バファリンEX (ライオン)
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは中枢神経にアプローチして痛みを緩和させる成分です。イブプロフェンやロキソプロフェンとは違った仕組みで痛みを和らげます。プロスタグランジンの分泌を妨げないため胃への負担が少なく、眠気をもよおしにくい点も特徴です。
15歳以下の子どや妊婦も服用でき、長時間の使用に関しても安全性が高いとされています。
アセトアミノフェン配合の頭痛薬には第2類医薬品として分類されているものがあるので、登録販売者が在籍しているコンビニで取り扱っている可能性が高いです。
アセトアミノフェン配合の一般医薬品
- 新セデス錠(シオノギヘルスケア)
- ナロン錠(大正製薬)
- バファリンルナJ(ライオン)
- リングルN(佐藤製薬)
頭痛薬の選び方
ここでは、頭痛薬の選び方を解説します。頭痛の種類・胃への負担・成分の強さに分けてどのような成分が有効とされているのかをみてみましょう。
頭痛の種類
まずは、頭痛の種類からみたときの、頭痛薬の選び方をご紹介します。
項目 | 緊張型頭痛 | 片頭痛 | 群発頭痛 |
---|---|---|---|
症状 | ・頭部全体や後頭部が締め付けられるような痛み ・首・肩の痛みも生じる ・年齢や性別は問わない |
・20~40代の女性に多くみられる ・吐き気を伴う強い痛み ・脈打つような強い痛み ・音や光に敏感になる |
とある期間、いつもと同じ時間帯に片側の目の奥に鋭い痛み |
原因 | ・デスクワークや長時間の運転など同じ姿勢を続ける ・目の酷使・気温差・冷え ・精神的なストレス |
・頭蓋骨内の血管が急激に拡張して炎症を起こすことが原因ともされている ・ストレス・気圧の変化・寝不足・眠り過ぎ・飲酒・月経・光・騒音など ・遺伝的要素 |
・詳しい原因は解明されていない ・目の後ろを通る血管が拡張して炎症を起こすことが原因ともされている |
有効成分・対処法 | ・イブプロフェン ・アセトアミノフェン ・ロキソプロフェン |
・トリプタン系の片頭痛 ・医療機関の受診が必要 |
・医療機関の受診が必要 |
片頭痛や群発頭痛はコンビニで購入できる頭痛薬の成分では、効果の実感が難しい可能性があります。医療機関を受診して医師の診断を受けましょう。
成分の強さ
市販されている頭痛薬の成分の強さは、データ上どれもほぼ同じです。体質によって合う・合わないがあり、効果や持続時間なども個人差があります。どのような成分が自分に合うのか、服用に注意が必要な点はあるか、医療機関を受診して専門家に相談するのがいいでしょう。
頭痛薬はコンビニで買えるが種類が限られている
医薬品に関する規制緩和により、頭痛薬を販売するコンビニは増えてきています。ただし、頭痛薬は第1類医薬品や第2類医薬品に分類されるため、販売できるのは薬剤師や登録販売者が配置されているコンビニのみです。すべてのコンビニで頭痛薬を取り扱っているわけではないので注意してください。
第2類医薬品に分類されることが多いのは、イブプロフェンやアセトアミノフェンなどです。薬局を併設しているコンビニならロキソプロフェン配合の第1類医薬品も購入できるでしょう。
頭痛の種類によっても、どの成分の入った頭痛薬が適しているのかは異なります。自分の頭痛の種類を見極めてから、自分にあった頭痛薬を選びましょう。