職場の人間関係がうまくいかなかったり仕事内容が自分に合っていなかったりすると、精神的に限界が来てしまうことがあります。心身に不調をきたさないために退職を検討するものの、精神的に限界なことを退職理由にしていいのかどうかがよくわからない人もいるでしょう。
そこで本記事では、精神的に限界な場合の退職理由の伝え方についてくわしく解説。また、退職届の書き方や面接で退職理由を聞かれた場合の回答の仕方などについてもあわせて紹介します。
精神的に限界なまま仕事を続けるとどうなるのか?
たとえ精神的に限界であったとしても、仕事を辞めるのは勇気がいるものです。しかし我慢して働き続けても何もメリットはありません。
精神的に限界なまま仕事を続けるとどうなるのかについて解説しますので、自分の心と体を優先した選択をするためにもぜひ参考にしてください。
体調が悪くなる
精神的に追い詰められたまま無理して働くと、どんどん体調が悪くなってしまいます。仕事のストレスは自分で思っている以上に負担が大きいため、放っておくとうつ病や自律神経失調症などの病気につながることもあるでしょう。
また、仕事に対して大きなトラウマを抱えてしまう可能性もあり、復職に時間がかかる場合がある点にも注意しなければなりません。
業務に支障をきたす
精神面が不安定なまま働き続けると、仕事に集中することができなくなってきます。ミスが増えたり欠勤しがちになったりすることから、自分を責めて余計に追い詰められてしまうケースも。
また、業務効率が下がると周囲の人にも迷惑をかけてしまうため、会社側の不利益につながる場合もあるでしょう。
精神的に限界な場合の退職理由の伝え方
精神的に限界なまま仕事を続けるのはリスクが大きく、体調を考慮するのであれば退職を検討するのが賢明です。だからといってどのように退職理由を伝えればいいのかよくわからず、悩んでしまう人もいるでしょう。
ここからは精神的に限界な場合の退職理由の伝え方について、注意点とともに解説します。
繁忙期は避け遅くとも1ヶ月前までには退職を伝える
民法上では2週間前までに退職の意向を伝えればいいとされていますが、引き継ぎや人員補充のための準備などを考慮すると、2週間という期間は十分ではありません。したがって、周囲に迷惑をかけないためにも、可能であれば1ヶ月前までには退職する旨を伝えましょう。
また、退職の手続きを進めやすくするために、繁忙期や人事異動の時期などは避けることをおすすめします。
退職理由は「一身上の都合」とする
精神的に限界で退職する場合、退職届の書き方には悩んでしまいますよね。しかし、退職届には詳細な退職理由を記載する必要はなく、「一身上の都合により」と書いておけば問題はありません。
「一身上の都合」は自己都合で退職する時によく使われる表現で、くわしい理由を述べたくない場合などに重宝します。例えばパワハラなどでどうしても退職理由をいいにくい場合も、「一身上の都合」と記載できれば退職届を提出しやすくなるでしょう。
場合によっては診断書を用意する
体調不良や精神的な不調で退職する場合、基本的に医師の診断書は必要ありません。
ただし、パワハラなどによりうつ病等の精神障害を発症している場合や、業務による心理的負荷が長く続いた場合などにおいては、労災認定されるケースもあります。労災申請をする過程において医師の証明書が必要となるため、労災認定の可能性がある人は診断書の取得を検討してもいいでしょう。
【例文つき】精神的に限界な場合の退職理由の書き方
前述した通り精神的に限界で退職する場合においても、退職理由は「一身上の都合により退職」としておけば問題ありません。退職届や退職願に書く文章は定型文となりますので、下記の例文を確認しておきましょう。
・このたび、一身上の都合により、来る令和◯年◯月◯日をもって
退職いたしたくここにお願い申し上げます
なお、退職届は基本的に手書きで書くことがマナーで、黒のボールペンや万年筆などを使って記載します。B5かA4サイズの白い用紙に縦書きで記入することや、会社によっては規定に合う形で押印することを求めるケースがあることなどを覚えておくようにしましょう。
精神的に限界な状態で退職するうえでのポイント
仕事に対して精神的に限界だと感じる場合は、無理をせず速やかに離職するのが賢明です。ただし、無計画に退職手続きを進めようとしてもうまくいかない可能性もあります。
ここからは精神的に限界な状態で退職するうえでのポイントを紹介しますので、あらかじめ注意点を押さえておきましょう。
引き止めには応じない
たとえ本人が精神的に限界でも、人員不足などにより会社側が引き止めをすることは珍しくありません。しかし、引き止められた結果、体調不良で入院ということになってしまうと、会社側にも迷惑がかかってしまうため誰の得にもなりません。
なお、休職するという手もありますが、在籍していること自体が精神的に辛いのであれば無理に休職を選ぶ必要もありません。あくまでも自分の精神面を第一に考え、無理のない選択をするようにしましょう。
退職代行サービスの利用も検討する
精神的に追い詰められている人の中には、どうしても退職を言い出せない人も多いのではないでしょうか。例えば、直属の上司にパワハラやセクハラをされている場合などは、退職の意向を伝えることも難しいかもしれません。
そのような場合は、退職代行サービスを使うのもひとつの手。代行業者が労働者に代わって退職手続きを進めてくれるサービスなので、なかなか退職を言い出せない場合でもスムーズに手続きを進められるでしょう。ただし、代行サービスを行う企業の中には違法な業者もあるため、入念な下調べや業者を見極める目が必要となります。
面接で退職理由を聞かれた場合の答え方
精神的に限界で退職した人が困ってしまうことのひとつに、面接で退職理由を聞かれた場合の答え方があります。転職の面接では前職を辞めた理由を問われることが多いですが、前向きな理由でないと答えにくいと感じる人は多いでしょう。
そこでここからは、精神的に追い詰められて退職した場合にうまく退職理由を答える方法や、注意点などについて解説します。
できるだけポジティブな表現に言い換える
多くの企業が仕事に対して前向きで長く働いてくれる人材を雇用したいと思っているため、面接でネガティブな発言をすることはおすすめできません。
たとえ精神的に限界だったことが退職理由であったとしても、ポジティブな表現に言い換えるようにしましょう。例えば、職場の人間関係が辛くて追い詰められて退職した場合は、「チームワークを大切にする職場で働きたい」と言い換えることで、面接官にいい印象を持ってもらえると考えられます。
好き嫌いや不平不満を述べることは避ける
面接では、愚痴や好き嫌い、不平不満などの感情の問題を話題にすることは避ける必要があります。例えば「しょっちゅう大声で怒鳴る上司と性格が合わず退職しました」などを退職理由として伝えてしまうと、面接官には「うちの会社でも同じことが起こりそうだ」ととらえられてしまうでしょう。
人間関係における感情論や不平不満をいうのは避け、あくまでも前向きな発言をすることを心がける必要があります。
精神的に限界な場合は無理せず退職準備を進めよう
精神的に限界な場合に退職を伝えるのは勇気がいりますが、無理して働くとうつ病などの病気につながることもあるため、注意しなければなりません。退職理由は基本的に「一身上の都合」としておけば問題ありませんので、辛い場合は繁忙期などを避け、速やかに上司に伝えるようにしましょう。
退職届の書き方や精神的に限界な状態で退職するうえでのポイントもあわせて理解しておき、無理せず退職準備を進めましょう。