日本には、こどもの日に五月人形を飾ってこどもの健康や成長を祈るという習慣があります。ただ、五月人形は具体的にいつから飾るのか、いつしまうのか悩んでいる人もいるはずです。

本記事では、五月人形を飾る時期や購入の時期、しまう時期などについて解説します。五月人形についての「いつから」を正しく把握し、こどもの健康や成長を祈りましょう。

  • 五月人形

    五月人形を飾るのはいつからなのでしょうか

五月人形を飾る風習はいつから始まった?

五月人形を飾ることは、5月5日「こどもの日」である端午の節句を祝う方法の一つと言われています。端午の節句は奈良時代ごろから行われており、古くから日本に根付いている行事です。「端午の節句」の「端」は初めという意味を持ち、「午」は「5」に通じると考えられています。

五月人形を飾る意味とは

五月人形を飾る意味は、男の子の健康と成長を願うというもの。「こどもの代わりに厄を受けてくれる」「子孫繁栄を願う」という意味も含まれているようです。また、五月人形を飾ることで男の子の誕生や健康な1年をお祝いする意味もあります。

五月人形はこども1人あたり1つ贈ることが基本で、おさがりを利用すると「厄を引き継いでしまう」と考えられています。そのため、次男や三男が誕生したら、新しい五月人形を購入しなくてはなりません。

役目を終えた五月人形は、ごみとして出すのではなく正式な手順を踏んで供養することをおすすめします。

五月飾りとは

男の子の健康と成長を願う五月人形は家の中に飾る「内飾り」と呼ばれています。一方で屋外に飾るものは「外飾り」と呼ばれており、この2つを総称して「五月飾り」と呼ぶことがあります。

内飾りの代表例は鎧や兜飾りであり、外飾りは鯉のぼりや武者幟などが該当します。鯉のぼりは将来の立身出世を祈るためのもので、内飾りとは異なる意味合いを持ちます。そのため、大切なお子さんの将来を考えるのであれば、内飾りと外飾りの両方を飾った方がよいでしょう。

風習ができたのは奈良・平安時代

端午の節句の始まりは、奈良時代あたりだと考えられています。この時代の端午の節句は、病気や災害による厄を払うための行事が行われていました。

宮廷では、強い匂いによって厄を払えると信じられていた菖蒲(しょうぶ)を飾ったりお風呂に入れたりしていました。菖蒲のほかにも、鬼を退治するといった意味で馬から弓を射る儀式が行われることもあったそうです。

鎌倉時代になると武士の世の中になり、端午の節句の風習はすたれていきました。一方で、武士の間では「菖蒲」と「勝負」をかけて盛大に祝う行事になります。菖蒲を使って枕にしたりお酒にしたりして、端午の節句を楽しんでいたそうです。

江戸時代になると、5月5日は徳川幕府によって大事な式典の日だと決められます。この日には旗本や大名が、将軍のもとに行きお祝いをしました。また、将軍に男の子が生まれると旗などを立ててお祝いをするようになります。

端午の節句が男の子の誕生や健康を祝うものになったのは江戸時代と言われており、将軍に留まらず一般の庶民たちにも広まっていきました。このころは人形や五月飾りなどを屋外に飾り、男の子の誕生を周囲に教えるといった意味も持っていたそうです。

五月人形を室内に飾るようになった理由

五月人形を含め、端午の節句の飾りが室内に飾られるようになったのは、江戸時代からだと考えられています。

江戸時代にはさまざまな場所で大きな火事が頻繁に起こっていました。外飾りは火事の被害を大きくすると考えられ、屋外に飾ることを禁止されました。そうして外飾りは大きなものから小さなサイズになり、室内に置けるよう変化していきます。

また、五月飾りはすでにあったひな人形作りの技術が活かされて、豪華なものが作られるようになりました。しかしこのころ、身分を超えた贅沢を制限する命令が出ます。ただし内飾りでは取り締まりができないため、五月人形は室内に飾るものとして豪華になっていきました。

  • 五月人形

    端午の節句のはじまりは奈良時代からだと考えられています

五月人形はいつから飾る?

五月人形は端午の節句に飾るものですが、一体いつから飾ってよいものなのでしょうか? 地域や風習によって差があるものの、春分の日やお彼岸が過ぎてから飾るのが一般的と言われています。遅くても4月の中旬ごろまでには飾るようにしましょう。

ただ、いつまでに必ず飾らなくてはならないといったルールはありません。あくまで目安として、無理のない範囲で飾りましょう。お祝い物だということから「お日柄のよい日に飾るのがよい」と言われていますが、決まりとして定められているわけではありません。

五月人形の一夜飾りはNG?

五月人形を5月5日の前日から飾ることを「一夜飾り」といいます。飾り始める日が決まっているわけではないものの、一夜飾りは控えた方がよいとする説もあります。

一夜飾りを控えた方がよい理由としては、一晩だけ飾るのは神様に対しての誠意が感じられず、失礼だとされているからです。気になる方は五月人形だけでなく、お正月の飾りなどお祝いに関連するものの一夜飾りは避けた方がよいでしょう。

五月人形を飾る日は天気のよい日がおすすめ

五月人形は湿気との相性が悪いため、雨が降っていたり曇って湿気が高かったりする日に飾るのは控えておきましょう。長く使うためにも、五月人形を飾る日は天気のよい日を選ぶとよいでしょう。

  • 五月人形

    五月人形を飾る時期として一般的なのは3~4月ごろだと言われています

五月人形はいつから購入できる?

では、五月人形はいつ購入するべきなのでしょうか。購入時期として一般的なのは、五月人形が店頭に並ぶ時期です。

五月人形はひな祭りが終わってから並び始める

お店によっても異なりますが、一般的にはひな祭りが終わったタイミングが多いです。五月人形は、ひな祭りが終わると店頭に並び始め、人気なものから売れていきます。気に入ったものが欲しい場合はなるべく早めに買いに行くとよいでしょう。

五月人形は早めに購入しておこう

五月人形は職人が1つ1つ手作りで作っているため、生産数に限りがあり、人気なものはすぐに売れてしまいます。ひな祭りが終了してから販売が開始されるため、時期がずれるとよいものが売り切れている可能性が高いです。

店舗やその年のイベントによっては、年内早期予約会が開催されていることもあります。この「年内早期予約会」は、通常販売よりも低価格がついていたり、何かしらのサービスがあったりする場合も。

一般的に年内早期予約会は、前の年の11~12月に実施されることが多いようです。「お気に入りの五月人形を手に入れたい」と思っているのであれば、前年の予約会に行ってみるとよいでしょう。

  • 五月人形

    早めに行動してお気に入りの五月人形を飾れるようにするとよいでしょう

五月人形はいつまで飾っておくべき?

最後に五月人形をしまう時期について解説します。一般的には、5月5日が終わって中旬ごろに片づける家庭が多いようです。家庭によっては、5月が終わるまで飾っているところもあるでしょう。

五月人形をしまう時期

5月5日が終わった翌日にしまっても問題ありません。ひな人形とは違い、「しまわないと婚期が遅れてしまう」などの言い伝えはなく、しまう時期については明確な規定はありません。

五月人形を飾る日と同じく、天気のよい日に行うことがおすすめです。湿気がたまると劣化につながるので気をつけましょう。

五月人形は一年中飾ってもOK?

五月人形は一年中飾っていても問題はないとされています。飾る時期や片づける時期が特に決まっていないため、中には一年中飾っている家庭もあるそうです。コンパクトな五月人形であればスペースを取らないため邪魔にならず、一年中飾れます

ただ、先述した通り五月人形は湿気に弱いため、梅雨の時期や雨の日は注意が必要です。また、五月人形にはさまざまな種類があり、飾りっぱなしにしない方がよいものもあるため、一年中飾りたいと考えている方はケース入りの五月人形がおすすめです。

  • 五月人形

    五月人形をしまう時期は明確に決まっておらず一年中飾っている家庭もあります

五月人形は3~4月ごろに飾るのが一般的

五月人形を飾る意味は、男の子の健康や成長を願うというものです。男の子の誕生を祝う意味も持っています。

飾る時期としては3~4月が目安です。また、片づける時期については明確な決まりはなく、5月いっぱい飾っていても問題ありません。

五月人形は手作りのため、大量生産が難しいので、店頭に並んだら早めに購入するようにしましょう。店舗によっては前の年に予約会を開催することもあるので、下見に行ってみてもよいでしょう。