平成仮面ライダーシリーズの人気作『仮面ライダーオーズ/OOO』(2010年)の放送10周年を記念し、オリジナルキャスト・スタッフ再結集によるVシネクスト『仮面ライダーオーズ/OOO 10th 復活のコアメダル』の製作が実現した。
欲望から生まれた怪物グリードと激しい戦いを繰り広げ、人々の未来を守った仮面ライダーオーズ/火野映司(演:渡部秀)。相棒アンク(演:三浦涼介)の復活を願い、映司があてもない旅に出てから10年。西暦2021年の世界は、混沌と恐怖に包まれていた。800年前から時を超えて甦った古代オーズのため、人類は絶滅を迎えてしまうのか……。
ここでは『オーズ』ファン待望となるVシネクスト公開を記念し、主演の火野映司役・渡部秀に単独インタビューを実施。10周年記念作であり、同時に『オーズ』の完結編という位置づけでもある本作にかける強い意気込みや、久々に再結集を果たしたレギュラーキャスト陣との絆について語ってくれた。
――今回のVシネクストについて、本格的に形になったのはいつ頃だったのでしょう。
撮影開始が去年の9月だったのですが、企画が固まり出したのはそれから半年くらい前ですね。『オーズ』の完結編を作るからには、10年前のキャストがそろうことが重要だと思いました。すでに完成した作品を観ましたが、内容はまさに完結編にふさわしいものになっています。
――シナリオを書かれたのは、テレビシリーズでも印象的なエピソードを手がけられた毛利亘宏さんでしたね。
メインライターの小林靖子さんと共に『オーズ』の世界観を熟知している毛利さんですから、演じる側としては何も心配ありませんでした。台本からすごい熱意が感じられましたし、毛利さんからも「オーズを本当に終わらせるつもりで書きました」という言葉をいただいています。想像以上の内容で、素敵な作品になるぞと直感しました。
――渡部さんは現在『科捜研の女』シリーズの撮影で東映京都撮影所に行かれる機会が多いかと思いますが、今回は『オーズ』テレビシリーズと同じく東映東京撮影所で撮影されていたんですね。
東京と京都では撮影所の雰囲気も異なりますが、どちらも映画作りのベテラン、職人さんが集まって良質の作品を作り上げている部分は共通しています。東京撮影所は僕にとって「ホーム」という感覚で、1年間デビュー作を走り抜いた、思い入れの強い場所です。スタジオの待合スペースに集合して、ロケバスが来るのをキャストのみんなで待っている雰囲気とか、ふいに10年前を思い出して懐かしかったです。撮影期間はVシネクストとTTFCのスピンオフ合わせて、3週間強。キャストとスタッフとで同窓会をしているような現場でしたね(笑)。
――オリジナル・キャストが勢ぞろいしたスチール写真を拝見しますと、みなさん10年前とまったく変わらない印象で驚きます。
撮影に備え、めちゃくちゃ絞って当時と同じ体重にしました。『オーズ』のその後を描くにあたって、10年後をどう表現するかにはこだわりたかったんです。それなりに変化した状態か、当時と変わらない姿を見せたいのか。でもアンクはグリードなので齢は取らないですよね。アンクは10年でも20年でも、アンクのイメージそのままでいなければならない。そこで、僕の勝手な考えで「アンクに合わせ、映司も変わらないままでいよう」と腹を決めました。
10年経って、成長・変化した映司をあえて見せるという方法もあったと思いますが、もともと子どもたちが楽しんで観ていた『オーズ』なので、あのころ観ていた人たちがこの作品で僕たちに再会して「懐かしい」とか「あの頃と変わらないな」と思ってもらえたほうが、みんな「帰ってきた」感じがしますよね。さすがに20年後、30年後だと昔の雰囲気に戻すのが難しいでしょうけど、10年ならまだ大丈夫かと(笑)。
そうと決まれば、当時の容貌に戻すところから役作りが始まりました。髪もあの頃の映司みたいに伸ばしてみたんです。他の仕事とも並行していたにも関わらず、少しずつ調整しながらなんとかやっていきました。改めて、今回のキャスト集合写真を見ると、みんなの戻し方ってすごいなと思いました。なかなか、ここまで10年前のイメージに全員近づけていることってないですよね。