――演じた役とご自身の似ているところや、共感したポイントを教えてください。

篠原:さくらは自分の意見を素直に表現することができない女性ですが、自分の芯をしっかり持っているというイメージで演じました。私自身も人に意見を言えない人間でしたが、自分で自分のことを表現する仕事なので、もっと伝えなきゃいけないなと思って、どんどん意見を発するようになりました。そうするとすごく楽になるし、本来の自分がわかるように。さくらも春斗と出会うことによって解放されて新しい自分を見つけていくので、すごく似ているなと思います。

――意見を言えるようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

篠原:何も言わないと、やる気がないのかなとか、この人にオファーしなくてもいいんだとか、そう思われたことがあって、これは良くないなと。すごくやりたいし、熱意もあるけど、それを表に出すのはカッコ悪いと思っていましたが、しっかり自分の思いを言葉にしないといけないと身に染みて感じ、ちゃんと発言するようになりました。今では言わなくていいことまで言うようになってしまいましたが、そんなかわいいときもあったんです(笑)

――岩田さんはいかがでしょうか?

岩田:春斗は、家庭環境などでいろいろと葛藤がある中で、人生のターニングポイントみたいな時期を生きているのかなと感じました。誰しも通る道だと思いますが、僕もすごく思い悩む時期や、選択を迫られる時期があったので、とても感情移入しやすかったです。

――ご自身のターニングポイントについて教えてください。

岩田:この業界に入るときですね。一般企業に行く道もあったので、すごく考えました。家族や父の気持ちを考えると、今までたくさんお金も使って苦労して育ててくれたという、それを無下にする可能性もあったので。今でこそ両親もすごく応援してくれていますが、最初の何年かは悲しんでいました。こうやって長く続けさせてもらってようやく自分の中でも間違ってなかったんだなと思えるようになったし、親に対しても胸を張っていられるようになりました。

――応援してくれるようになったきっかけがあったのでしょうか。

岩田:名前が知られるようになるまでは、「何年続くんだ」って、そんなことを思われていました。最初の何年かはそんな状態でしたが、たまたま僕は運が良く、すぐに応援してもらえるようになりました。また、ライブツアーで実際に自分の息子がお客さんに応援してもらっているのを見た時に、自分の道とは違うけど、頑張れっていう気持ちになってくれたと思います。

――撮影に向けて事前に準備したことがありましたら教えてください。

篠原:初めて自分の体を世の中にさらけ出すという意味では、失礼のないように、作品のストーリーをぶち壊さないように、体づくりは多少やりました。また、弱い女性だけど、弱々しさばかりではなく、隙間隙間に自分の強さをしっかり描きたいという意識で演じました。

岩田:さくらと春斗のシーンがとにかく多く、篠原さんとずっと一緒にいる役だったので、芝居の呼吸が自分の独りよがりにならないように、その場で空気をつかんでいいシーンになったらいいなと思っていました。意識的にそうしたというより、現場にいたら自然とすごくいい雰囲気に。作品に入る心持ちとしては、コミュニケーションをしっかりとって信頼関係を築くことを大切にしていました。

――体作りもされましたか?

岩田:正直、ツアー中だったらもっとすごいですよ(笑)。なので本当に何もやらなかったです。