帝国データバンクは2月24日、「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表した。調査は1月18日~31日、全国2万4,072社を対象に行われ、1万1,981社から有効回答を得た。

  • 従業員の過不足感

    従業員の過不足感

現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不足」していると回答した企業は47.8%。この割合は、前年同月と比べて11.9ポイント上昇しており、新型コロナウイルスの影響を受けて、大きく低下していた企業の人手不足感は、感染が拡大し始めた2020年2月と同水準まで上昇する結果に。一方、過不足状況が「適正」と回答した企業は42.0%(同4.5ポイント減)、「過剰」と回答した企業は10.3%(同7.3ポイント減)とそれぞれ低下している。

  • 正社員が「不足」している上位10業種

    正社員が「不足」している上位10業種

正社員が「不足」している企業を業種別にみると、「情報サービス」(65.7%)、「飲食店」(65.1%)、「建設」(62.6%)、「メンテナンス・警備・検査」(60.8%)、「農・林・水産」(60.6%)など7業種において6割を上回った。

IT人材の不足が問題になっている「情報サービス」の企業からは、その要因として、開発期間の長さなどがあげられた。また、職人の高齢化など人手不足が続いている「建設」の企業からは、人手不足だけでなく、ウッドショックやアイアンショックなどによる建材の不足も業務に影響を及ぼしているといった声が寄せられた。

  • 非正社員が「不足」している上位10業種

    非正社員が「不足」している上位10業種

一方、非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は28.0%(前年同月比8.9ポイント増)。正社員の人手不足割合と同様に、こちらも新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月を上回る水準まで上昇している。また、過不足状況が「適正」と回答した企業は63.2%(同2.1ポイント減)、「過剰」と回答した企業は8.7%(同6.8ポイント減)となり、それぞれ低下した。

業種別にみると、「飲食店」(76.6%)は唯一7割以上の企業で非正社員が不足しており、依然として高水準で推移している。また、「人材派遣・紹介」(51.7%)は足元で5割を上回る水準で推移。「オミクロン株の影響はまだなく、派遣需要は旺盛。ただし、人手不足は変わらないため、採用コストは上昇傾向」(労働者派遣)、「人手不足は当社にとってはチャンスである」(民営職業紹介)といった声が聞かれた。

このほか、「娯楽サービス」(50.8%)、「飲食料品小売」(49.4%)、「旅館・ホテル」(47.6%)など、個人消費関連の業種が上位に並んだ。