あなたは普段、地元や旅先などで路線バスに乗る機会はありますか?
地方のバス路線では、共通する光景が見られることも多いよう。そんな「地方のバス路線あるある」を表現した、バスや鉄道に関する情報を投稿されている井上学さん(@kasobus)の投稿が反響を呼んでいます。
地方のバス路線でよく見る光景
終点まで1時間程度
こういう路線、好き(@kasobusより引用)|
「地方のバス路線でよく見かける光景」と題した地図状のイラストには、以下のような「地方の路線バスあるある」が凝縮されています。
- 起点は駅から微妙に離れたところにあるバスセンター
- お店はたくさんあるけど、歩いてる人を見かけない商店街
- 小さい集落でも必ずある酒販店と理髪店
- バイパスが開通してもあくまでもバスは旧道を走る
- トンネル早期開通を願う看板
- 運転士さんのプロの技に痺れる峠道
- 地域で最も賑わっているのがパチンコ店
- 集落の中心は農協
- バスの転回のためだけの何もない終点(ここまで乗ると「何しに来たか」運転士さんに必ず聞かれる)
この投稿に対し、リプライや引用リツイートでは、「広島やんけ!」「筑豊とかまさにコレです」「うちの周り完全にこれ」など、「地元がこんな感じ」といった声や、「『バイパスは無視』めちゃくちゃわかりみ」「あるあるすぎて笑った」など、「わかる!」「あるある」といったコメントで大盛り上がり。
「工場の名前が入った『〇〇工場前』なるバス停がある」「役場出張所、郵便局、病院を追加したい」と、さらなる「地方のバス路線あるある」を挙げる人もいました。
やはり、「地元みたい」「行ったことのあるあの場所みたい」と思うと、つい反応してしまう人が多かったようです。
このツイートをした井上学さんに、投稿の経緯などについてうかがいました。
「地方のバス路線でよく見る光景」、投稿者に聞いてみた
――この光景を投稿しようと思った経緯を教えてください。
わが家は車がないのでお出かけは鉄道やバスが中心で、私も家族も公共交通の移動が大好きです。ここ数年気軽に外出しにくい状況ですが、「どこかのバスに乗りに行きたいなぁ」と思っているなか、「こういう路線は楽しいな」と思い投稿しました。
私の専門は地理学で、大学で地理学の授業を教えることもあります。地理学の授業の最初にこの図を提示して、「なぜこのような光景が展開されているのか、その背景を地理学の視点から明らかにする」ことにも使おうと考えています。
――地理学の視点とは、例えばどのようなことでしょうか?
例えば、バスターミナルと鉄道駅が微妙に離れていることについてです。鉄道は都市の中心に建設しにくいため既存の都市域の外縁部に立地する一方、従来の中心地からも移動需要が発生するのでバスターミナルはそちら側に立地することが多々あります。
また、小さな集落にも酒販店や理髪店が存在するのは、それだけ私たちが生活するうえで、再近隣に立地していないと困るサービスだからです。このような点をふまえると、「あるある」な景観が展開されている背景の一端が理解できるでしょう。
――実際に、「この光景に似ている」と思う路線はありますか?
これまで乗車してきたバス路線を複合的にイメージしたので、特定の路線はありません。ご覧になられた方々が「この路線かもしれない」「この路線は似ているなぁ」と楽しんでいただければと思います。
――今回の投稿には、多くの方々から反響が寄せられていますね。
多くの方にご覧いただき、またコメントも多数頂戴し嬉しく思います。まだ乗車したことのないバス路線を紹介いただき、新たな発見に感謝しております。
今、公共交通の利用者は激減して危機的な状況にあります。普段利用していない交通手段を使うには心のハードルが高いかもしれませんが、お出かけの際、たまにで結構ですのでぜひバスや鉄道等もご利用いただければ幸いです。
車窓からの何気ない光景にも種々の背景があるので、どうしてそうなっているか関心をお持ちいただけると地理学の研究者として嬉しく思います。
地元や旅先で路線バスに乗るときは、車窓からの風景にどんな意味が隠れているのか、自分なりに読み解こうと意識してみると、バスでの移動がもっと楽しくなりそうですね。
地方のバス路線でよく見る光景
— Manabu INOUE (@kasobus) January 26, 2022
終点まで1時間程度
こういう路線、好き pic.twitter.com/jxLcDhmVyS