スーパー戦隊シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』は、いくつもの並行世界を手中に収めんとするトジテンド王朝の魔の手に立ち向かい、すべての世界を解放するため戦うスーパー戦隊・ゼンカイジャーの活躍を描く作品である。

ゼンカイジャーのメンバーは、ゼンカイザー/五色田介人(演:駒木根葵汰)と4人のキカイノイド(ジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーン)で構成されており、固い絆で結ばれた5人のチームワークがトジテンドの強敵を打ち破る。

  • 増子敦貴(ましこ・あつき)。2000年生まれ、福島県出身。エイベックス・マネジメント所属。高校1年のときに「Boys Award Audition 2016」でファイナリストとなり、芸能界入り。2018年のミュージカル「テニスの王子様3rdシーズン」で白石蔵ノ介を演じ、注目される。2019年、男女7人組のダンス&ボーカルグループ・GENICのメンバーとなり活動中。2019年にファースト写真集「A」を発表。2022年3月にはセカンド写真集の発売が予定されている。撮影:大塚素久(SYASYA)

第8カイ「ドアtoドアで別世界?!」からは、並行世界を渡り歩く世界海賊=「界賊」を名乗るゾックス・ゴールドツイカーが登場。妹フリント(演:森日菜美)、双子の弟カッタナー、リッキーという家族を大事にするゾックスは、当初こそ人間世界で傍若無人なふるまいをしていたが、介人をはじめとするゼンカイジャーとの交流が増えていくにつれ、次第に彼らとの親密度を増していった。

1年間にわたって繰り広げてきた『ゼンカイジャー』の物語も、いよいよクライマックスを迎えている。マイナビニュースではツーカイザー=ゾックス・ゴールドツイカーを演じる増子敦貴に単独インタビューを実施。ゾックスとして過ごしてきた日々の振り返りや、子どもたちのヒーローを演じることの意義、そして『ゼンカイジャー』の撮影で出会ったかけがえのないキャスト、スタッフへの思いを語ってくれた。

――2021年3月から始まった『ゼンカイジャー』ですが、早いものでもう終盤にさしかかってまいりました。本作でゾックスを演じてきた増子さんにとって、この1年はどんな印象でしたか?

長いようで短い、そんな1年でした。ちょうど最終回の台本をいただいたところなのですが(取材時)、撮影が始まったのがつい最近のように感じています。『ゼンカイジャー』もこれで終わるんだなと考えると、だんだんと寂しい気持ちになりますね。まだ終わってほしくない!という思いもあります。最終回のストーリーはまだ明かせませんが、とても『ゼンカイジャー』らしい終わり方なので、楽しみにしていてほしいです。台本といえば、毎回の台本の最後には「つづく」と書かれていたのが、最終回だけは「おわり」と書いてあって、切なくなりました。そこまでしっかり書くんだな……って。

――『ゼンカイジャー』はスーパー戦隊45作記念作でありながら、歴代のどの戦隊とも違う独自の路線を貫いていましたね。毎回、意表を突くストーリー展開で楽しませてもらいました。

『ゼンカイジャー』はコメディ要素が多くて、毎回ふざけているように見えるじゃないですか。でも最終回まで観ていけば、ちゃんとストーリーがまとまっていることがわかります。脚本を書かれている香村(純子)さんは本当にすごいなっていつも思っています。先日、僕たちが出演している『ゼンカイジャー』Gロッソ公演を香村さんが観に来てくださったことがあったんですが、「あの方の頭の中にゼンカイジャーの物語が詰まっているのか」と改めて思ったら、すごく緊張してしまいました。

――香村さんの頭の中から生まれたキャラクターであるゾックスが、増子さんという実体を得たことで、また意外な方向へ走り出していったとも言えますね。

香村さんの脚本と僕の演技とがお互い歩み寄りながら、ゾックスというキャラクターを作り上げられているとしたらとてもうれしいですし、演じてよかったなと思います。

――増子さんが初めてゾックスを演じたころを振り返って、どんな思いを抱かれますか。

第8カイ!の登場シーンは山口恭平監督に演出していただきました。僕にとって、ゾックスの骨子を築いた「パイロット」監督は山口監督です。そこから回を重ねるごとに、ゾックスやゴールドツイカー一家の過去も描かれ、セリフの言い方などからゾックスの人物像が見えてきて、一家がどういうキャラクターなのかが深くわかるようになっていきました。

――ゾックスは登場してしばらくは介人たちと反発していましたが、いくつかの事件を経てだんだんお互いを理解し、仲良くなっていきました。こういったゾックスの心境の変化を演じることについて、どう思われましたか?

きいちゃん(駒木根)ともそういうお話をよくするんです。演じていながら、自分でも知らないゾックスの一面が、回を追うごとに出てくる感じですよね。最終回の台本をもらって初めて気づいたこともあったりして。大変ではありますが、そういった部分も1年にわたって役を演じていく楽しみだと思っています。常にゾックスのことを考えていたら、ゾックスが僕のバディのような存在になっていきました。

――ゾックスといえば、登場する際の「ヨホホイ、ヨホホイ~」という独特な節回しの歌が印象的でした。

最初は「界賊の青年、飛び降りる ~ヨホホイ」としか台本に書かれてなくて、「ヨホホイって何? どう言えばいいのかな」って。歌についてはメロディラインの音源をいただき、そこに歌詞を被せて覚えていった感じでしたね。

――ギアダリンガーを手にして、ダイナミックかつ華麗なダンスを交えながらツーカイザーにチェンジする変身シーンもインパクトがありました。

ダンスについては「これが変身ダンスだよ」って、振付師の方に教えていただきました。その瞬間、僕がこれを踊る姿がテレビで流れるのを想像し、ちょっと震えました(笑)。実際オンエアされてみると、すごく強烈な印象をみなさんに与えられたようで、界賊らしい痛快さがあり、よかったと思います。変身ダンスの撮影のとき、ツーカイザーのスーツアクターをされているシゲさん(伊藤茂騎)とお会いして、お互いに振りを合わせたりしていました。