住宅ローンの返済が苦しいときの対処方法の1つに「リスケジュール」があります。リスケジュールは、金融機関に相談して毎月の返済額や返済期間を変更してもらうことです。 リスケジュールをすることで、住宅ローンの返済を続けられるかもしれません。ただしリスケジュールには注意点があり、有効な解決策にならないこともあります。

本記事では、住宅ローンのリスケジュールについて解説します。

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リスケジュールとは返済計画の見直し

住宅ローンのリスケジュールとは、簡単にいえば金融機関に相談して返済条件を変更してもらうことです。金融機関にリスケジュールを相談すると「毎月の返済額の減額」または「返済期限の延長」あるいはその両方が受けられます。

「毎月の返済額の減額」では、交渉次第で月々の返済を利息のみにしてもらえる場合があります。減額してもらえる期間は、半年または1年程度が一般的です。

「返済期限の延長」では、住宅ローンの返済期間の上限である35年以内の範囲内で、返済期間を延ばしてもらえます。ただし「完済時の年齢が75歳」などの制限があります。

リスケジュールをしてもらう方法

リスケジュールしてもらうためには、金融機関に相談したうえで審査に通過しなければなりません。返済できない理由や家計の状況を細かくヒアリングされたうえで、生活が立て直せる根拠と計画の説明を求められます。

リスケジュールしてもらえる可能性があるのは、将来的に安定した収入が見込める方や資金不足が一時的な方などです。病気・ケガでの休養や失業などで住宅ローンの返済が難しくなった方は、金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、金融庁から各金融機関に対してローンの返済が困難な人に柔軟に対応するよう要請が出ています。新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、返済が難しくなった方も金融機関に相談すると良いでしょう。

リスケジュールの注意点

リスケジュールには、以下の注意点があります。

1.返済負担が増える

そもそも住宅ローンは、借入額や金利が同じでも、返済期間が長いと利息負担が増えてしまいます。リスケジュールによって返済期間が延びたり元本の返済が先延ばしになったりすると、利息負担と返済総額は増えてしまうでしょう。

またリスケジュールをすると、住宅ローンの優遇金利(金融機関による割引)も受けられなくなることがあります。リスケジュールをするときは、毎月の返済額だけでなく返済総額も確認して判断することが大切です。

2.金融機関からの信用が下がる

リスケジュールをすると金融機関からの信用が下がり、新規での借入や借り換えが難しくなることがあります。

3.滞納しているとリスケジュールできない

住宅ローンの返済を滞納しているときは、金融機関にリスケジュールの相談ができません。滞納が長期間にわたると、金融機関に自宅を差し押さえられてしまう可能性もあります。返済が難しいのであれば、手遅れになる前に金融機関に相談しましょう。

まとめ:住宅ローンのリスケジュールは一時的な対策

住宅ローンの返済が苦しいときは、リスケジュールによって毎月の返済額を減らしてもらえる可能性があります。

ただしリスケジュールは、あくまで緊急的な対策に過ぎません。返済が難しい状況が一時的なものであり、再び返済できる見込みがなければ、リスケジュールは有効な解決策にならないでしょう。金融機関に相談する前に家計を見直して、余分な支出を削ることも大切です。

状況によっては、「借り換え」や「任意売却」のほうが効果的かもしれません。任意売却は、住宅ローンが残っている物件を金融機関の承認を得て売却することです。

返済が難しいときの対処方法は、リスケジュールだけではないため、早めに住宅ローンの専門家に相談することが重要です。