順次という言葉は、日常会話というよりビジネスシーンで多用される表現だといえます。ビジネスにおいてはちょっとした言葉の行き違いが大きなトラブルに発展することもあります。それだけによく使われる言葉の意味は、正確に理解して使いこなすことが大切です。

本記事では、順次の意味や適切な使い方を例文とともに解説します。

  • 順次の意味

    順次とはどのように使われる言葉なのでしょうか

順次の意味

順次は「じゅんじ」と読み、順を追って作業などを進めていくことを表す言葉です。ランダムに作業をするのではなく、順序にしたがって作業を進める際に用いられます。

また、目の前にある仕事を淡々と進めていくといったニュアンスも含まれます。

順次の一般的な使い方

順次という言葉は多くの作業をこなさなければならない場合に、順番に進めていくという意味で使用される表現です。

作業の順番に逆らうことなく、順にこなしていくことを表すため、たまっている仕事を古いものから順に作業をすすめるといったシーンで「順次行います」のように使われます。

一方で、効率化するために意図的に優先順位をつけて作業を行うときや、受けた仕事をその場で行うときなどは「順次」とは表現しませんので注意しましょう。

また、順次をプログラミング用語として使用する場合は、指示した処理を順番に実行・処理していくことを意味します。

順次発送とは

順次の使い方としてよく耳にするのが「順次発送」という言葉です。これは注文などを受けた際に、注文が完了した順、あるいは入荷された順番に発送していくという意味があります。

また、特別に何かを優先するのではなく、用意できたものから発送していくといった場合にも順次発送という言葉が使われます。

順次進行とは

順次進行は音楽用語のひとつで、ある音の2度以内の音程でメロディを展開していくこと、つまりは、隣の音に進ませる音のつなぎ方のことを意味する言葉です。一方で、より広い音程で進めることを跳躍進行といいます。

音楽の専門用語なので専門外の人が日常会話の中で使うことはあまりありませんが、覚えておきましょう。

順次と随時との違い

随時は「ずいじ」と読み、「好きなタイミングで」「いつでも」という意味をもちます。目の前の作業を順に行うことを意味する「順次」に対して、順番に関係なくいつでも自由に行うといったニュアンスがあるのが「随時」という表現です。

  • 順次の

    順次の意味を正しく理解しましょう

順次の類語・言い換え表現

順次にはいくつかの類語や言い換え可能な表現があります。ここでは、順次と言い換え可能な言葉の中でも、代表的なものをいくつか紹介します。

順番

順次よりわかりやすい表現として「順番、順番に」という言葉があります。こちらも順次と同様に、順に代わるがわるものごとを進めていく、作業を行うといった意味をもち、順次との言い換えも可能です。

順番は、ビジネスシーン以外の日常会話でも使いやすい表現といえるでしょう。

例文
・ブランコに乗るときは順番を守るように子どもに言い聞かせた。
・明日は話題のゲームの発売日だから、開店前から順番待ちの行列ができるだろう。

順繰(じゅんぐ)り

「順繰(じゅんぐ)り」もまた、何かの作業やものごとを順番に進めていくことを意味する表現です。こちらも順番と同じく、日常会話でも使用しやすい言葉といえます。

例文
・この会社では、入社した順で順繰りに昇給していくとされている。
・町内会の掃除当番は、あの家から順繰りにまわっていく決まりだ。

逐次(ちくじ)

「逐次」は「ちくじ」と読み、順番通りに次々と作業を行っていくという意味です。順次とは意味がほぼ同じのため、そのまま言い換えられます。

ただし、順次は「目の前にある仕事などをこなしていく」というニュアンスが強いのに対して、逐次は「決められたルールやスケジュールなどにしたがって進める」という意味合いが強くなります。この点を頭に入れておけば、使い分けやすいでしょう。

例文
・この新エリアは来月着工予定で、逐次拡大していくそうです。
・今後の作業については逐次ご報告します。

  • 順次の

    順次の言い換え表現を知っておくことで表現の幅が広がります

順次の英語表現

順次という言葉をいざ英語で表現するとなると悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

順次を英語で表現するときは「sequentially」を用いるのが一般的です。英語で「逐次」「続いて」と言い表したいときに使われます。

例文
・ to update sequentially (順次処理します)

  • 順次の

    順次の英語表現もしっかり覚えておきましょう

順次の使い方と例文

順次の使い方を具体的な例文を交えながら解説します。

ビジネスシーンにおける順次の使い方

ここでは、ビジネスシーンで多用されやすい順次の使い方を例文とともに紹介します。

・新しいプロジェクトの概要が決まったので来週から順次発表していきます。
・自分の席についた方から順次作業を進めてください。
・先日ご注文いただいた商品は、用意できたものから順次発送いたします。
・時間になりましたら順次ご案内いたしますので、そのままお待ちください。

順次は仕事の依頼に対する返答や、来客に対する案内など、さまざまな状況で使用されます。いろいろなシーンで使える便利な言葉のため、言い回しの表現をいくつか頭に入れておきましょう。

メールにおける順次の使い方

順次は口頭のみでなく、以下のようなメールの文面などで用いることが多い表現です。

・ご注文ありがとうございます。商品は順次発送いたしますので到着まで今しばらくお待ちください。
・今後の日程に関しましては順次メールにてご案内いたします。
・イベントの出演者については決定次第順次お知らせいたします。
・本プロジェクトのスケジュールが決定しましたので、順次進行させていただきます。

その他の順次の使い方

主にビジネスシーンで用いる機会が多い順次ですが、日常会話で使われるケースもあります。

・この商品は順次発送となっているので待っていれば到着するはずだ。
・あのスマートフォンの周辺機器はいろいろなメーカーから順次発売されるらしい。

順次は順番にといった意味でさまざまな場面で使用可能です。しかし、日常会話としてはやや硬い表現のため、先ほど説明した言い換え表現とあわせて使いこなせるようにしておきましょう。

  • 順次の

    順次の正しい使い方を例文で紹介しました

順次の意味を理解してビジネスシーンに活かそう

順次は主にビジネスの場で多用される言葉です。ものごとや作業などを順番通りに進めていくといった意味があります。

順次には言い換え可能な類語も多いため、あわせて理解しておくと表現の幅をさらに広げられます。この記事の中で例文とともに紹介した定番の言い回しなども覚えておきましょう。