ダイキン工業は12月24日、空気のプロが解説する「上手な換気の方法」と「上手なエアコン暖房の方法」について公開した。

  • 夏と冬の室内と室外の温度差

同社では、空気のプロとして、換気やエアコンの使い方など、空気に関するさまざまな困りごとの対策方法やノウハウを公開している。今回は、エアコン暖房の本格シーズンが到来する中、換気と寒さ対策として省エネで快適にエアコンを使用するためのポイントを紹介する。

まず、換気のポイントについて。空気が冷たい冬、起床時や帰宅時は、ONタイマーを活用して、事前に暖房を入れ部屋を暖かくしてから窓を開け、換気をするとよいという。冷えた壁、床、天井を暖めておくことで、窓開け換気をしても部屋の温度が下がりにくくなり、快適性の低下を抑えられる。部屋の温度が上がる前に窓を開けると、屋外からの冷気によって室温とエアコンの設定温度の差が広がり、エアコンにかかる負荷が増え、電気代が上がってしまう原因にもなる。

冬の窓開け換気の時間と回数の目安は、1時間ごとに5分から10分。30分ごとに5分を2回行った方がより効果的。夏場と比べて室内と室外の温度差が大きく、暖かい空気が冷たいところに逃げようとするため、窓を開けると空気が自然に流れやすくなる。風も強いので、夏場より少し短い時間でも換気できる。

エアコンをつけたままで換気をするときは、できるだけエアコンから離れた窓を開けるようにするのがポイント。エアコンから遠い窓を開ければ、室内に流入した冷たい空気は室内の暖気で暖められるため、エアコンに掛かる負荷が少なく電気代の抑制につながるという。エアコンが窓のそばに設置されていることもあるが、換気のための窓が引き違い窓の場合、エアコンから遠い方の扉を開けるだけでも、ある程度の効果が期待できる。

  • できるだけエアコンから離れた窓を開ける

冬ならではの困りごとのひとつ「結露」。結露は、室温と外気の温度差が大きく室内の湿度が高いときに発生しやすくなる。窓についた水滴をイメージしがちだが、窓だけでなく押し入れの奥や壁や床など、居住空間よりも温度が低い場所や空気の対流がない場所では、湿度の高い空気が冷やされて結露しやすく、カビの原因になる場合もある。

特にリビングは食事をしたり、人が長時間いたりして湿度が高くなりがちなスペース。就寝前に歯磨きをしている間だけでも、リビングの窓開け換気などをすると、屋内全体の結露の抑制にもつながる。

上手なエアコン暖房の方法としては、加湿空気清浄機の活用をすすめている。室内の空気をエアコン暖房で暖めると、相対的な湿度の低下による「乾燥」につながるだけでなく、快適性を妨げる「温度ムラ」も発生しやすい。暖かい空気は上昇するという特性があるため、エアコン暖房を使用すると、室内の天井側と床側に温度ムラができやすくなる。そこで、空気の乾燥と温度ムラを改善するために、「加湿空気清浄機」を使うことをすすめている。

  • エアコン暖房時の空気の動き

加湿空気清浄機の効果的な置き場所は、エアコンの正面の壁付近。加湿空気清浄機から吹き出す潤った風によって室内の空気を動かすことができ、温度ムラを解消しながら湿度を上げることができる。ただし、外気によって冷やされた窓際などは結露が起こりやすく、設置場所として適していないそうだ。

  • 加湿空気清浄機の置き場所

冬場の室内温度は18℃以上が目安とされている。湿度は、40%を下回るとウイルスが活発化し、60%を超えるとカビやダニが繁殖しやすくなる。定期的な窓開け換気をする際は、窓を開けているときでもエアコンと加湿空気清浄機をつけっぱなしにして、温度と湿度が下がらないようにするとよいという。

一般の家庭で、エアコン暖房をつけっぱなしにしながら定期的に窓開け換気をした際に、「加湿空気清浄機を使った場合」と「使わなかった場合」の湿度の違いを比較検証した。その結果、加湿空気清浄機で加湿をしていない場合、部屋の湿度は約30%の乾燥状態で推移していくのに対して、加湿をしている場合は、部屋の湿度は約40%の快適な状態に保つことができることがわかった。

  • 冬の換気とエアコン暖房、加湿の効果を検証

サーモグラフィによる可視化検証では、同じ温度でも湿度が高い方が、より暖かく感じることがわかった。加湿して体感温度を上げることで、エアコンの設定温度を控えめにすることもできるので、省エネ効果も期待できるという。

  • 同じ温度でも、湿度が上がると肌は暖かく感じる