東京商工リサーチは12月23日、第19回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査結果を発表した。調査は12月1日~9日、日本国内の企業7,446社(大企業621社、中小企業3,784社)を対象にインターネットで行われた。

  • 11月の売上高について

    11月の売上高について

調査によると、新型コロナウイルスの発生が企業活動に及ぼす影響について、「影響が継続している」という企業は、大企業(資本金1億円以上)が71.6%、中小企業(1億円未満や個人企業等)が65.3%(全体66.3%)。一方、「営業が出たがすでに収束した」という企業は、過去最多の13.9%にのぼった。

また、「影響が継続している」「影響が出たがすでに収束した」と回答した企業に対し、2021年11月の売上高について、前年同月(20年11月)を「100」とすると、どの程度であったかを教えてもらったところ、「100以上」は57.4%で、42.5%が前年割れ(減収)という結果に。「半減(50以下)」した企業を業種別で分析すると、「売上半減率」が高い順に「織物・衣服・身の回り品小売業」(10.0%)、「建設業」(9.8%)、「宿泊業」(9.6%)となった一方、2021年9月の売上半減率が31.9%と全業種中ワーストだった「飲食業」については、今回「ゼロ」という結果に。コロナ禍で客足が遠のいた前年同月との対比という条件付きではあるものの、緊急事態宣言などの全面解除、新規感染者数の減少で、飲食業の業況の底打ちを示す結果となった。

  • 在宅勤務の状況と、「出社率を引き上げた」「在宅勤務をやめた」理由

    在宅勤務の状況と、「出社率を引き上げた」「在宅勤務をやめた」理由

続いて、「在宅勤務の状況について伺います。9月30日をもって緊急事態宣言が全国で解除されましたが、出社率(出社する人数、日数)の方針に変化はありますか?」と質問したところ、「解除後は出社率を引き上げた」は13.5%、「解除後に在宅勤務制度を取りやめた」は5.7%で、合計2割近い企業で出社率を引き上げたことが明らかに。また、「解除前も解除後も在宅勤務制度を導入していない」中小企業は、46.4%と半数近くにのぼった。

「解除後は出社率を引き上げた」「解除後に在宅勤務制度を取りやめた」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、「感染リスクが低減されたため」(73.0%)が最も多く、次いで「従業員間のコミュニケーション不足」(48.6%)、「生産性が低下したため」(26.1%)、「在宅勤務をできない従業員との不公平感を解消するため」(25.3%)と続いた。

  • 廃業を検討する可能性について

    廃業を検討する可能性について

また、コロナ禍の収束が長引いた場合、大企業1.0%、中小企業6.8%が「廃業を検討する可能性がある」と回答し、前回調査(10月)より全体で0.3ポイント悪化。業種別にみると、特に「宿泊業」(28.5%)、「その他の生活関連サービス業」(27.7%)、「織物・衣服・身の回り品小売業」(22.7%)でその傾向が高く、続く「飲食店」(17.6%)は、前回調査から18.1ポイント減と、大幅に改善した。

さらに、コロナ禍での赤字累積や借入金の増加による「過剰債務」が問題に浮上しているが、借入金返済の見通しについて聞くと、51.9%が「全く問題ない」と回答。規模別では、大企業が71.9%、中小企業は48.5%という結果に。中小企業の半数以上が、コロナ禍で膨らんだ借入金の返済が万全の状態でないことが浮き彫りとなった。