不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にお金を借りることができるローンです。不動産(自宅)を担保にお金を借りるという点では、住宅ローンと大きな違いはありません。ただし、住宅ローンは資金使途が住宅購入に限定されるのに対し、不動産担保ローンの資金使途は基本的に自由です。そのため、既に借りているローンの借換資金や運転資金、開業資金、教育資金、納税資金など、状況に応じてさまざまな使途に利用できます。

銀行やノンバンクなど、多くの金融機関が不動産担保ローンを提供しています。そのため、初めて不動産担保ローンを利用する場合は、どのようなポイントを比較すればいいかわからないのではないでしょうか。そこで今回は、不動産担保ローンを比較する5つのポイントを紹介します。

比較するポイント1 ― 融資金額

不動産担保ローンの融資金額は、担保不動産の評価と会社ごとに設定している担保掛目でほぼ決まります。そのため、年収や勤務先、勤続年数といった個人の与信による上乗せは、あまり期待しないほうがいいでしょう。

担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して金融機関が設定する比率のことで、担保掛目が大きいと融資金額も大きくなります。一般的に担保掛目は評価額の70~80%程度に設定されており、金融機関によって差があります。

また、担保不動産の評価方法も金融機関によって異なるため、同じ担保不動産でも融資金額に差が出てきます。不動産担保ローンを利用する場合は、複数の金融機関に相談して融資金額を比較しましょう。

比較するポイント2 ― 費用(金利、手数料など)

不動産担保ローンでは金利や手数料がかかるため、これらの費用も比較するポイントになります。不動産担保ローンでかかる主な費用は以下の通りです。

  • 金利
  • 事務手数料
  • 登記費用(司法書士報酬、登録免許税など)
  • 審査に必要な書類の取得費用(住民票、印鑑証明書など)
  • 印紙代
  • 繰上返済手数料(一部繰上返済と全部繰上返済で手数料が異なる)

これらの中で、まず比較しておきたいのは金利です。融資金額と返済期間が同じ場合、金利によって月々の返済額や総返済額は大きく違ってきます。月々の返済額だけに注目しがちですが、必ず総返済額も比較しましょう。

また、事務手数料をはじめとする諸費用も無視できません。特に事務手数料は「融資金額の~%」という形でかかるため、数%の差で負担する費用は大きく変わります。借り換えの場合は、今まで借りていたローンの一括返済時に繰上返済手数料がかかるので、諸費用を考慮しても借り換えたほうが有利なのか判断する必要があります。

比較するポイント3 ― 融資までのスピード

不動産担保ローンの融資までのスピードは「最短3日」「1ヵ月程度」など、金融機関によって異なります。早期に資金を用意しなくてはならない場合は、借入が必要なタイミングを伝えて、希望する時期に間に合うかを確認するといいでしょう。早期に資金が必要なことを事前に伝えておけば、優先的に対応してくれる場合もあります。

ただし、融資までのスピードは早いほどいいとは限りません。担保不動産の価値を評価するには、現地調査なども必要になるため、ある程度の時間を要します。「即日融資が可能」とうたっている金融機関もありますが、担保不動産の価値を過小評価され、結果として金利が高くなってしまう可能性があるので注意が必要です。

比較するポイント4 ― 融資担当者の対応

不動産担保ローンを利用するときは、融資担当者の対応についても比較しましょう。一般の方にとって不動産担保ローンの手続きは複雑で、意味を理解するのが難しい用語も多く出てきます。融資担当者が手続きや用語についてわかりやすく解説し、サポートしてくれれば、初めてでも安心して利用できます。

金融機関によっては、専属の担当者をつけてくれたり、電話でサポートを受けられたりするところもあります。金利や費用はもちろん大事ですが、融資担当者の対応が適切でないと、スムーズに契約できずにトラブルになる恐れもあるので、安心して任せられる担当者を選びましょう。

比較するポイント5 ― 金融機関の信頼性

不動産担保ローンは、金融機関選びも重要なポイントになります。先程も触れたように、担保不動産の評価は金融機関によって異なるため、有利な条件で融資を受けるには信頼性の高い金融機関を選ぶことが大切です。

不動産担保ローンを借りている中で、融資を受けた金融機関が倒産する可能性もあります。また、金利や費用、融資までのスピードなど、1つのポイントだけで判断すると、ローンを借りたあとにトラブルに巻き込まれるかもしれません。営業年数や融資実績、ブランド、提案内容などを比較したうえで、安心して利用できる金融機関かどうか判断しましょう。

まとめ

不動産担保ローンは資金使途が基本的に自由なので、運転資金や開業資金など、まとまった現金が必要になった場合や長期で融資を受けたい場合に活用できます。ただし、金融機関によって担保不動産の評価方法は異なり、融資金額や金利などの融資条件、諸費用にも差があります。

不動産担保ローンを利用する際は、必ず複数の金融機関に相談して比較検討することが大切です。この記事で紹介した5つのポイントを参考に、不動産担保ローンを提供する金融機関を比較してみてください。

※この記事は「SBIエステートファイナンス」掲載「不動産担保ローンを比較する5つのポイント」より転載しています。