――遠藤さんは、俳優やMC、声だけの仕事など、多方面で活躍されていますが、そのメリットをどう捉えていますか?

マネージャーである女房からも勧められたことですが、いろいろとやらせていただいたことで、仕事の幅が広がったかなとは思っています。ひっきりなしにはチャレンジはできないですが、やっぱり自分の苦手なこともやっていったほうがいいですね。大昔に比べていろんな役をもらえるようになったのもそのおかげかなと。

――お正月は『エンケンさんとメロメロさん』を家で観られる感じですか?

仕事が5日から始まるので、4日に自分で観る勇気があったら観ようかと。なかなか自分が出たものは恥ずかしくて、オンタイムで観られないんです。もちろん仕事に対しては手を抜いたりせず、常に全力を傾けてやり切っているつもりですが、「ちゃんとできていたかな?」と、いつもドキドキしてしまいます。映画を試写室で観るのも昔から苦手でした。万が一、トイレに立たれようものなら、ガッカリしちゃう。年々根性がなくなってきた感じです。

――エゴサーチなどはされるほうですか?

やらないようにしています。もちろん、評判や感想を見ることはありますが、どんどん深掘りしていくと、結局ダメなコメントに突き当たるので。エゴサーチが好きだという人はすごいなと思います。僕は嫌な書き込みを見ると一発でダメになっちゃうというか、すぐに落ち込んじゃいますから(苦笑)。今の時代でもたまにファンレターを頂くことがありますが、最近はすごく深い内容のものを頂けて、そのときはすごくうれしかったです。

■もう一度連続ドラマを自分で書いてみたい

――来年の抱負やチャレンジしてみたいことがあれば聞かせてください。

実は4年ぐらい前からずっと考えていたことがありまして。結局、自分がやっていて一番楽しいことって何だろうと思ったとき、やっぱりものを作ることだなと思うので、自分でドラマを作りたいと思い、脚本を書いています。最初は自主映画をやろうと思いましたが、本気になって考えてみると、そこはまだ早いかなと思いました。60歳の僕が「早い」と言うのもおかしいんですが。

――すでに脚本を書き始めているということですか?

実は30歳ぐらいのときに、テレビの脚本を書いていた時期があり、もう一度連続ドラマを自分で書いてみたいと、4年前から思っていて。それで今年から書き始めましたが、4年経って2話分しかできてなくて。だいたい連ドラは10話なので、書き上げる頃には僕、死んじゃってるんじゃなかと(笑)。ギリギリどうなるか分からないけど、とりあえず長い年月をかけても書いていこうかと。

今はオリジナルのドラマが減っちゃってるし、コツコツ書いていくのも大変だけど、書くことは楽しいし、気分転換にもなります。誰かから要求されてやっていることではなく、勝手に思いついたことを書いていますが、今は夢中ですね。

――ちなみにどんなジャンルのドラマですか?

ホームドラマ、サスペンス、チームものが入った感じのドラマで、ちょっと寂れた街の話です。また、1話でもいいので、監督にもチャレンジしてみたいです。

――それはとても興味深いですね。

僕はいろいろとやってみたいタイプの人間ですが、日本では監督、脚本家、出演者というジャンルでいくと、あんまり俳優がしゃしゃり出すぎると、どうしても「おい!」という空気になってしまいがちで。でも、自分がこれまでやってきた中で、こういうことが面白い、こういうことが美しいといったこと全部を、自分の作品でバーッと吐き出してみたいです。まあ、ちゃんと脚本をやり遂げられたらの話ですが、10話のうち1話分だけでいいので、自分でちゃんと監督するということが今の夢です。

●遠藤憲一
1961年生まれ、東京都出身。83年、ドラマ『壬生の恋歌』(NHK)でデビューし、『IPPONグランプリ』(フジテレビ)などのナレーションや声優としても活躍する。近作のドラマは、『それぞれの断崖』(東海テレビ)、『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ)、『ドラマ星影のワルツ』(NHK)、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)、『ラジエーションハウスII ~放射線科の診断レポート~』(フジ)など。近作の映画は『バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』『地獄の花園』など。12月27日にはドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジ)、22年1月からは『ミステリと言う勿れ』(フジ)、『ユーチューバーに娘はやらん!』(テレビ東京)のスタートが控え、映画『劇場版ラジエーションハウス』(4月29日公開予定)にも出演する。

ジャケット:suzuki takayuki
シャツ:SANDINIST
ベスト:EEL Products
スタイリスト:中本コーソー
ヘアメイク:村上まどか