ネット広告は年々増え続けていますが、種類がいくつもあり、どれをどのように使えばいいのか分からない方もいるでしょう。それぞれターゲット顧客に違いがあり、適切なものを選ぶ必要があります。

この記事ではネット広告の概要、利用するメリット、代表的な種類について解説します。ネット広告運用の基礎知識として役立ててください。

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ネット広告の概要や特徴

まずネット広告とはそもそもどのようなものかについて解説します。

インターネットに掲載される広告の総称

ネット広告とは、パソコンやスマホ、タブレットでインターネットを利用しているときに表示される広告のことです。オンライン広告、デジタル広告と呼ばれることもあります。

ネット広告はWebサイト・メール・SNSなどあらゆる場所で利用されています。新型コロナウイルスの影響でデジタル化がさらに加速するなかで、ネット広告の利用はますます増加すると予想されます。

ネット広告の市場規模や今後の成長性

矢野経済研究所によると、2020年度のネット広告の市場規模は2兆1,290億円でした。2018年度は1億6,690億円でしたので、2年間で1.25倍に成長しました。

2021年度は2億4,370万円になる見込みで、2024年度は3億2,740億円にまで成長すると予測されています。

規制強化の動きもある

一方でネット広告の利用について、規制を強化する動きも見られます。

ネット広告をユーザーによって出し分ける「サードパーティークッキー」という技術があるのですが、これがユーザーのプライバシー侵害や、データの不適切利用につながると懸念されています。

Googleはサードパーティークッキーを2023年度の後半までに廃止することを決定しました。ユーザーのプライバシーに配慮しながら、適切な広告を配信できる代替の技術を導入する予定です。

ネット広告はマス広告より審査が緩いといった面もありましたが、今後は広告配信の適切さについて厳しく問われる流れになりつつあります。

しかし正規で適切な配信を行えば問題はないので、ネット広告は引き続き成長を続け、ユーザーにとっても利便性の高いものになると考えられます。

ネット広告の特徴・メリット

ここではネット広告の特徴について解説します。テレビや新聞といったマス広告にはないメリットもあります。

ターゲティングがしやすい

第1の特徴として、ターゲットを絞りやすいことが挙げられます。たとえばSNS広告ではユーザーの性別・年齢・地域といった属性、行動履歴などをもとにターゲットを絞り込めます。

リスティング広告であれば、とあるキーワードで検索をしたユーザーを対象に表示させることができます。商品やサービスに興味を持ちそうな層にターゲットを絞って広告を表示させることが可能です。

小規模の予算で始められる

ネット広告には下記のような料金体系もあり、比較的少額でも広告を打つことができます。

・インプレッション式:広告が表示された分だけ課金される
・クリック式:広告がクリックされた分だけ課金される

1クリックごとの単価や、全体の予算上限などを定めることも可能です。まずは小規模でテストすることもできます

効果測定がしやすい

インターネットは双方向のメディアであり、ユーザーの行動はデータとして残ります。よってマスメディアよりも効果測定がしやすいのも特徴です。

たとえば広告のクリック数、成約に結びついたコンバージョン数やコンバージョンレート、画面の表示時間、サイトの滞在時間などがデータで計測できます。

広告を出した結果、ユーザーの行動がどう変化したのか、望ましい結果が出たのかが明確に分かります

数値を分析して改善につなげられる

広告の効果をデータで分析することにより広告内容の改善につなげ、PDCAサイクルを速く回すことができます。マス広告と違い手元で検証できるので、コストや時間も削減できます。

利用する広告媒体のアカウントには日々データが蓄積されていきますので、データの状況を見ながら次の一手を計画することも可能です。

代表的なネット広告は7種類ある

ネット広告にもさまざまな分類方法がありますが、大まかに分けると7種類あります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

なおネット広告にはそれぞれに相応しいターゲット層があり、以下の4種類に分けられます。

・非認知・低関心:商品・サービスを知らない、興味関心がない
・潜在顧客:潜在的なニーズがあり、顧客になる可能性がある
・顕在顧客:明らかなニーズがあり成約率が高い
・顧客:利用したことのあるユーザー

ディスプレイ広告

・ターゲット:非認知・低関心
・具体例:Googleディスプレイ広告(GDN)、 Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)

各媒体のポータルサイト、サイト上の広告エリアなどに掲載される、画像やテキストの広告です。GoogleやYahoo!といった多くの方が訪問するサイトに掲載することで、商品・サービスの認知度を高めることができます。

アフィリエイト広告

・ターゲット:潜在顧客、顕在顧客
・具体例:A8.net、アクセストレード、バリューコマース

商品・サービスについてブログなどで紹介してもらい、リンクを経由することで購入を促す広告です。ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を通して広告の出稿を依頼します。

リスティング広告(検索連動型広告)

・ターゲット:顕在顧客
・具体例:Googleリスティング広告、Yahooリスティング広告

GoogleやYahooの検索結果の画面上部に表示される広告です。特定のキーワードを検索した人を対象に表示することが可能で、検索順位で上位を取らなくてもアピールできるのがメリットです。

リターゲティング広告

・ターゲット:潜在顧客、顕在顧客、顧客
・具体例:リマーケティング(Google)、サイトリターゲティング(Yahoo)

一度サイトを訪れた人を追跡し、一定期間広告を表示させる手法のことです。潜在顧客の購買意欲を高めたり、一度利用した顧客のリピート利用を促したりすることもできます。

SNS広告

・ターゲット:非認知・低関心、潜在顧客、顕在顧客、顧客
・具体例:Twitter広告、Instagram広告

SNSで流れる広告で、非認知から顧客まで幅広いユーザーを対象とします。SNSの利用者属性や行動履歴を生かし、細かくターゲットを絞って広告を配信することもできます。

動画広告

・ターゲット:非認知・低関心、潜在顧客
・具体例:YouTube広告、Facebook広告

動画を使った広告で、ネット広告のなかでもとくに近年増加している広告です。アニメやイラストも使えてユーザーの記憶に残りやすく、非認知ユーザーの関心も集めるのに役立ちます。

動画広告はさらに以下3種類があります。

・インストリーム広告:大きな画面に表示される、一般的な動画広告
・インバナー(インリード)広告:バナー枠の中で映像が流れる広告
・インリード広告:ユーザーがページをスクロールして動画広告が画面に表示されたら再生される広告

ネイティブ広告

・ターゲット:非認知・低関心、潜在顧客
・具体例: WEBメディアにおける記事広告

ネイティブ広告とは、掲載されている媒体に溶け込んで自然に見える広告です。表示形式や内容がその媒体と同様であり、通常の広告よりも読み飛ばされにくいのがメリットです。


ネット広告には多くの種類があり、各特徴を知ってターゲット顧客に応じて選び、広告掲載や運用を行います。

さらにネット広告の表示による認知獲得や情報提供、クリックによる購買検討など、それぞれにあった広告物や遷移先のページを用意するといいでしょう。