オープンワークは12月16日、調査レポート「Open Work残業と有休10年の変化」を発表した。調査は2012年1月~2021年11月に「Open Work」に投稿された社員による残業時間34万2,737件、および有休消化率34万6,506件のデータを集計し、10年間の変化をまとめた。

  • 月間平均残業時間と有休消化率の推移

    月間平均残業時間と有休消化率の推移

月間平均残業時間の推移をみると、2014年以降改善を続けており、10年前の残業時間は40時間を大きく超えていたのに対し、2021年は24時間となり、10年間で22時間減少した。また、有休消化率についても2014年以降上昇傾向にあり、10年前は5割にも届かない41%だったが、2021年では60%までに改善されていることがわかった。

年代別の変化を見て行くと、残業時間においては10年前に最も残業していたのは20代(48.5時間)で、40-50代(40.1時間)と8時間以上の差が。しかし、年を追うごとにその差は縮まり、2021年では20代が23.5時間で最も少なく、40-50代(24.3時間)と逆転。若い世代を中心にワーク・ライフ・バランスを重視する傾向は強くなっており、また昨今ではコロナ禍によるテレワークも普及したことから、自分で業務時間を調整しやすくなったことも影響している可能性がうかがえる結果に。

一方、有休消化率は、2021年では20代が63.3%なのに対し、30代が57.4%、40-50代が56.0%と、20代と他年代の差が開く結果に。2019年の法改正により、企業は10日以上の有休が付与されている労働者に対し年間5日間の有休を取得させることが義務付けられたことよって有休を取得しやすくなったという声も多く、こういった強制力が若手の休みにくさを多少解消したことがうかがえる結果となった。

  • 業界別に見る残業時間推移

    業界別に見る残業時間推移

業界別に残業時間の変化を見ると、10年間で大きく残業時間が減少したのは「建築、土木、設備工事」(-37.6時間)、「コンサルティング、シンクタンク」(-36.8時間)、「放送、出版、新聞、映像、音響」(-35.1時間)、「広告代理店、PR、SP、デザイン」(-33.6時間)、「不動産関連、住宅」(-33.6時間)で、いずれも10年前は60時間以上の平均残業時間であったものが、この10年で30時間以上減少した。

また、2021年の残業時間が最も少なかったのは、「ファッション、アパレル、繊維」の13.5時間で、続いて「旅行、ホテル、旅館、レジャー」の16.1時間、「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」の17.5時間となった。

  • 業界別に見る有休消化率推移

    業界別に見る有休消化率推移

業界別に有休消化率の変化を見ると、10年間で大きく上がった業界は「証券会社、投資ファンド、投資関連」(+29.7%)、「建築、土木、設備工事」(+29.5%)、「不動産関連、住宅」(+28.4%)、「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」(+27.7%)で、10年前は2割~3割程度の有休消化率だったのに対し、大きくポイントを上げた。

2021年で有休消化率が高かった業界は「通信、ISP、データセンター」の73.2%、「コールセンター、業務請負」の72.8%、「自動車、自動車部品、輸送機器」の71.8%で、いずれも7割を超える結果に。特に通信と自動車業界は10年前から6割以上の消化率で、さらにポイントを上げていることがわかった。