現在公開中の『仮面ライダー50周年記念映画 仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』は、8月に放送終了した『仮面ライダーセイバー』と現在放送中の『仮面ライダーリバイス』が豪華コラボを果たした仮面ライダーシリーズ恒例の「冬の劇場版」である。

本作では、仮面ライダー1号が誕生した「1971年」、その50年後となる現在=「2021年」、そしてさらに50年後の未来となる「2071年」と、100年の時間と空間をまたいで仮面ライダーたちが未知の敵に挑む、壮大なスケールの物語が描かれる。

  • 内藤秀一郎(ないとう・しゅういちろう)。1996年生まれ、埼玉県出身。WEB番組『真夏のオオカミくんには騙されない』(2017年)での出演をきっかけに、ドラマ『星屑リベンジャーズ』(2018年)、映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)など、テレビドラマ、映画、舞台で活動。『仮面ライダーセイバー』(2020年)の神山飛羽真/仮面ライダーセイバー役でテレビドラマ初主演を果たした。2022年1月より放送のテレビ朝日系土曜ナイトドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』にレギュラー出演する。 撮影:大門徹

映画公開を記念して、仮面ライダーセイバー/神山飛羽真を演じる内藤秀一郎がインタビューに登場。1年にわたる激闘を終え、立派な「先輩ライダー」となった飛羽真が、仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝(演:前田拳太郎)や仮面ライダーバイス(声:木村昴)とどのように接したのか、そして映画の中での飛羽真の存在意義、さらには『仮面ライダーゼロワン』(2019年)の飛電或人役・高橋文哉から受け継がれた「歴代1号ライダーの果たすべき役割」について、熱く語ってもらった。

――今回の映画では『仮面ライダーセイバー』の剣士たちが再集結を果たすとうかがっています。ひさびさのキャスト勢ぞろいについて、どんな思いがありますか。

映像作品としては久しぶりの集合でしたけど、「増刊号」(8月29日放送)のあと、『仮面ライダーセイバー ファイナルステージ』を各地で行うことができたので「みんな、久しぶり~」という感情はなかったんです。10月17日の最終公演スペシャルデーでは、これで『仮面ライダーセイバー』もいよいよ最後だと思い、感極まってボロ泣きしてしまいました。

――泣きといえば、飛羽真はテレビシリーズの中でも感情の起伏が激しい印象でした。幼なじみのルナと再会できる寸前で引き離されたときなど、激しい悲しみを表す演技のときは、かなり消耗したのではないですか。

疲れましたね。しかも1テイクで撮影が終わればいいですけれど、自分で芝居に納得いかなくて、もう一回やらせてくださいとテイクを重ねたこともありました。今の年齢になると、私生活で感情をむき出しにするような状況にはなりませんし、やっぱりああいう(泣きの)芝居は体力を使います。立ち回り、アクションとは違う、脳から疲れる感じですね。むしろ、アクションシーンの撮影のほうが、どれだけ激しくても疲れないんですよ。

――昨年はあいにくの「コロナ禍」の影響によって変則的な形になりましたが、毎年冬に「仮面ライダー共演」の映画が作られていたのはご存じでしたか?

もちろん知っていました。今年は例年どおり『仮面ライダーセイバー』と『仮面ライダーリバイス』のコラボ映画が実現して、とてもうれしく思っています。『仮面ライダーリバイス』とは「増刊号」ですでに共演済みですけれど、映画の大きなスクリーンで一緒に戦うことができて、感慨深いです。

――映画の台本が来たとき、まずどんなところをチェックされましたか。

飛羽真がこの映画で何をしたくて、何を伝えたいのかを真っ先に確認しました。仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイスを助けるため、セイバーがかけつけるという展開の中、僕が飛羽真としてどういうメッセージを届けられるのか、台本を読みながらずっと考えていました。

――仮面ライダーリバイ/一輝役の前田拳太郎さん、そして一輝の弟・仮面ライダーライブ/大二役の日向亘さんたちの印象はいかがでしたか。

前田くんとは『仮面ライダーセイバー』の「増刊号」以来の共演になりましたが、あのときよりも「座長」としての役割をしっかり果たしているのが一目見てわかりましたし、こんな短い間ですごくたくましくなったなと驚きました。大二の日向くんは今回の映画で初めてご一緒しましたけど、すごく可愛いというか(笑)、素直でいい人だな~って思えるんですよね。本当に、いい後輩ライダーが出てきてくれてうれしいですよ。『仮面ライダーセイバー』はキャスト同士の仲がすごくよくて、現場でもいい雰囲気を作ることができました。同じように『仮面ライダーリバイス』キャストのみんなもとても明るく、仲良さそうだなって思いましたし、現場でよい空気を作り上げていました。

――実際に、前田さんよりも内藤さんのほうが年齢も上で、先輩っぽい感じがありますね。

僕がいま25歳で、前田くんは22歳なんです。現場でも僕に「ここ、どうしたらいいですかね」なんて芝居について尋ねてきてくれるので、そういうとき「ああ自分は仮面ライダーの先輩なんだな」と実感し、1年間『仮面ライダーセイバー』をやってきた経験から、前田くんに何かアドバイスができればいいなと思いました。これは僕の個人的な感想なのですが、前田くんはたぶんこれから年齢を重ねていっても、あの真面目な部分は変わらないと思います。

――内藤さんから前田さんに、どんなアドバイスをされたのですか。

『仮面ライダーリバイス』が始まって3ヶ月くらいになりますよね。昨年の僕も同じことを思っていたんですが、前田くんは近ごろ「新しいライダーがどんどん出てきて、みんなカッコいいし、1号ライダーのリバイが目立たなくなるんじゃないか」と心配していたようなんです。僕のときも「1号ライダーの仮面ライダーセイバーが、後から出てきた仮面ライダーに押されてしまうんじゃないか」みたいな不安がありましたが、『仮面ライダーゼロワン』の高橋文哉くんから「作品を良くも悪くもできるのが1号ライダーという存在。新ライダーが出てきたとき、彼らをどんどん引き立たせていかないと作品自体が良くならない。それができるのは1号ライダーだけ」と言われたんです。その言葉が自分にとっての励みになったので、同じことを前田くんにも伝えました。

――すばらしいですね。ゼロワンからセイバーへ、そしてセイバーからリバイへと受け継がれていく「1号ライダーの心得」という感じで。

やっぱり、2号、3号ライダーのほうが見た目も派手で、人気を集めることもありますからね。ちょっと悔しいとか、不安も多いんです。でも1号ライダーは座長として他のライダーみんなを盛り立てていく立場。作品をいい方向へ持っていくことができる。前田くんは真面目なので、いろいろなことをかかえて悩むかもしれませんが、悩みすぎないほうがいいよって話をよくしていました。