「上京」という言葉はさまざまなシーンで使用されますが、具体的な言葉の意味までくわしく考えたことがないという方も多いでしょう。

この記事では、「上京」という言葉の意味や考え方を紹介するとともに、例文とあわせて使い方もくわしく解説します。

  • 上京の意味

    上京という言葉を正しく理解しましょう

上京(じょうきょう)の意味

現代において、「上京」とは基本的に「東京へ行く」ことを意味しますが、必ずしも東京だけを指すわけではありません。そのため、話の流れから言葉の意味を正しく読み取ることができなければ誤解を生む可能性があります。

ここでは、いろいろな角度から上京の意味について解説します。

上京の「京」は都のことを指す

上京は単に「東京へ行く」という意味で使われることもあります。そう考えると、京=東京であると考えるかもしれません。もちろん、現在において日本の京、つまり都は東京都です。

もともと、京とは日本の都のことを指す言葉であり、天皇陛下がお住まいになっている場所のことを指す言葉です。その京に向かって進むことを「上り」といいます。

電車でも、地方から東京へ向かう電車は「上り」と呼ばれ、逆に離れていく電車は「下り」と呼ばれます。高速道路などでも同様です。つまり、京(都)へと移動することを「上京」と表すことができます。

現在の日本の首都は東京ですが、仮に首都が他の場所に移動すると、今度はそこに向かうことが上京と呼ばれることになります。例えば、首都が岡山県に移されたとすれば、今度は岡山へと向かう電車や高速道路が「上り」となり、そこに行くことが上京となるわけです。

事実、京都や奈良などに都があった時代、上京とは京都や奈良へと向かうことを指していました。このように考えると、必ずしも「上京=東京へ向かうこと」とはいい切れないとわかるでしょう。

東京都全域が京にあたる?

現在の首都は東京都ですが、上京というと都心へ出ることをイメージする方も多いでしょう。単に東京都といっても面積が広く、都心とそこから外れたエリアでは雰囲気は大きく異なります。

この定義については曖昧ですが、現在では一般的に上京というと東京23区内へと移動することを指すのが無難といえます。明確に定められているわけではありませんが、東京都内というよりも、中心エリアを京と考えることの方が多く、都心から離れた伊豆諸島や小笠原諸島、もっといえば八王子や町田といったエリアに行くことを上京と呼ぶには抵抗感を抱いてしまう人もいるようです。

首都といえば東京全域を指しますが、京というと人によってイメージが分かれるため、その線引きも曖昧になってしまいます。上京という言葉を使用する際には注意しましょう。

「東京への移動」はすべて「上京」という?

上京というと、単に東京に向かうだけでなく、遠い場所へ行くというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

もちろん、言葉の意味としては「東京への移動」はすべて「上京」と呼んでも決して間違いではありません。しかし、埼玉や神奈川など隣県から東京に行くことを「上京」と呼ぶには違和感を覚える人もいるでしょう。

神奈川県でも横浜や川崎からであれば、都心まで電車でほんの十数分で行くことができます。この移動を上京と呼べるのかと考えてしまう人もいるかもしれません。

また、言葉の意味としては東京の隣県から東京へ移動することを上京と呼ぶのは間違いではありませんが、一般的な考え方としては神奈川や埼玉、千葉などから東京へ移動することを上京と呼ぶことはほとんどありません。

ただし、この解釈も曖昧であり、人によってとらえ方はさまざまであるということを頭に入れておきましょう。

決意表明としての「上京」

「上京」という言葉は、「夢を叶える」といった決意表明の意味合いでも使用されます。

現在では交通網や通信技術が発達したこともあり、以前ほど東京と地方の差はそこまで大きくはなくなりました。東京に出るのではなく、逆に地方へと移住して夢を叶えるという選択肢を選ぶ方も増えてきているようです。

一方で、かつて東京は、日本の中心としての存在感が強く、夢を叶える場所というイメージが持たれていました。そのため、上京という言葉には、夢を叶えるために地元を出るというニュアンスが含まれることがあります。

  • 上京の使い方

    上京という言葉にはさまざまな解釈があります

「上京」の使い方と例文

「上京」という言葉は定義が曖昧な部分もあり、単なる移動とは異なる意味が込められることもあります。それだけに正しい使い方を身につけることが大切です。

ここでは、例文を挙げながら「上京」の正しい使い方について解説します。

「上京」の日常会話での使い方

「上京」という言葉は日常会話でも当たり前のように使われています。例文で普段の会話での使い方をみていきましょう。

・ミュージシャンになるという夢を叶えるために上京しようと思う。

・上京してから10年が経ちましたが、故郷の家族のことを忘れる日はありません。

・進学のために上京しましたが、卒業後は地元に帰って就職するつもりです。

・上京の資金を貯めるためにアルバイトを頑張っています。

・彼は、大きな目標を持って上京してきたようだ。

「上京」は、日常会話の中では単に「東京へ移動する」という意味のみではなく、「夢を叶えるために地元を出る」といった意味が込められるケースも多いです。

「上京」のビジネスシーンでの使い方

続いては、ビジネスシーンにおける「上京」の使い方を例文で見ていきましょう。

・上京してきたばかりで慣れないことも多いだろうが頑張ってほしい。

・本社転勤で君には上京してもらいたい。

・上京してきた頃の気持ちを忘れずに仕事に励みたいと思います。

ビジネスシーンでは単なる「東京への移動」という意味で上京を使うこともあります。

  • 上京の英語表現

    上京の正しい使い方を身につけましょう

「上京」の英語表現

上京は日本語では当たり前のように使われる言葉ですが、英語になると表現がすぐに出てこないという人も多いでしょう。

ここでは、上京の英語表現を紹介します。

go up to Tokyo(capital)

東京に向かって移動することを意味する「go up to Tokyo」は上京の英訳です。また、首都への移動という意味で使う場合は「go up to capital」と表現することもあります。

be up in Tokyo

東京へ向かっている最中であると表現したい場合は「be up in Tokyo」と英訳します。上京中であることを表す際に、使用できる表現です。

  • 上京に置き換え表現はある?

    英語表現を身につけてコミュニケーションを円滑にしましょう

「上京」の類語・言い換え表現は?

「上京」にはいくつかの言い換え表現があります。表現の引き出しを増やすことで、コミュニケーション能力の向上につながります。

ここでは、「上京」と似た意味をもつ言い換え表現をいくつか紹介します。

上京は「上り」と表現されることもある

上京することを単に「上り」と表現することがあります。電車や高速道路の東京へと向かう路線のことをイメージするとわかりやすいでしょう。

出京(しゅっきょう)

出京(しゅっきょう)は、地方を出て都へと出ることを意味する言葉です。現在では地方から東京へと向かう言葉として用いられることもあるため、上京の置き換え表現としても使われます。

東上(とうじょう)

東上(とうじょう)は、西の地方から東の都へと向かうことを表す言葉です。古くから使われてきた表現ですが、明治時代以降は東京へと行くという意味で使われています。

入洛(じゅらく)

入洛(じゅらく)は、都に入ることを意味します。特に身分の高い人が都に入ることを表す際に使われる言葉です。現在ではあまり使われない表現ですが、上京の置き換え表現のひとつとして覚えておきましょう。

  • 上京について正しく理解しよう

    上京の言い換え表現もしっかりと頭に入れておきましょう

「上京」という言葉について正しく理解しよう

「上京」は「東京へと向かう」という意味がありますが、場合によってさまざまな意味が込められていることもあり、使い方の定義は曖昧です。そのため、日常生活において使う上では、この記事で紹介した一般的な考え方やイメージを覚えておくといいでしょう。