今年も冬のボーナスが支給される時期となりました。コロナによる経済への影響が引き続き気になりますが、2021年冬のボーナスはどうなるのでしょうか。そこで本稿では、公務員の冬のボーナスについて、平均支給額などを解説しました。
2021年公務員の冬ボーナスはいくら?
国家公務員のボーナスは、人事院の規則により、夏は6月30日、冬は12月10日の支給と決められています。今年の国家公務員の夏のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は、66万1,100円で前年比2.8%減でした。夏のボーナスが減少するのは、東日本大震災後に復興財源を確保する目的で引き下げられた、2012年以来9年ぶりのことです。地方公務員も含めると、公務員1人当たりのボーナス平均支給額は、73万1,290円と前年比1.6%減でした。
では、12月10日に支給される今年の冬のボーナスは、いくらになるのでしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、2021年冬の国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は60万7,600円で、前年比7.0%減、4年連続の減少と予測されています。2020年冬の国家公務員のボーナスは65万3,600円でしたので、金額にして4万6,000円のマイナスです。
ちなみに、国家公務員の過去の冬ボーナス平均支給額は、2019年~2016年では以下のようになっています(内閣官房内閣人事局 報道資料より)。
このように推移を見てみると、今年の冬のボーナスは、これまでより大きく減少したことがわかります。国家公務員のボーナスが減少した要因としては、職員の平均年齢の低下により基本給が減少したこと、そして、今年の人事院勧告を受け、年間を通したボーナス支給月数が引き下げられたことが挙げられます。
これまで、民間企業のボーナスには、すでにコロナ禍の影響が反映されていました。しかし、昨年冬や今年夏の公務員のボーナスは、2019年8月から2020年7月までの民間のボーナス支給実績に基づいており、コロナ禍での民間企業のボーナス大幅減が十分には反映されていませんでした。
一方、今年冬と来年夏の国家公務員のボーナスは、2020年8月から2021年7月までの民間のボーナス実績に基づいて決められます。この時期、民間企業のボーナスはすでにコロナ禍の影響を受けていたため、それが今年冬と来年夏の公務員のボーナスを下押しする要因となっています。
それでは、地方公務員も含めた場合では、どうでしょうか。みずほ総合研究所「2021年冬季ボーナス予測(2021年11月11日発表)」によると、地方公務員も合わせた公務員1人当たりのボーナス支給額は、前年比6.3%減の67万7,400円と予測されています。
ちなみに、地方公務員の場合、各地域の条例に基づいてボーナスが支給されますが、多くは国家公務員と同じ6月30日と12月10日が支給日となっているようです。また、地方公務員のボーナスは、国家公務員の動向を参考にし、それに準じる形で支給額が決められます。
引き下げは2022年夏まで先送りに
国家公務員の給与やボーナスは、民間企業の給与調査のうえ、民間の水準に合わせるよう「人事院勧告」によって勧告されます。そして、人事院勧告の結果、給与法が改正され、国家公務員の給与やボーナスが決まるという仕組みになっています。
今年8月には、国家公務員のボーナスについて、民間との格差を解消するため、0.15か月分引き下げ年間4.3か月分にするよう人事院勧告がありました。しかし、新型コロナで打撃を受ける経済や、民間の給与などへの影響を考慮する必要があるとし、今年冬のボーナスには引き下げを反映させず、来年6月に支給される夏のボーナスに先送りすることが決められました。つまり、この冬のボーナスの引き下げ分は、事後的に、来年夏のボーナスで差し引かれることになるのです。
人事院に準じる形で、全都道府県の人事委員会もボーナスの引き下げを勧告しています。ただし、地方公務員の場合、給与改定のタイミングが自治体によって異なります。そのため、引き下げ分が今年冬のボーナスに反映される自治体、2022年夏のボーナスに先送りされる自治体に分かれそうです。
内閣人事局によると、人事院勧告で示されたボーナスの引き下げを、年度を超えて反映させるのは初めてとのこと。こうした異例の対応が取られた背景には、経済や民間の給与への影響のほか、今年は衆院解散・総選挙があった関係で、臨時国会の召集が12月になることも挙げられます。冬のボーナス支給基準日である12月1日までに法改正が間に合わないため、今回の冬のボーナスには人事院勧告の結果が反映できないという事情もあるようです。
今回は大幅ダウンとなった公務員のボーナス
2021年の公務員の冬ボーナスは、これまでのコロナ禍の影響が反映され、大幅減となりました。しかし、国家公務員と一部の自治体では、来年夏のボーナスから減少分が差し引かれるため、今回のボーナスでは、一旦差し引かれずに支給されます。民間企業では、コロナ禍の影響が一巡し、減少に歯止めがかかったと見られる今冬のボーナス。公務員のボーナスも、今後、民間の業績が悪化しなければ、来年には改善を示すでしょう。