飛鳥時代のスーパースター、聖徳太子。その“ふるさと”といえば、奈良県のほぼ真ん中に位置する「明日香村」です。村内は歴史的に見ても、ビッグネームなスポットが多く、“村まるごと遺跡”といっても過言ではないほど、見どころが多い場所。ひとたび古墳や遺跡の見学会を行えば、村の人口よりも多い、1万人クラスの歴史ファンが全国から大集結することも……!
また近年は、おしゃれなカフェも急増中。歴史ファンならずとも、ゆるい時間を過ごせる「チル旅」の旅先としても注目です。
今回は、そんな「明日香村」にフォーカス。全6回に分けて、さまざまな視点から楽しみ方をご紹介します。第3回目のテーマは、美しい日本の原風景が数多く残る場所として、今、密かに人気の「奥飛鳥エリア」。のどかな里山でリフレッシュしたい人にぴったりです!
【過去回はこちら】
第一回 初めての明日香村観光 おすすめモデルコース編
【9:00】まるで食材の玉手箱!朝一番の「あすか夢販売所」
いざ、「奥飛鳥」へのドライブ旅がスタート!
まず最初に立ち寄ったのは、近鉄「飛鳥駅」隣りの直売所「あすか夢販売所」です。ここは農家直送だから、超新鮮でお値打ち。さらに明日香村の魅力を「食」を通じて知ることができます。
たとえば、江戸時代からミカン栽培が盛んな明日香村は、ミカンもひと味違う!
明日香村では、年明けから出荷される「晩生(おくて)ミカン」を木造の蔵で熟成させる風習があり、蔵の棚にパンパンにミカンが詰まっている様子は、今で言うまさに“映え”。棚の上にどさっと置かれたミカンを眺めて、「この子は蔵出しミカンかな?」と想像するワクワク感もあります。
朝一番は食材の宝庫。せっかくなら、人気のスイーツも楽しみたいですよね。
イチオシは、「あすか小町」が作る「あすか 黒豆きなこプリン」。
明日香村産の黒豆きな粉を使用していて、口に含むと、きな粉のこうばしい香りがふわっと広がります。とろんとなめらかな食感で、のど越し良く食べられますよ。
<金曜に訪れるなら、注目度が高い憩いのマルシェへ>
金曜日なら、「あすか夢の楽市駐車場」で開催される「明日香ビオマルシェ」に立ち寄ってみるのもいいでしょう。
「ビオ」とは、フランス農務省が認可する有機栽培由来の商品。日本でいう、オーガニック製品です。ヘルシーでおいしい、さらにオシャレ!そんなビオな農産物&フード、ドリンクを販売しているのが「明日香ビオマルシェ」です。
のぞいてみると、明日香村生まれの平飼いたまごのお店も!ビオの加工品も色々そろっているので、お土産スポットとして出かけてみるのもおすすめです。
<奥飛鳥ってどんなとこ?>
「飛鳥駅」から車を走らせ、県道15号を南へ。メジャーな古墳「石舞台古墳」を超え、さらに奥へ進むと、美しい棚田で知られる「稲渕(いなぶち)」集落に入ります。
「奥飛鳥」とは、飛鳥川の源流域に広がる4つの集落「稲渕」「栢森(かやのもり)」「入谷(にゅうだに)」「畑(はた)」の総称。そのうち3つの集落は、その美しい農村風景が、国の重要文化的景観にも選定されました。
そして飛鳥川も、「奥飛鳥」の見どころのひとつ。この川は、川底がくっきり見えるほど透明度が高くて、水がきれい!川の流れを眺めているだけで、身も心もリフレッシュします。
【10:30】ミステリアスすぎる!ワンダーな大人の神事
「稲渕(いなぶち)」といえば、美しい棚田の他に、知る人ぞ知るワンダーな神事でも知られています。それが、子孫繁栄と五穀豊穣を祈る、明日香村ならではの「綱掛神事」。
明日香村には2つの「綱掛神事」がありますが、そのうちのひとつが「稲渕」の神事。こちらは“神式”で行い「男綱」を飛鳥川にかけます。この「男綱」を見てびっくり仰天!そこにダラン……と掛けられていたのは、男性のシンボルを模したものだったのです。
そして、もうひとつの「栢森」の神事は、“仏式”で行うことが特徴で「女綱」を飛鳥川にかけます。お察しかと思いますが、こちらは女性のシンボルを模したもの!驚きながらも、アダルトな光景にドキドキが止まりません。
しかしなぜ、このような神事が行われているのか、気になりますよね。「男綱・女綱」には、子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、疫病の侵入を防ぐ「結界」の役目があるのだとか。分かりやすくいうと、「集落の中に、悪いものが入ってこんといて~!!」という願いが込められているのです。