政府は11月19日「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定した。この中で、私たちの暮らしはどのように変わっていくのだろうか。内閣府の公表資料を参照し、まとめてみた。

  • 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」/出典:首相官邸ホームページhttps://www.kantei.go.jp/jp/pages/keizaitaisaku_20211119.html

■まずは確認しておきたい「コロナ対策」

まず、政府は喫緊かつ最重要の課題として新型コロナウイルス感染症対策を挙げており、その内容はコロナの予防、発見、早期治療までの一連の流れを踏まえた包括的な対策となっている。ここから、コロナ禍から平常時の生活への流れが加速する可能性がある。

この点、感染力が2倍になった場合にも対応可能な医療提供体制の強化を図ると明言し、そのために以下の4点に取り組むとしている。

・公立公的病院の新型コロナウイルス感染症専用病床化
・本年 12 月より医療機関別の病床の確保・使用率の毎月公表
・感染拡大時には確保病床の8割以上を確実に稼働できる体制構築
・自宅・宿泊療養者への健康観察や診療の強化

さらに、ワクチンの追加接種の無料実施だけでなく、罹患した場合の備えとして、治療薬(中和抗体薬・経口薬)の確保・投与体制の構築を挙げると同時に、健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない者を対象に、予約不要・無料のPCR・抗原定性等検査を来年3月末まで予約不要、無料としている。

■10万円の給付金にマイナポイント付与、GoToも再開!

次が(1)感染症の影響により厳しい状況にある方々への支援、(2)経済再開のための各種需要喚起策である。生活が厳しい方はよりサポートを受けられるようになり、そうではない方もコロナで十分にできなかった買い物やレジャーなどを楽しみやすくなるだろう。

(1)として具体的には

・住民税非課税世帯への1世帯当たり10 万円の現金給付
・学生等の学びを継続するための緊急給付金の支給
・0歳から高校3年生までの子供たちに1人当たり10万円相当の給付(年収 960 万円以上の世帯を除く)

などが挙げられる。

(2)としては

・10 万円相当のマイナポイント(1人当たり最大2万円相当)の付与
・Go Toトラベル、Go To イート等による需要喚起

この点、Go Toトラベルは、週末の混雑回避の工夫や中小事業者への配慮の観点から、制度の見直しについても検討しつつ再開される予定で、Go To イート事業等は、感染状況等を踏まえつつ、来年のゴールデンウィーク頃までを基本として、実施する方針とされている。

■住宅ローン減税・リフォーム税制や賃上げの動向にも注目を

最後が、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の部分である。内容は、(1)成長戦略と(2)分配戦略の2つに大別される。

(1)としては、政府は科学技術立国の実現のため「2050 年カーボンニュートラルの実現に向けたクリーンエネルギー戦略」を掲げている。

国民のライフスタイル転換の観点で、住宅ローン減税のあり方やリフォーム税制の拡充・延長等について今後議論される予定であり、住宅取得やリフォームを検討されている方は今後の動向に注意する必要がある。

(2)としては、賃上げと人材育成の強力な推進などを挙げており、賃上げに関しては、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員が対象となっている。

また、人材育成の強力な推進としては、働き手がデジタルなどの新しい時代のスキルを身につけられるように「人」への投資を抜本的に強化するため、3年間で4,000億円の施策パッケージを盛り込んでいる。コロナ禍でキャリアチェンジを検討している人にはこれから特にアンテナを張っておきたい部分といえるだろう。

民間派遣会社を通じたITスキル等の研修・紹介予定派遣等の実施や大学等のリカレント教育や職業訓練の拡充などが明記されており、今まで以上に幅広い形でキャリア形成のサポートを受けやすくなることが予想される。

一部の間で批判もある経済対策ではあるが、これを機にコロナと経済の両立がいっそう進むことを期待したい。

  • 「経済対策の概要」/出典:内閣府ホームページhttps://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2021/20211119_taisaku_gaiyo.pdf