「自在結び」とは、キャンプなどのアウトドアでテントやタープを張るときに基本となるロープワークのひとつです。アウトドア初心者にとっては、よくわからないと感じる人もいるでしょう。
この記事では、自在結びの結び方や種類についてわかりやすく紹介します。ロープワークの基本となる「もやい結び」や「ふた結び」なども解説しています。これらの結び方を知っておくと、アウトドアシーンに限らす、日常生活の中でも便利ですので、ぜひ参考にしてみてください。
自在結びとは
「自在結び」は、ロープワークの基本ともいわれる結び方です。すばやく丈夫な結び目をつくれることから、キャンプなどのアウトドアシーンではもちろん、日常生活でも活用できます。
自在結びをできるようにしておくと、アウトドアでのテントを設営したりタープを固定したりするときにも役立ちます。
自在結びは自在金具がなくても調整が可能
キャンプ用品のひとつに、金属やプラスチックでできた「自在金具」があります。
この金具を使うと、ロープの張力を簡単に調整できるため、「自在付きロープ」がキャンプでは便利なアイテムとして人気です。ただし、自在結びができれば自在金具を使わずともロープを調整することができます。
自在結びには、結び目をスライドさせるだけでロープの張りを自由に調整できるというメリットがあります。自在結びをマスターしていると、自在金具が壊れたり、自在付きロープの本数が足りなかったりするときに役に立ちます。
自在結びはカラビナと組み合わせると便利
自在結びなどのロープワークを前もって練習していたとしても、「すぐには覚えられない」という人もいるでしょう。どんなロープワークも繰り返し練習しておかなければ、いざというときに実践できないこともありますよね。
「ロープワークが苦手」「まだ理解できていない」と感じるうちは、ロープ締め機能付きのカラビナを活用すると便利です。ロープ締め機能付きのカラビナがあれば、自在結びがうまくできなくても簡単にロープを締めることができます。
自在付きロープやロープ締め機能付きカラビナなど、便利なアイテムをうまく取り入れつつ、自在結びの練習をしていきましょう。
自在結びの結び方
自在結びには、いくつかのパターンがあります。パターンによって結び方の手順に違いがあり、ロープのほどけやすさも変わってきます。そのため、人によっては好んで使うパターンも違ってくるでしょう。
ここでは、自在結びの最も簡単な結び方を説明しますが、自分により合った結び方を知りたいという人は、ほかの方法もぜひ試してみてくださいね。
自在結びの練習をする際は、細いロープや紐などを使うと結び目の確認がしやすくなります。
自在結びの結び方の手順
自在結びは、反時計回りに4回ロープを巻きつける結び方をするのが基本です。ここでは、文章で簡単に解説しますが、覚える方法としては手の動きも確認できる動画やイラストで解説しているものもありますので、上手に活用してみてください。
自在結びの結び方を7つのステップにわけて説明していきます。
(1) ペグなどの杭の先端にロープを引っかけます。このとき、ロープの先端は50センチ以上引き出しておいてください。
(2) ロープの先端を軸となるロープの下側に通して、杭に向かって反時計回りに1回巻きつけて輪を作ります。
(3) 1回巻きつけた(2)の状態のまま、ロープの先端を引き延ばします。
(4) 1つめの結び目から30センチほど離れた場所で、(2)と同じ手順で反時計回りにロープを1回巻きつけます。
(5) そのまま、もう1度反時計回りにロープを1回巻きつけてください。
(6) ここまでで3つ結び目ができているはずです。そのまま、4つめも同じように反時計回りにロープを1回巻きつけます。
(7) 4つめの結び目をつまんで先端を引っ張り、結び目をしっかりと締めていきます。
以上の手順で自在結びが完成すると、結び目は全部で2つできているはずです。結び終わったら、きれいな結び目になっているか確認してみてください。
自在結びの注意点
自在結びには、高い固定力が求められます。しっかりと固定するために繰り返し練習して、正しく結べるようにしておきましょう。
「自在結びが緩む」「自在結びが滑る」という場合は、結び方を間違えている可能性があります。
自在結びが緩むとき
4つある結び目のうち2つめの締めが甘いと、摩擦がうまくいかず、すぐに自在結びが緩んでしまいます。結び目は、正しい形を維持しながら、しっかりと締めるように意識しましょう。
自在結びが滑るとき
自在結びが滑ってしまう場合は、ロープ末端の処理がどうなっているかをもう一度確認してください。末端の処理に失敗していると結び全体が滑ってしまう可能性があります。
ただし、ロープの種類によっても緩みやすかったり、滑りやすかったりする素材もあります。結び方に間違いがない場合は、ロープを変えて結び直しを試しみるのもひとつの手段といえます。
自在結び以外の結び方
自在結びと同じく、ロープワークの基本と呼ばれるものには「もやい結び」や「ふた結び」があります。
もやい結び
「もやい結び」は、もともとは船をつなぎとめるために使われていた方法です。「もやい」とは、船をつなぐという意味を持つ言葉の「もやう」が語源になっています。船をつなぎとめられるという点からも、もやい結びのほどけにくいという特徴がよくわかるでしょう。
「もやい結び」は手早く結べる上に、大きな荷重で締め付けられていても簡単にほどくことができます。キャンプなどのアウトドア以外でも活躍する結び方ですので、ぜひ練習しておきましょう。
とはいえ「もやい結び」は「自在結び」よりも結び方が複雑です。「自在結び」と同様に、動画やイラストなどを見ながら練習すると効率良く覚えられるでしょう。
ふた結び
「ふた結び」は「もやい結び」と同様に、結び目が頑丈なのにほどきやすいのが特徴です。「ひと結び」と呼ばれる結び方を2回繰り返して結ぶことを「ふた結び」といい、「ひと結び」よりも「ふた結び」の方が当然、強度は高くなります。
「ふた結び」は、テントの張り縄を柱などに固定したり、釣り針を結んだりするときなどに使われます。
以下2つのステップで行うのが「ひと結び」です。
(1) 柱にロープの先端を1回巻きつける
(2) できた輪にロープの先端を通す
「自在結び」に比べると、かなりシンプルな手順ですよね。「ふた結び」をするときは、さらに以下の工程が追加されます。
(3) ロープに先端を巻きつける
(4) 新しくできた輪にロープの先端を通す
(5) ロープの先端をそれぞれの方向に引いて結び目を締める
「ふた結び」の手順は、他のロープワークと比較すればそれほど難解ではありません。慣れるとすぐに結べるようになるでしょう。
「自在結び」や「もやい結び」と同様に、「ふた結び」も覚えておくことをおすすめします。
自在結びはロープワークの基本となる結び方のひとつ
自在結びは、テントやタープの固定以外にも、キャンプなどのアウトドアシーンや日常でも活躍するロープワークです。自在結びを知っていれば、ポーチをサコッシュとして利用するなど、便利に活用することができるでしょう。
ただし、自在結びの結び方も、完全に身に付けるためには繰り返して練習する必要があります。この記事をはじめ、動画やイラストなどの解説も参考にしてみてください。
また、「自在結び」と同じくロープワークの基本と呼ばれる「もやい結び」「ふた結び」もあわせて習得してみましょう。