AARRR(アー)モデルは、マーケティング分野で活用されるフレームワークのひとつです。顧客行動のモデルを表しており、インターネットビジネスにおいてグロースハックを実施する際によく用いられています。

聞いたことはあるものの詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、AARRR(アー)モデルの意味や分析方法、活用ポイントや事例などをわかりやすくまとめました。

Webマーケティングはもちろんのこと、スタートアップ企業の立ち上げにも役立つので、ぜひ参考にしてみてください。

  • AARRRモデルとは

    AARRRモデルはWebマーケティングに役立ちます

AARRRモデルとは

AARRRモデルは、マーケティング分野で活用されるフレームワークのひとつです。読み方や名称の由来、具体的な活用方法について解説します。

AARRRモデルの分析方法

AARRRモデルは、顧客行動を表す下記5つの指標の頭文字を合わせた言葉です。

・Acquisition(獲得)

・Activation(活性化)

・Retention(継続)

・Referral(紹介)

・Revenue(収益)

AARRRモデルでは、まずステージを上記の5段階に分けます。そしてステージごとに目標・施策を設定し、分析および改善をしていくことでサービス全体の成長を目指します。

AARRRの読み方と発祥

AARRRという言葉自体は見たことがあるけれど、読み方を知らないという方も多いでしょう。AARRRは「アー」と読みます。AARRRを提唱したデイブ・マクルーアは、シリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」の創業者です。

AARRRモデルが提唱された2000年代はインターネットの普及が加速し、インターネットビジネスの起業も多様化していた時代です。その動きを大航海時代にたとえ、海賊の叫び声を模した「アー」という読み方になったといわれています。

そのため、AARRRモデルには「海賊指標」「海賊のためのマーケティングツール」と呼ばれることもあります。

インターネットビジネスには必須

AARRRモデルは、商品やサービスを改善させるために必要なユーザーの行動を、より詳細に知ることができます。

インターネットビジネスが加速した頃に誕生した指標であることからもわかるように、インターネットを利用したビジネスには必須のフレームワークといえます。特に、継続利用がカギになるサブスクリプションサービスと相性がいいでしょう。

  • AARRRの5つの指標

    AARRRモデルは「海賊指標」ともいわれます

AARRRの5つの指標

AARRRモデルの要となるのが、ビジネスステージを表す5つの指標です。ここではECサイトを例に挙げて、それぞれの指標で注目すべき点や役割についてまとめました。

1.Acquisition(獲得)

Acquisition(アクイジション)は「獲得」を意味し、新規顧客の獲得を目的としています。「顧客をどこから獲得しているか」に焦点を当てるので、ECサイトの場合はサイトの訪問者数や広告クリック数、会員登録数をチェックしましょう。ここではSEO対策やランディングページ最適化などの施策を行います。

2.Activation(活性化)

獲得した顧客の活性化を目的としているのが、Activation(アクティベイション)です。顧客の体験に焦点を置く指標なので、ECサイトの場合はアクティブユーザー数や滞在時間・離脱率を見ていきます。

例えば、会員数と比較してアクティブユーザーが少なかったり、滞在時間が短かったりした場合、サイトの使い勝手がよくないのかもしれません。このように、獲得後の動きを可視化することでサイトの改善点が見えてくるので、その結果をもとにUIの最適化などを行います。

3.Retention(継続利用)

Retention(リテンション)は、顧客が継続的にサービスを利用することを目的としています。具体的にはサイトへの再訪問率やメルマガの開封率などを指標とすることが多いです。

継続的に利用してもらうために、キャンペーンや割引クーポン配布などの施策を実施するといいでしょう。

4.Referral(紹介)

「紹介」の意味を持つReferral(リファラル)は、既存顧客を介して新規顧客を獲得することを目的としています。顧客が自ら家族や知人に紹介したくなるような、魅力のある商品やサービスを提供できているかが重要です。ここでは紹介数やSNSへのシェア数、レビュー数などを指標とします。

ECサイトであれば、招待キャンペーンやSNSのシェアキャンペーンなどの施策が有効といえるでしょう。

5.Revenue(収益)

Revenue(レベニュー)はその意味の通り、サービスの収益化を目指します。購入額や収益率を指標とし、収益率を高めるための施策を実施します。これまでに行ってきた施策を振り返り、実際に購入に結びついている効果の高い施策にリソースを集中させる、といった取り組みを行ってみるとよいでしょう。

  • AARRRモデルの5つの指標

    ステージに分けた目標設定をしてみよう

AARRRモデルのメリット

AARRRモデルは、インターネットビジネスで広く活用されているフレームワークですが、メリットとしては下記の点が挙げられます。

・小さな課題も見つけやすくなる

・計画的な成長戦略を立てることができる

まず、顧客の動きをステージごとに分けて細かく注視していくことで、大きな課題だけでなく、表面化しにくいような小さな課題も見つけやすくなります。そうすることでより計画的な成長戦略を立てることが可能になるでしょう。また、計画的な成長戦略を立てることで、各組織へのミッションも明確になり、適切な人材配置や社員のモチベーション向上も期待できます。

  • AARRRモデルのメリット

    AARRRモデルで計画的な成長戦略を立てられます

AARRRモデルの活用ポイント

AARRRモデルを使うのであれば、その特長を最大限に活かしましょう。ここからはAARRRモデルを活用するときのポイントについて紹介します。

AARRRモデルでは分析が重要

AARRRモデルではステージごとに指標を設定しますが、その際に適切な指標を設定するようにしましょう。指標の設定を間違えてしまうと、結果として意味のない戦略になってしまう可能性があります。事前にしっかりと調査・分析を行い、最適な指標を設定してください。

AARRRモデルとグロースハック

グロースハックはマーケティング手法のひとつで、商品やサービスを成長させるために的確なアプローチを行い、スピーディーに実験や検証を行っていくことをいいます。AARRRモデルはグロースハックに適したフレームワークといわれており、グロースハックを実施するための手段としてよく用いられています。グロースハックを実施したいけど何からやればいいかわからないとお悩みの場合は、まずAARRRモデルを行ってみてください。

スタートアップ企業にも最適

AARRRモデルは、スタートアップ企業が成長するために実施すべきフレームワークともいわれています。一般的にスタートアップ企業が事業をスタートさせていくとき、企業の存在は世間に認知されていません。その状態からどのように収益化まで成長させていくか、AARRRモデルを活用すればそのプロセスがわかりやすくなり、実践しやすくなります。

  • AARRRモデルの活用事例紹介

    AARRRモデルを活用してグロースハックを実施しよう

AARRRモデルが活かせるグロースハック事例

ここでは、AARRRモデルが活かせるようなグロースハック事例をご紹介します。

Twitter

今でこそ世界中に利用者がいるTwitterですが、リリース初期はなかなか広がらずに伸び悩んだといいます。登録者数はいても、Twitterのホーム画面が見づらく使いにくいことが原因で、離脱してしまう人が多かったそうです。

そこでホーム画面をシンプルに使いやすくしたことで「Activation(活性化)」につながりました。また「Retention(継続)」のため、Twitterを継続利用する人は平均で5~7人をフォローしているという結果に基づき、初回の登録時に5人のフォローを促す仕組みを作りました。結果としてアクティブユーザーが増えたといいます。

Airbnb

Airbnb(エアビーアンドビー)は、空き部屋を活用したいホストと宿を借りたいゲストとをマッチングさせるサービスです。

新規利用者が増えず伸び悩んでいた際にグロースハックを実施し、Airbnbに掲載した情報を大手掲示板へ自動転載できるようにしたことで、新規ユーザーやサービス利用数を大幅に増加させたといいます。

Dropbox

Dropboxは、世界中で利用されているオンラインストレージサービスです。創業当時は新規利用者の確保に苦戦したといいますが、アンケート調査によって、3人に1人が紹介をきっかけにDropboxを利用していることがわかりました。

そこで、紹介したユーザーと紹介されたユーザーにDropboxのストレージを付与するというキャンペーンを行った結果、新規ユーザーを多く獲得することができたそうです。

  • AARRRモデルを活用

    AARRRモデルを活用しよう

AARRRモデルを活用して計画的な成長戦略を立てよう

AARRRモデルの意味や分析方法、活用ポイントや事例などをご紹介しました。AARRRモデルは、インターネットビジネスの成長に欠かせないグロースハックに最適なフレームワークです。今回ご紹介した注意点や活用事例なども参考にして、ご自身のビジネスにも活用してみてください。