就活時には意識していなかったことでも、入社後に「あれ、この会社ってこんなだったんだ」と感じる場面はあるだろう。それがポジティブなことであればいいが、中には「予想外でがっかりしてしまった」というケースもあるかもしれない。実際に仕事に就き、社会人として生活を開始して初めて気づくことも多そうだ。
そこで今回は、マイナビニュース男女会員301人を対象にアンケート調査を実施。「就活のときは重視していなかったけれど、大事にしておけばよかったと後悔している企業選びのポイント」を聞いた。さて、皆さんはどんなことで後悔を感じているのだろうか。
Q.就活のときは重視していなかったけれど、大事にしておけばよかったと後悔している企業選びのポイントはどれですか?
1位「給与の高さ」(19.3%)
2位「ワークライフバランス」(13.6%)
3位「人間関係」(9.0%)
4位「個人の成長可能性」(8.0%)
5位「その他」(7.3%)
6位「福利厚生」(6.3%)
7位「事業の内容」(5.0%)
8位「企業の安定性」(4.7%)
8位「リモート・テレワークに対応していること」(4.7%)
8位「人・社風」(4.7%)
11位「将来性」(4.0%)
12位「社会貢献の高さ」(3.7%)
13位「企業理念」(3.0%)
13位「SDGsを重視していること」(3.0%)
15位「グローバル企業であること」(1.7%)
16位「知名度」(1.3%)
17位「ジョブ型雇用に対応していること」(1.0%)
Q.なぜそのポイントを重視しなかったことに後悔しているのか、理由を教えてください(自由回答)
■「給与の高さ」
・「安い給料とは知っていたけど、実際に生活していて苦しい」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「気にしていなかったが、実際に給料が増えないと厳しい」(39歳男性/公益・特殊・独立行政法人/公共サービス関連)
・「結婚すると、なにかとお金がかかる」(38歳男性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
・「子育てにお金がかかるから」(36歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「あの時はなるべく早く働きたかったので、給与のほうは見ていなかった」(37歳女性/サービス/公共サービス関連)
・「就職するのに必死で、そこまで重要視していなかった。昇給がほぼないので後悔している」(32歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)
・「どれだけよいものを産み出しても、所詮は大企業には収入の面で大きな差がある。昇給の額について入社時に確認しておけばよかった、と思っています」(36歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「楽しそうな業界だなと飛び込んだが案外ブラックで、来るもの拒まず去る者追わず。給料交渉にも応じてもらえず、頑張りどころがなかった」(37歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/販売・サービス関連)
・「そもそも採用枠が業界全体で少ない業界を目指していたことから、選択肢がなかった。実績がついた現状では給与が世界標準からかなり安い水準になっていることが理解できているので、転職したいと思っている」(31歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/専門職関連)
・「民間企業の友人と比べると、給与の低さが目立つ気がします。自由に使えるお金が多いほうが、新しいことを始めたり旅行にたくさん行けたりして、少し羨ましいです」(26歳女性/官公庁/公共サービス関連)
■「ワークライフバランス」
・「そもそも仕事と生活の切り分けのイメージを、あまり持っていなかった」(39歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「オンとオフの切り替えが明確にできるような職場環境にあこがれを感じている」(30歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「ライフプランを設計していく中で、家族を持つことをあまり想像していなかったので」(33歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「あまりにもブラックすぎて、1日19時間勤務が数日続くことも普通だったから」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「仕事量や、負担が原因での退職者を何人も目の当たりにしているから」(24歳女性/食品/事務・企画・経営関連)
・「思いのほか残業などがきつく、仕事に時間の重きが傾いてるのが残念なところ」(26歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「残業とか休日出勤あってもいいやと思っていたが、いざやると疲れるし、給料よりも休みが欲しいかもと思った」(24歳女性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「教師の仕事がこれほどブラックだとは思いませんでした……。もっと慎重に考えるべきでした」(39歳女性/教育/専門サービス関連)
■「人間関係」
・「人間関係が悪いとパフォーマンスが悪くなる」(38歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「人間関係がいい職場でないとストレスが溜まり、私生活に影響する」(35歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「就職前は重視していなかったが、入職してから雰囲気を実感して人間関係で苦労している」(31歳女性/その他/専門サービス関連)
・「人間関係より名誉を求めていたところがあるので。人間関係の良い職場かどうかの見極めが必要であると思った」(33歳男性/教育/専門職関連)
・「新卒で入ったところが閉鎖的で、お局に気に入られないとパワハラに近いことをされて、続けることができなかった」(24歳女性/サービス/専門サービス関連)
・「学生時代は仲良くやってきて人間関係のトラブルはなかったが、社会人となると利害関係やパワハラといったことに悩まされるケースがあった」(39歳男性/農業協同組合/事務・企画・経営関連)
・「人間関係に苦しめられ、精神的に疾病をわずらってしまったから。当事者達で手厚く守られているのに憤りを感じるし、以前の自分にはもう戻れないことに悔しさを感じる」(32歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「入社してみないとわからない事なので重視していませんでしたが、社員とうまくコミュニケーションが取れないと自分の仕事が増えるだけだし、ストレスが多くなるので、可能であれば社員の方と入社前に話ができたらよかったなと思います」(38歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
■「個人の成長可能性」
・「仕事がマンネリ化してスキルアップがむずかしい」(39歳男性/サービス/専門職関連)
・「自分の能力を生かしきれなくて、あまり成長性を感じないから」(31歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「皆同じ仕事をして当たり前なので個性が発揮されにくく、自身の成長をなかなか感じることができない」(28歳女性/海運・鉄道・空輸・陸運/その他・専業主婦等)
・「自分向きだと思ってルーティンワークが主な職種を選んだのですが、今、自分の成長可能性に限界を感じているからです」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「会社のコマのように働くだけでなく、個々の成長も期待できるような、視野の広い考え方を持った企業に勤めればよかったと思う」(36歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
■「福利厚生」
・「休みが少ないし、福利厚生なんて言えるものなんてないから」(33歳女性/人材派遣・人材紹介/事務・企画・経営関連)
・「完全週休二日かどうかといった面しか気にしていなかったが、福利厚生にはその他にもいろいろな面があることを入社してから知った」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「福利厚生や離職率、会社の口コミを確認しておくべきだったと後悔しています」(34歳女性/その他/販売・サービス関連)
・「福利厚生が充実していると仕事へのやりがいや愛社精神が芽生える」(37歳男性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「病気で一時的に休職した時、休職に関する福利厚生がほぼゼロだったことに衝撃を受けたから」(38歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「育休が取れず、辞めないといけなかったので」(30歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
■「事業の内容」
・「今、苦戦してるから」(31歳男性/その他/営業関連)
・「自分が仕事をしていてやり甲斐があるかどうかが、仕事を長く続けていけるかに関わって来ると思った」(34歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「国で定められた作業をするということで食いっぱぐれることはないと思っていましたが、そもそもそれだけでは会社は成り立って行かず、工事がメインと知ったとき」(39歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
■「企業の安定性」
・「少子化により売り上げが徐々に落ちていて、この先上がる見込みがないと思うから」(38歳女性/繊維・アパレル/事務・企画・経営関連)
・「印刷の素材が、プラスチックから紙に変わってきているから」(32歳男性/食品/その他技術職)
・「コロナなどの不況が来たときに、乗り越えられる力があるかどうかが重要だと気づいた」(28歳男性/食品/技能工・運輸・設備関連)
・「上層部の世代交代が上手くいっていなくて、このままだと会社そのものがなくなりそう」(35歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
■「リモート・テレワークに対応していること」
・「リモートワーク出来なくて損した気分になる」(38歳女性/通信関連/営業関連)
・「このような世の中になるとは全く予想していなかったので、リモートやテレワークなどの対応が現段階でできていない」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「通勤時間は無駄」(26歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
■「人・社風」
・「人間関係で、仕事の満足度がだいぶ変わる」(38歳男性/ガラス・化学・石油/事務・企画・経営関連)
・「現職の職場は昔ながらの体育会系風土で休むことを許されない、自由に有給を使えないなど苦労が多い」(29歳女性/インターネット関連/IT関連技術職)
・「社風は気にせずに家から近いところを選んだが、閉鎖的かつ学力主義な会社で差別も多かった」(39歳女性/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「社風や企業理念に共感ができない企業だと、何かとジレンマを感じることが多い」(32歳女性/輸送用機器/その他技術職)
■「11位以降」
・「将来性:一時的によくても個人でも収入でも成長できないなら、長くなればなるほど人生が損する」(30歳男性/輸送用機器/事務・企画・経営関連)
・「社会貢献の高さ:やりがいを感じる」(37歳女性/サービス/営業関連)
・「企業理念:就活のときはいまいちピンときてなかったが、働き始めて、その理念によって仕事の進め方や給与に影響があることがわかった」(29歳女性/その他/営業関連)
・「SDGsを重視していること:環境問題に関心があるから!」(34歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「グローバル企業であること:自分の視野をさらに広げることが、あまり出来そうにない」(36歳男性/その他/公共サービス関連)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員の中で、就活のときは重視していなかったけれど、大事にしておけばよかったと後悔している企業選びのポイントの1位は、19.3%を集めた「給与の高さ」となった。
以下、2位「ワークライフバランス」(13.6%)、3位「人間関係」(9.0%)、4位「個人の成長可能性」(8.0%)が上位にランクイン。5位に「その他」(7.3%)を挟み、6位「福利厚生」(6.3%)、7位「事業の内容」(5.0%)、8位「企業の安定性」「リモート・テレワークに対応していること」「人・社風」(各4.7%)と続いている。
なぜそのポイントを重視しなかったことに後悔しているのか、理由を聞いた。1位「給与の高さ」では、なんといっても「生活が苦しい」というもの。就活時には、その仕事に対する想いを重視するあまり、あまり給与については考えていなかったというパターンだ。とくに結婚したり子どもがうまれたりすることで、これまでの収入では立ち行かなくなる、というケースは多い。
2位「ワークライフバランス」では仕事一辺倒ではなく、仕事と生活を切り分けることの大切さに気づいたという声が寄せられた。プライベートを充実させてこそ仕事にも身が入るということもあるかもしれない。6位の「福利厚生」も、仕事を続ける上での安心感を得られるという意味で重視するべきだったという意見があった。
仕事をする上で、3位「人間関係」の重要性を説く声も多かった。学生時代は仲の良い友人だけと付き合っていれば済むが、仕事となればそういうわけにはいかない。ただ、職場の人間関係は自身がその一員となって初めて形成されるものなので、それを就活時に把握するのは困難なことだろう。
4位「個人の成長可能性」では、ルーティーンワークや画一的な仕事に飽き足らず、さらなる飛躍を求めるコメントが寄せられた。今ある環境ではなかなか成長することが難しく、就活時に重視しなかったことを後悔している人は多いようだ。
今回のアンケートでは、大事にしておけばよかったと後悔している企業選びのポイントとして「給与の高さ」を挙げる人が最多となった。若く、情熱にあふれる学生であるが故に、ついつい疎かにしてしまったということかもしれない。
ただ、とくに就職氷河期に就活を行なった人であれば、とにかく就職することで精一杯で、条件面は妥協せざるを得なかったというケースもあるだろう。今回は改めて、就活にあたっては様々なシミュレーションが必要だと感じさせる調査結果となった。
調査時期: 2021年10月27日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 301人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません