モーニング娘。の“プラチナ期”をリーダーとして牽引し、今も芸能界の第一線で活躍を続ける高橋愛さん。SNSでは現在、計429万人以上のフォロワーを抱えるなど、絶大な人気と影響力を誇っています。

今年の春には自身のファッションブランド「fukuu(フクウ)」を立ち上げ、最近もコスメブランド「Aimmx(アイムミクス)」をプロデュース。YouTubeチャンネル「高橋愛lab。」にも力を入れるなど、その動向からはますます目が離せません。そこで今回は、高橋さんに「“好き”を仕事にすることの意義」についてインタビュー。自分の“好き”に素直に生きる、高橋さんの流儀に迫りました。

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▼モーニング娘。時代から考えていた卒業後のキャリア。

ーーモーニング娘。を卒業してからは、女優やモデル、アパレルブランドやコスメブランドのプロデュースなどもされていますよね。

自分の好きなことしかやっていないですね(笑)。モーニング娘。時代に石川梨華さんから言われたんです。「モーニング娘。をやっているうちに、次にやりたいことも考えておいたほうがいいよ」って。石井さんも卒業後に、壁に当たったそうで。だから私もモーニング娘。時代から自分のやりたいことを客観視して考えるようになって、今に至っています。

ーー現在はとてもマルチに活躍されていて、今年の春には自身のファッションブランドも立ち上げられました。

小さい頃からファッション雑誌が好きで、どちらかというと昔から「可愛い」よりも、「格好いい」ほうが好きだったんです。だから、モーニング娘。の曲でも『サマーナイトタウン 』や『抱いてHOLD ON ME!』みたいな格好いい系の曲が好きですね。

私はモーニング娘。時代からブログを始めたのですが、他のメンバーが可愛い写真を主に載せていたのに、私だけ衣装ではなく私服で、顔のアップよりも全身が写った写真を載せていました。顔が陰っていても全然よくて、むしろ洋服がいかに格好よく見えるかということばかりを重視していたんです。

ファンの方たちからは「もっと可愛い顔を載せて」「陰っていて顔が怖いよ」と言われましたが、それでも自分を貫いた結果、今の自分に繋がっていると感じています。

ーー求められるがままに応じていくのではなく、素の自分を発信していったと。

もちろん、求められることに応じることも大切です。でも、自分の考えで発信を続けていたからこそ、マネージャーさんも「ファッション誌の編集部を回ってくるね」と動いてくれたし、ファッション連載やスタイルブックの制作などもできたんだと思います。

▼「自分の好きなことならブレない」という生き方

ーーやはり「好きなことをする」のが高橋さんのスタイルなんですね。

自分の好きなことをやっていれば、ブレることもありませんからね。ファッションアプリの「WEAR」も、ZOZOさんから「これから広めていきたいアプリなので、よろしくお願いします」とお話をいただいたのをキッカケに始めたんです。

ーー今ではWEARだけで250万人以上のフォロワーがいて、その影響力と人気は凄まじいことになっています。

仕事に繋がるから続けていたのではなく、好きなことを続けていたら仕事になった感じです。コスメもそうですね。ビューティー誌で連載をさせていただいていたら、「高橋愛はコスメが好きなんだ」ということをいろんな人に知っていただけて、今回「Aimmx(アイムミクス)」という自分のコスメもプロデュースできるようになりました。

ーーコスメに対する思いも強かったんですね。

ファッションとコスメは一緒なんです。以前はふたつを分けて考えていたのですが、洋服に合わせてリップやアイシャドウも選びますから、コスメとファッションと分けて考える必要はないな、と思っています。かと言って、コスメにすごく詳しいかと言えばそうでもないんですけどね。でも、「好き」という気持ちだけでいいと思っています。何事も、まずは好きになることが大切ですから。

ーー自身のファッションブランド「fukuu」はどのような思いで?

正直、fukuuの商品を売りたいというより、ただ服を着ることを楽しんでほしいという思いのほうが強いんです。私自身、小さい頃に買った500円のワンピースをアレンジして着ることが大好きでした。fukuuの服も、すでに持っている服と合わせて楽しんでほしいと思いますし、どんどんアレンジして着てもらえればいいなって思います。こう着ないとダメ、ということはまったくありません。自由に楽しんでほしいですね。

ーーファッションやコスメ、そして最近はYouTubeにも力を入れていますが、これだけマルチに働かれていると、大変ではありませんか?

よく「何が一番やりたいの?」って聞かれますが、「全部」なんです(笑)。どれが一番大切かを決める必要もないと思いますし、どれも手を抜きたくないと思っています。でも、さすがに周りの皆さんに頼ることも覚えました。全部自分でやるのではなく、みんなが助けてくれるからこそ、こうして自分の好きなことができているんです。

ーーお忙しく働かれている中で、最近嬉しかったエピソードなどはありますか?

芸人のあべこうじさんと結婚して8年目になりますが、私たち夫婦は仲の良さをよく褒められるので、「“結婚っていいね”と思ってもらえるといいな」と思っています。YouTubeはもちろん、夫婦でバラエティ番組に呼んでもらったり、ファッション広告で私たち夫婦を起用していただいたり、ふたりでの仕事が増えているのはすごく嬉しいですね。

▼誰でも目の前にチャンスはある。まずはやることが大切。

ーー高橋さんは、今のお仕事のどこに面白さを感じていますか?

人と被らないお仕事ができることです。タレントやモデルなど、いろんなお仕事をしていますが、強いて言えば私は「高橋愛」という職業だと思っています。みんながやってないことをやるほうが燃えますし、常に「誰もやってないなら先にやっていいですか?」っていうスタンスですね。一番初めに走ることを怖いと思わない性格なのかもしれません(笑)。

ーーなるほど。なかなか他の人には真似できない生き方ですよね。

でも、私はみんなにチャンスがあると思っているんです。「高橋愛だからできる」というわけではありません。みんなに能力はあるし、みんなに向き不向きがあるから、私にもできないことはあります。

「愛ちゃんだからできるんだよ」と言われることもありますが、そんなことはありません。本当はできるのに、億劫がってやらないだけということも多いと思います。だから、まずはやってみればいいと思うんですよね。できない理由を並べず、まずはやってみる。せっかく目の前にチャンスがあるのに、もったいないですよ。

ーーでは、高橋さんが仕事をする上で大切にしていることは何でしょう?

つんく♂さんに教わったのは、「丁寧に生きる」ことの大切さです。それは仕事もプライベートも、全部含めてですね。適当にやると、適当な結果が返ってくるんです。例えば以前、洗濯物を干していたときにハンガー同士が絡まっちゃって、無理やり取ろうとしたら反動でたくさんのハンガーが飛んでいっちゃったんですよ。

丁寧にやれば、普通に取れたはずです。でも、適当にやったせいで、洗濯の時間も2倍になっちゃいました。ちなみに、メゾン マルジェラのデザイナーのマルタン・マルジェラさんも同じような哲学を持っているそうです。マネキン(人形)を雑に扱う業界人も多い中で、マルタンさんはすごく丁寧に扱っているそうですよ。

ーー高橋さんは、仕事を好きでいるために努力していることなどはありますか?

う~ん、むしろ、好きなこと以外はやっていないですからね(笑)。あまりにも嫌なことなら、辞めちゃったほうがいいんじゃないかと思います。もちろん、誰だって簡単に仕事を辞められない事情があると思いますが、それでも自分の意思は大切にしてほしいと思います。

ーー今後の目標や直近の活動について教えて頂けますでしょうか。

これからも、パッと思いついたことを具現化し続けていきたいと思っています。あとはモーニング娘。の本を作りたいと思っていますね。モーニング娘。のメンバーって本当に面白くて、だからこそ魅力的なんですよね。モーニング娘。を卒業してからのほうが、モーニング娘。を楽しめている気がします(笑)。YouTubeでは千葉県で畑も始めましたし、そちらもこれから楽しみです。