野村総合研究所は10月18日、「日常生活に関する調査」の結果を発表した。調査は7月22日~8月4日、全国の満15~69歳の男女1万8,800名を対象にインターネットで行われた。
コロナ禍が完全収束した際、外食や旅行など各活動への支出意向がコロナ禍以前の水準まで戻るかどうかについて調査したところ、「国内旅行」については、「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」(8%)、「コロナ禍以前の水準に戻す」(43%)の合計が51%と半数を超えたものの、それ以外の活動では「劇場でのコンサート、演劇の鑑賞」(44%)や「外食」(43%)、「スポーツ観戦」(39%)など、いずれも4割程度の水準に。
全体的に、現在の自粛(制限された)生活のまま変わらないと回答した人が多く、「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」と回答したのは、どの活動でも1割未満にとどまるなど、「リベンジ消費」が起こる分野や規模は限定的であると言える結果となった。
ただし、「国内旅行」についてワクチンの接種状況別に回答をみると、ワクチン接種が進んでいる人ほど、コロナ禍以前の水準に支出を戻したいという割合が高くなっていることが明らかに。しかし一方で、ワクチンを2回接種した人のなかでさえ、「コロナ禍以前の水準よりは少なくなる」と答えた人が17%、「今と変わらないままにする」と回答した人が25%もみられ、ワクチンの接種によって支出意向も高くなっていくと予想される一方で、支出が100%元に戻るのは難しい状況にあることがわかった。
なお、「国内旅行」再開の条件としては、「政府のコロナ禍完全収束宣言が出たら」(49%)が最多だった。
次に、コロナ禍収束後、生活全体の状況がコロナ禍以前の状態に戻るかどうかを聞いたところ、「ある程度はコロナ禍以前に戻るが、完全には戻らない」と考える人が59%と圧倒的に多く、「コロナ禍と同じ生活を送り続ける」(16%)と合わせると、実に75%が「完全には戻らない」と考えていることが明らかに。
理由を聞くと、新たな変異ウイルスが発生するなど「コロナ禍が完全には収束するとは思えない」と考える人や、アフターコロナも「感染対策・予防の継続が必要」という人が多かった一方、オンライン化・デジタル化といった「今の生活様式に慣れてしまった」という意見も。コロナ禍でなかば強制された生活のデジタル化が、生活者の意識変容にもつながっていることがうかがえた。