パーソル総合研究所は9月30日、「人事評価・目標管理」に関する調査結果を発表した。調査は3月11日~5月11日、従業員数100人以上の企業で働く20〜59歳男女のうち、人事部・経営層800名、一般メンバー層5,000名、上司層3,000名を対象にインターネットで行われた。
役職についていない一般メンバー層5,000名に対し、自社の評価制度に対して不満があるかを聞いたところ、評価制度全体に対して38.3%が「(やや)不満がある」と回答し、「評価のプロセス」に不満がある人は36.3%、「評価の結果」に不満がある人は33.2%となった。
特に、コロナ後に強まった不満は、「部署によって目標の難易度が違う」(35.6%)、「同じポジションでも人によって目標の難易度が違う」(34.8%)が上位に。コロナ禍による事業への影響の強弱や、テレワークの普及によって、組織内部で目標の水準を合わせることが難しくなっていることがうかがえた。
一方、自社の目標管理制度に関する企業側(人事部・経営層)の課題については、「モチベーションを引き出せていない」(55.8%)、「成長・能力開発につながっていない」(53,3%)、「成果に報いる処遇が実現できていない」(51.9%)が上位に。
同様に、評価結果に関する企業側の課題について聞くと、「評価結果に差がつかず、中心に偏る」(52.1%)が最も多く、次いで「最終の評価調整が不明確な基準で行われる」(48.6%)、「目標の達成レベルが判定できない」(48.4%)と続いた。
次に、企業側(人事部・経営層)に対し、実施している目標管理について聞いたところ、「MBO(Management by Objectives:個人目標を各自が設定し、その達成度合いで評価する制度)による目標管理」が34.6%、「360度評価」を行っている割合は20.9%だった。
また、上司層3,000名に、評価プロセスの制度化率と実施率について聞いたところ、上司による中間面談やフィードバックは多くの会社で制度化されているが、そのうち、制度通りに実施できている上司は3割前後。制度化されているにも関わらず「非実施」の上司は2割強おり、制度の形骸化が見られる結果となった。