妖艶な役どころや懐が深い母親役、三谷幸喜作品ではコメディエンヌぶりを発揮するなど、多彩な魅力を発揮している女優・鈴木京香。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)では、清原果耶演じるヒロイン・モネこと永浦百音の母・永浦亜哉子役を好演中だ。かつては朝ドラ『君の名は』(91)でヒロインに抜擢されて脚光を浴び、その後も着実にキャリアを積み上げてきた鈴木だが、デビュー当初は「強烈な個性がないのがコンプレックスでした」と明かす。

  • 『おかえりモネ』でヒロイン・永浦百音の母・永浦亜哉子を演じている鈴木京香

朝ドラとしては30周年記念作品で、放送期間も1年間だった『君の名は』(91)の撮影時を振り返り、鈴木は「とにかく学校のような感じでした」と懐かしむ。

「オーディションで決まった他の役者さんたちと一緒に、1週間の特訓を受けました。収録前に、いろいろな先生方がお芝居のレクチャーをしてくださり、大学を卒業後、1年4カ月ぐらいNHKという演技の学校に通わせてもらったような感覚でした。今回も『おかえりモネ』で毎日NHKに通っていると、生活のリズムが整うので、そういう意味でもいまだに学校みたいです」

そのレクチャーには大物俳優陣も参加していたそうで、「本当にすごい方たちばかりでしたが、その方たちのお芝居を見たり、台詞のやりとりなどをさせてもらったりしました。当時はまだ自分が置かれた状況もわからず、先輩方から学びたいという一心でした」とがむしゃらだった当時の自分を振り返る。

そして、「本当に当時の自分は何もできていなかったなと思うことが多いです。だからこそ、アドバイスをくださった先輩や、励ましてくれたスタッフのことを思い出したりします。朝ドラでヒロインをやらせてもらい、またこうしてヒロインの母さんとして戻れる機会を与えてもらえたことが、とにかくうれしかったです」と『おかえりモネ』出演の喜びを語った。

そんな鈴木の目には、『おかえりモネ』のヒロインである清原はどう見えているのか。「果耶ちゃんは、主役としてしっかりと現場を引っ張っていってくれています。モネのことを一番理解しているのは当然ながら果耶ちゃんですが、それを的確に表現していて素晴らしいなあと思っています」と賛辞を惜しまない。

「だから待ち時間に何かあったりすると『果耶ちゃんはしっかりしてるね!』と褒めてしまいます。ヒロインの撮影は毎日あって大変だと思いますが、集中して現場にいる彼女の姿を見ると、年齢関係なくすごいなと思います。私自身も刺激をもらえるからとてもありがたいし、充実した時間でもあります」

主演の清原と百音との共通点については「正直なところ、ごまかさないところ」を挙げる。「モネちゃんは、元気で明るいふりをするとか、楽しいふりをするとか、そういうことをしないんです。震災のことがずっと心の中に残っている女の子。自分の芯をしっかり持っていて、周りから影響を受けすぎないところが、モネちゃんと果耶ちゃんはすごく似ていると思います。彼女を見ているとつい、いいなあと思って思わず顔が笑ってしまうんです。きっと果耶ちゃんの一生懸命さに心が打たれるんだと思います」