半導体製造装置大手のApplied Materials(AMAT)が9月8日(米国時間)、200mm SiCウェハの量産に対応するCMP「Mirra Durum CMP」およびイオン注入(ホットイオンインプラント)装置「VIISta 900 3D」を発表したほか、PVD、CVD、エッチングなどの各種装置ならびにプロセス制御システムなどの開発を進めていることも明らかにした。

ウェハに欠陥があると、そのダイは不良品となってしまうが、SiCでは口径を引き上げながら、その欠陥をいかに低減するかが長年の課題とされ、研究開発が続けられてきた。今回のAMATの2製品も、そうした欠陥の低減に配慮したものだという。

Mirra Durum CMPは、200mm SiCウェハ研磨、材料除去量の計測、クリーニング、乾燥を1台で行うことができるCMPで、ウェハの表面ラフネス(粗さ)は、機械研磨の場合に比べ50分の1、バッチCMP処理装置に比べ3分の1になるという。

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    200mm SiCウェハCMP「MIRRA DURUM CMP」 (出所:Applied Materials)

一方のVIISta 900 3Dは、格子構造へのダメージを最小限に抑えながらイオンを注入する技術であるホットインプラントを活用し、SiCデバイスの電力効率の劣化を引き起こすイオン注入部より誘起する結晶格子による損傷を最小限に抑えることが可能だという。

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    SiCウェハ用のホットイオン注入装置「VIISTA 900 3D」 (出所:Applied Materials)

Creeが200mm SiCウェハの量産を準備

SiCウェハ製造で世界シェアの6割を握る米Creeは、2022年上期に稼働予定のニューヨーク州モホークバレー新工場にて200mmウェハの量産を始める予定である。当初は150mmで立ち上げ、2024年までに200mmに対応する計画であったが、EV向けを中心とした需要急増を受け、150mmをスキップし、大口径化でコスト競争力の強化と生産能力の拡大を図ることを決めたという。

また、SKグループのSiウェハメーカーであるSK Siltronが、200mm SiCウェハの研究開発を始めた模様であると韓国メディアが報じている。後発SiCウェハメーカーであるため市場シェアは1桁台と、トップのCreeとの差は大きいが、将来、Creeが主導して200mmウェハが業界の主流になることを見越して、研究開発を進めることにした模様である。

同社は、2020年2月に米DuPontからミシガン州デトロイト近郊に設置されているSiCウェハ製造事業(100~150mm)を4億5000万ドルで買収したが、米国商務省の要請もあり、米国のEV生産をサポートするために、そのミシガンの製造施設に今後3年間に3億ドルを投資し、敷地を14万平方フィートほど拡張し、新たに150人を雇用して生産能力を数倍に増やす計画を掲げている。

なお、SKグループとしては、SK Innovationも米ジョージア州に26億ドルを投じて2カ所のEV用バッテリー工場を建設中で、第1工場はすでに生産を開始、もう1つの工場も2023年には操業を開始できる予定だとしているほか、フォルクスワーゲン向けに、テネシー州にも新たな工場を建設中だとしている。SK Innovationは、2021年5月にフォードとEV用バッテリーの製造に向けた合弁会社設立の覚書に調印しており、SKグループとして、米国のEVメーカー向けにSiCデバイスとバッテリーによるシナジーを狙っていると韓国の業界関係者は見ている。