この半導体ニュースのまとめ
・ASMLとTata Electronicsがインド半導体製造で戦略提携を締結
・300mm(12インチ)半導体ファブ立ち上げに露光装置や技術支援を提供
・人材育成やサプライチェーン強化を含むエコシステム構築を狙う
ASMLとTata Electronicsは5月16日、インド半導体産業における半導体製造エコシステムの構築に向けた戦略的パートナーシップ(MoU)を締結したと発表した。このパートナーシップに基づき、ASMLは露光装置をはじめとした包括的なリソグラフィソリューションを提供し、Tata Electronicsがインド・グジャラート州ドレラで建設を進める300mm(12インチ)半導体ファブの立ち上げと量産化を支援するという。
インド初の商用300mmファブの運用を支えるパートナーシップ
今回の提携の中核は、Tata Electronicsが推進するインド初の商用300mmファブの構築に対して、ASMLが露光装置群を含む技術基盤を提供し、安定した立ち上げと量産運用の実現を支える役割を担う点にある。
露光技術は半導体製造における中核工程であり、今回の提携は単なる装置供給にとどまらず、ファブの競争力そのものを左右する技術基盤の提供という意味合いが大きいといえる。
人材育成とサプライチェーンを含む「エコシステム構築」へ
また両社の協力は、装置提供に限らず、人材育成、R&D基盤整備、サプライチェーン強化といった中長期的な領域にも及ぶとする。特にインドでは、半導体製造の経験を持つ人材の育成が課題とされており、リソグラフィ領域を中心とした技能開発が重要となる。
今回の提携では、ローカル人材の育成と供給体制の整備を進めることで、持続可能な半導体製造基盤の確立を目指すとしている。
28nm以前の成熟プロセスでの量産を想定
ドレラで建設中の300mmファブは、総投資額約110億ドル規模とされ、Tataのパートナーである台湾PSMC(Powerchip Semiconductor Manufacturing)の協力を受けてPSMCの有する28nm、40nm、55nm、90nm、110nmといった用途の広いプロセスノードでの生産を行う計画で、車載、モバイル、AI用途などへの展開が想定されている。
プレーナ型の成熟プロセスを採用することで、工場の立ち上げスピードと市場適合性を優先した取り組みと見られる。
インドが国家政策として推進する自国での半導体産業育成
近年の地政学リスクや半導体の需要急増を背景に、半導体製造は地域分散が進んでいる。インドは、国家政策として半導体産業の育成を進めており、今回の提携はその流れの中で、装置メーカー・ファブ・技術パートナーが連携する形を取るものとなる。
ASMLにとっては地域展開の拡大、Tata Electronicsにとっては半導体製造の立ち上げに関する確実性確保といった意味を持ち、両社の利害が一致した形となる。そうした意味で今回の協業は、単一のファブ構築という枠組みにとどまらず、インドにおける半導体製造の基盤整備を象徴する取り組みと位置付けられそうだ。