この半導体ニュースのまとめ
・Patentixが次世代半導体材料であるr-GeO2の6インチSi基板上での成膜に成功
・新成膜手法「チムニー法」により大口径化の課題を突破
・次世代パワー半導体の量産に向けた基板技術として2027年に試作を予定
Patentixは5月13日、次世代パワー半導体材料として期待されるルチル型二酸化ゲルマニウム(r‑GeO2)の薄膜を、6インチSi基板上に成膜することに成功したと発表した。産業用熱処理装置メーカーのジェイテクトサーモシステムと共同で開発した新規成膜装置を用いて実現したもので、同材料の量産に向けた大口径基板技術として重要な成果となる。
SiCやGaNを上回るバンドギャップを持つ次世代材料
r‑GeO2は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも大きい4.68eVというバンドギャップを有する次世代のパワー半導体材料で、電力変換時のエネルギー損失をSiCやGaN以上に低減できる可能性があるとされており、インバーターや電源装置などの高効率化を支える材料として実用化が期待されている。
しかし、その実用化に向けては、既存のパワーデバイス製造ラインに適合する6インチ以上の大口径基板の実現が不可欠とされてきたが、量産を前提とした大口径化技術はまだ確立されていない状況である。
「チムニー法」で大口径成膜を実現
同社はこれまで、独自の成膜手法「PhantomSVD法」によりr‑GeO2の単結晶膜形成を実現してきたが、装置の制約などから、最大でも20mm角サイズの小片基板上での成膜しかできず、基板の大口径化が難しかったという。
こうした課題を踏まえ、基板の大口径化に向けて成膜装置の要素技術開発を進めて生み出された新たな成膜手法である「チムニー法」を踏まえ、同手法を採用した6インチ対応装置をジェイテクトサーモシステムと共同開発。今回の研究では、同装置を用いる形で、6インチSiウエハ上にr‑GeO2薄膜の成膜を実現したとする。
従来の技術的制約を超え、パワー半導体の量産で求められるウェハサイズに対応した点が今回の最大の進展と言える。
均一性と表面品質も確認
作製されたGeO2 on Si基板では、成膜表面が鏡面状を示していることから、膜表面が平滑であることが確認されたほか、基板面内に顕著な干渉縞が見られないことから、膜厚の均一性も確保されているとみられると同社では説明している。
これは、デバイス特性のばらつきを抑える上で重要な要素であり、量産化に向けた基盤技術としての有効性を示す結果といえる。
2027年にサンプル基板の試作を予定
なお同社は今後、6インチGeO2 on Si基板のr‑GeO2膜品質のさらなる向上を進めていき、2027年に6インチGeO2 on Si基板のサンプル試作を実施する予定としている。 パワー半導体分野では、SiCやGaNに続く新材料の探索が続いており、r‑GeO2はその有力候補の1つとされる。今回の成果は、単なる材料開発にとどまらず、量産プロセスへの適用可能性を示した点で意義が大きいといえる。6インチウェハを用いる形でデバイス化と信頼性評価が進めば、電力変換機器のさらなる高効率化に向けた新たな選択肢となる可能性があり、パワー半導体分野における次世代材料競争の一端を担う動きとして注目される。
