スピーチやプレゼンをする人の多くは「ご清聴(せいちょう)ありがとうございました」で締めくくります。このフレーズを聞いて、「ああ、これで話は終わりだな」と思う人も多いかもしれません。

このフレーズを漢字で書くと「ご清聴ありがとうございました」となります。本記事ではこの「ご清聴ありがとうございました」という表現に焦点を当て、「清聴」の意味や「静聴」との違い、使い方や類語、英語での言い方を紹介します。

  • 「ご清聴ありがとうございました」の意味を知ろう

    「ご清聴ありがとうございました」は公式の場面で使われる表現です

「ご清聴ありがとうございました」の意味を知ろう

「ご清聴ありがとうございました」は「ご」+「清聴」+「ありがとうございました」という組み合わせでできています。最初に言葉の意味と成り立ちを見ておきましょう。

■「清聴(せいちょう)」とは?

「清聴」を辞書で引くと以下のように記載されています。

せいちょう【清聴】
他人が自分の話などを聴いてくれることを敬っていう語。
――『広辞苑 第七版』

「清聴」は「聞く」の尊敬語です。そこから「ご清聴ありがとうございました」とは「私の話をお聞きくださってありがとうございました」という意味のことを敬語で言っていることだとわかります。

■「清聴」と間違いやすい「静聴」

「清聴」と同じ読み方をする「静聴」という言葉は、どちらも「聞く」ことに関連するため、間違いやすい言葉です。しかし、意味はまったく異なっているため、注意が必要です。

「静聴」とは話を「静かに聞くこと」を意味する言葉です。 人に向かって言う時は、「静かに聞いてください」という意味で「ご静聴願います」という使い方をします。この表現は敬語ではなく、相手に向かって注意する表現です。

同じ「せいちょう」であり音もアクセントも同じなので、耳で聞く場合は違いはわかりません。しかし、意味も、相手に対する敬意も異なるため、正確に理解しておきましょう。特にスライドなど文字で表記する場合は、誤変換などしないよう気をつけてください。

  • 「ご清聴ありがとうございました」の意味を知ろう

    「清聴」と「静聴」は音は同じでも意味は異なります

「ご清聴ありがとうございました」の使い方

「ご清聴ありがとうございました」の使い方をシーン別に紹介します。

■講演の結びに使う場合

講演の最後に聴衆に向かって「最後までお聞きくださってありがとうございました」という意味で、講演やスピーチの結びに使います。

以下に講演会の最後の部分を例として挙げます。

皆様もぜひこの重要性を認識され、今後も注目していただきたいと願っております。

以上をもちまして、私の講演を終えたいと思います。皆様、ご清聴ありがとうございました。

講演やスピーチ全体を簡潔にまとめた後、終了することを告げ、最後に「ご清聴ありがとうございました」で締めくくる流れです。

■ビジネスシーンで使う場合

ビジネスシーンでもプレゼンテーションや会社の式典のあいさつなどで、ある程度の長さの話をする機会があります。そのような場合も締めくくりとして使うことができます。

以下の例は、会社の記念式典での社長あいさつを想定したものです。

これからも研鑽を重ねて参ります。皆様方には一層のご指導とご支援をお願いいたします。
以上をもちまして、あいさつに代えさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

■スライドで伝える場合

パワーポイントを使ってセミナーや講演会を行う際、最後に「ご清聴ありがとうございました」というスライドを付ける場合があります。また、その際にイラストなどを付けて、柔らかい雰囲気で締めくくることもできます。

  • 「ご清聴ありがとうございました」の使い方

    「ご清聴ありがとうございました」の使い方

一方で、締めのあいさつは口頭で伝えれば十分だとする観点から、スライドは不要という意見もあります。スライドの最後は全体のまとめを掲載し、聴衆へのお礼は口頭で伝えた方が良いという意見です。

受け取る側の文化もあるため、総合的に判断しながら対処する必要があります。

■講演会やセミナー後のお知らせで使用する場合

講演会やセミナー後、参加者にお礼のメールや知らせを送る場合があります。その際も「当日はご清聴ありがとうございました」と書く場合があります。

以下に例としてセミナー参加のお礼を参加者に送付する際のメールを挙げます。

〇〇セミナーご参加のお礼

拝啓 仲秋の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

先日はご多忙にもかかわらず、弊社主催の〇〇セミナーへのご参集とご清聴、誠にありがとうございました。

おかげさまで当初予想を上回る大勢の方のご参加を賜ることができました。今回のセミナーが皆様のご発展に通じれば幸いでございます。

皆様のさらなるご健勝を祈念いたしますとともに、今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

敬具

  • 「ご清聴ありがとうございました」の使い方

    「ご清聴ありがとうございました」は口頭以外でも使えます

「清聴」の類語と「ご清聴ありがとうございました」の類似表現

「清聴」と同様に「聞く・聴く」の敬語表現を紹介します。また、同様の表現として、「見る」「集まる」の敬語表現と使い方もあわせて紹介します。

■「清聴」の類語

「聞く・聴く」の尊敬語は以下の3つがあります。

  • ご清聴
  • お耳に入る
  • お聞きになる

この中で「お耳に入る」は「噂や情報などを聞いている」という意味なので、「ご清聴」とは意味が異なることに注意してください。

  • お聞きになる

「お聞きになる」を使って「お聞きいただきありがとうございました」と使うことができます。この場合「ご清聴ありがとうございました」とほぼ同じ意味で使うことができます。

また「ご清聴」は公的な場で多くの人に聞いてもらったお礼を伝える表現ですが、「お聞きいただきありがとうございました」は目上の人との私的な場でも使うことができます。例えば個人的に相談に乗ってもらった場合に使うことができます。

今日は個人的な話をお聞きいただきありがとうございました。部長からのアドバイスをぜひ参考にさせていただきます

■「見る」

「見る」の尊敬語として以下の3つがあります。

  • ご高覧
  • ご清覧
  • ご覧になる

講演会の資料や動画などを見てもらう時に使うことができます。

  • ご高覧

「高覧」とは、目上の人に「見てもらう」という意味の敬語です。資料を送る場合などに「ご高覧ください」などと書きます。

参考資料を配布いたしましたので、ご高覧ください。
  • ご清覧

「清覧」は手紙文などでよく使われる表現です。「高覧」と同様に使うことができます。

今回、記念文集を発行いたしました。〇〇先生にもご清覧いただければ幸いです

「集まる」

「集まる」の敬語として、以下のものがあります。

  • ご参集
  • お集まりになる
  • お揃いになる

この中から「ご清聴ありがとうございました」と同様、公的な場で大勢の人が集まった場合に用いる「ご参集」の意味を説明します。

  • ご参集

「参集」は、「人が集まる」という意味ですが、「ご参集」と「ご」を付けることによって、敬意を表すことができます。講演会や集会などへの来訪を呼びかけたり、講演会などでのあいさつとして使われたりします。

「本日はご参集いただきまして誠にありがとうございました」は冒頭のあいさつとしても、締めのあいさつとしても使うことができます。

・本日はご参集いただきましてありがとうございます。ただいまより〇〇先生の講演会を始めたいと思います

・本日は皆様のご参集、誠にありがとうございました

  • 「清聴」の類語と「ご清聴ありがとうございました」の類似表現

    「ご清聴ありがとうございました」の代わりに「ご参集ありがとうございました」を使うことができます

英語で「ご清聴ありがとうございました」を伝えよう

ビジネスシーンなどで外国人にプレゼンする機会も増えてきました。詳細な内容は通訳に任せる場合でも、最後の締めとなる言葉は拙くても先方の母国語で伝えてみましょう。

■ Thank you for your attention

英語では簡単に”Thank you”とだけ言って締めることもできますが、丁寧に“Thank you for your attention”“Thank you for listening”、と言うこともできます。

・Thank you for your attention
 (ご清聴ありがとうございました)

・Thank you for listening
 (お聞きくださりありがとうございました)

  • 英語で「ご清聴ありがとうございました」を伝えよう

    相手の母語で話せたら親近感が生まれます

聴衆に感謝を伝える「ご清聴ありがとうございました」をうまく活用しよう

公式の場での講演やプレゼンは、「導入」「中心的な話題」「結び」の3つで構成されます。最も重要なのは「中心的な話題」です。さらにその中心的な話題を短くまとめたものを、「結び」で「まとめ」として伝えなければなりません。

締めのあいさつは、「まとめ」を終えた後、聴いてくださった方々への感謝の言葉で締めくくります。

ビジネスシーンなど公式の場面では「ご清聴ありがとうございました」のような定型文が、締めの言葉として用いられることが多いです。場や聴衆、先方の文化などにあわせて、ふさわしい締めの言葉を選びましょう。