――今回の『仮面ライダーリバイス』では、五十嵐ファミリーを中心にドラマが描かれるとのこと。基本設定を最初に聞いたときは、どんな風に思われましたか。

役が決まってから、過去の「仮面ライダー」シリーズもいくつか観てみましたが、どれも設定が斬新ですよね。『リバイス』にしても、デッドマンズという悪魔崇拝組織がふつうに存在していて、暴れ回っているという。警察は何をやってるんだと思いますが(笑)、そんな突飛な設定こそが「仮面ライダー」の醍醐味だと思って、改めて勉強をしています。

一方で、今回は「家族」がテーマとなっていて、五十嵐家を中心に、どっしりとしたリアルなドラマを盛り込んでいて、ここも面白くなるんだろうなと思いました。家族の描き方については、ぶっとんだ設定だからぶっとんだ芝居をすればいいというわけでもなく、リアリティのある芝居をちゃんとしていきたいですね。

3人の子どもたちを演じる、前田くん、日向(亘)くん、井本(彩花)さん、みんな素直でマジメで、本当にフレッシュな魅力を出しています。まだ役者としての「引き出し」があまりないので、監督に芝居のダメ出しをされたとき、次にどう違った芝居をしたらいいのか、もう必死になってやっているんです。そんな姿を見ていると、胸にグッと来るものがありますよ。

――前田さんたちの演技に対する真摯な取り組み方を見て、若き日のご自身の姿がオーバーラップすることがあったでしょうか。

若いころの自分なんて、何もできませんでした。彼らがいま、現場で体験している状況になったら、僕なんて何もわからず戸惑っていたと思います。そういう意味でも、前田くんたちを尊敬しますし、その真剣さを目の当たりにして、すごく影響されています。

――先輩俳優として、前田さんたちにアドバイスをされることはありますか?

そこが難しいところなんです。僕は彼らの父親よりも年上で、しかも役者の先輩ですから、気軽に演技のアドバイスなんてできないですし、やってはいけないと思うんです。言葉が重みを持ちすぎて、アドバイスではなくて「命令」になってしまうかもしれないですしね。とにかく、みんなは真っ白な状態で作品に取り組んでいるので、僕のやり方を押し付けるようなことは絶対に言いません。もしも僕のやり方を身に着けてしまったら、彼らはブレイクしないと思います(笑)。「俺の後を追うなよ!」とは言っています。

――そこまで若い俳優さんたちのことを心配し、期待を寄せる戸次さんが、あえてアドバイスをされるからこそ、的確に響くのかもしれません。

役者の仕事は、監督の言うことを100パーセント表現することだと思っています。現在の彼らは、それに集中したほうがいい。僕が今の段階で何か言えるのなら、監督のイメージをいかにして演技で表現するのか、それの後押しをする形でのアドバイスになりますね。

――前田さん、日向さん、井本さんも戸次さんにとても信頼を置いているのが、オンライン製作発表を拝見してよくわかりました。

チームワークはすごくいいんですよ。製作会見をご覧になった方はお分かりかと思いますが、みんなでざっくばらんにバカな話ができる間柄です。その延長線上でこれから先、彼らが演技について困ったり悩んだりするとき、僕からはこういうことを言ってあげようと指針が定まったら、もうちょっと踏み込んだ部分についてアドバイスができるのかもしれません。今の段階では、彼らのマジメさ、真摯さを信じて、ただ見守るだけです。

――撮影現場で仮面ライダーリバイやバイスに出会い、どんな感想を持たれましたか。

キャラクターの外見よりも、むしろ「スーツアクター」という仕事にすごく興味があるので、彼らの苦労話を聞くことがとても勉強になっています。やっぱりどうしても「真夏と真冬はキツい」と言われますね。そして「春と秋は最高に体が動きます」とも話していました。スーツが重いから、めちゃめちゃ筋肉がつきますって聞いたときは驚きました。まるで『ドラゴンボール』で亀仙人が悟空に施した修行じゃないかって。「仮面ライダー」は常に、いろんな方々のご苦労によって成り立っているんだなと、改めて実感しました。

――息子の一輝は仮面ライダーになり、大二はフェニックスの隊長の1人としてデッドマンズと戦うようですが、彼らの父親・元太としては今後、どういった行動を見せるのでしょうか。

それは、この場では何も言えません。「言えない」というのがひとつの答えだと思っていただきたいです。『仮面ライダーリバイス』のすべての登場人物には、細かな「設定」が存在します。元太も例外ではありません。ぜひ読者のみなさんは想像力を働かせながら、元太の行動についても注目していてほしいです。

――製作会見の席では、戸次さんも「変身したい!」とおっしゃっていましたね。ぜひ最後に、もし戸次さんが仮面ライダーになれたら……という想定で、全力アピールをお願いします。

元太は怪人が現れても、ただひたすら怖がっているばかりで、とにかく頼りないんです。だから元太も仮面ライダーに変身して、カッコよく戦ってみたいんです。『仮面ライダーリバイス』は一輝、バイス、大二、さくらが敵と戦うのが見どころなのですが、もしかしたら元太がそこに加わって、仮面ライダーに変身するのかな?と思いながらテレビを観てください。もう今から、すごく時間のかかる変身ポーズを考え始めています。現場で披露したら絶対に「長いからもっと短くして」と言われそうなやつを(笑)。変身後のスーツアクターもやります。そこは譲れません!!