JR西日本の新型車両、電気式気動車DEC700形が9日、山陰本線で試運転を行った。下関総合車両所新山口支所に配置されたDEC700形は、今年度末まで各種性能確認試験を実施する予定。山口県内を中心に、県外でも試運転を行うことが報道されていた。

  • 電気式気動車DEC700形が山陰本線で試運転

DEC700形はディーゼルエンジンと発電機の電力により、モーターを駆動して走る電気式気動車として製造され、バッテリーを搭載することでハイブリッド方式への変更も可能な構造に。デザインは中国地域色である黄色をベースカラーとしている。車体側面の五線譜と音符をイメージしたデザインも特徴。「DEC700-1」のみ1両の製造で、各種試験を行うため乗客を乗せる予定はないが、車内には横3列(1列+2列)の転換クロスシートが配置されているという。

さらなる安全性・安定性・快適性の向上、電車・気動車のシステム共通化によるメンテナンス技術の向上と効率化、次世代車両への転換に向けた各種技術的検証の実施を目的に導入され、8月中旬から各種性能確認試験がスタート。9月9日の試運転では、下関駅から山陰本線を走行して県境を越え、島根県内の大田市駅で折り返したと報じられている。16時30分すぎ、DEC700形は浜田駅に到着し、駅北側の車両基地に入った。

  • DEC700形が浜田駅から江津・大田市方面へ

  • 浜田駅に戻ってきたDEC700形。駅北側の車両基地へ

DEC700形で実施する各種性能確認試験のおもなメニューは、新しいシステムを採用する際の技術的検証と車両性能調整を行うための「基本性能試験」(勾配における起動性能の確認、加減速度の確認、新規の車体形状における走行抵抗の確認)、走行線区における地上設備との適合確認を行うための「全線走行試験」(走行安全性と乗り心地の確認、走行時の台車にかかる応力の確認)の2つ。今年度末まで性能確認試験を行った後、次年度以降にバッテリー搭載によるハイブリッド方式についての各種検証試験も行う予定とされている。