ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計86万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

半歩先には、どんな未来が待っている?

7月、20代~30代に一番読まれたのは、『半歩先を読む思考法』(落合陽一、新潮社)でした。

忙しい日々を過ごすなかで、遠い未来に思いを馳せるのは簡単なことではないでしょう。その一方で、コロナ禍において「これから世界はどうなるのだろう」「日常はいつ戻ってくるのだろうか」と、すこし先の未来について考える機会は否応なく増えています。

本書の著者である落合陽一氏は、タイトルにもある「半歩先の未来」について考えることが好きだといいます。半歩先、つまりほんのすこし先にある現実感を持った未来を想定し続けることが、その先の未来へつながると書いています。

本書は、落合氏が2019年1月から2021年3月の2年間にnoteで書き記した文章を編集し、時系列に掲載したもの。SNSで炎上が起こる仕組み、わかりにくいコンテンツと思考の関係、ウィズコロナの社会変化……どれも身近なトピックながら、私たちを自然と「半歩先の未来」へと誘ってくれます。

「半歩先の未来」を担う存在である20代~30代の若者たちに人気を集めたことが頷ける、納得のランクインでした。これから到来する時代の主役として、あなたはどのような未来を創っていきたいでしょうか?本書を手に考えてみていただければと思います。

“レバニラ炒め”と“ニラレバ炒め”、どちらが正しい?

2位は、『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』(深沢真太郎、三笠書房)でした。

ビジネスパーソンの必須スキルともいわれるロジカル・シンキング(論理的思考)。あなたは得意でしょうか? 胸をはって「得意」と言えないあなたには、本書をおすすめします。

本書は、サオリと優斗の会話を中心としたストーリー&クイズ形式で、ロジカル・シンキングの基本をわかりやすく教えてくれる一冊。広告会社に勤めるサオリは、出張帰りに乗った新幹線で、数学を専攻する大学院生、優斗と隣り合わせます。ふとしたことから2人の会話が始まり、サオリは優斗から「論理的に考える」コツを学ぶことに――というストーリーです。

「いつも理詰めで攻めてくる上司に悩んでいる」と打ち明けたサオリに優斗が伝授するのは、反例を挙げる方法。「レバニラ炒めとニラレバ炒め、どちらが正しい?」という議論を使って、わかりやすく説明してくれます。

優斗が教えるのは、帰納法や演繹法を使った考え方から、素早く決めるためのコツ、発想法、問題解決のためのちょっとズルい考え方まで、ビジネスシーンはもちろん、プライベートでもすぐに使えるものばかり。“レバニラ炒め”と“ニラレバ炒め”のように、身近な例を出しながら解説されるので、どんな人でも楽しくスラスラ読めるはずです。

わたしたちはなぜ「苦しい」のか

3位は、『無(最高の状態)』(鈴木祐、クロスメディア・パブリッシング)でした。

動物と人間の違いはどこにあるのでしょうか? きっと多くの違いが思い浮かぶでしょうが、著者は本書で「哺乳類は苦しみをこじらせない」という点に注目します。同じ哺乳類でありながら、なぜ人間だけが「苦しみ」をこじらせるのでしょうか。

答えは、「苦しみ」はわたしたちを守る生存機能として、人類の進化のプロセスで形作られたものだから。人間の祖先が集団生活を始めたとき、周囲の援助を受け、裏切りの可能性を減らすため、「怒り」「不安」「恥」「嫉妬」といった「社会的感情」が生まれたのです。これらの感情がなければ身に迫る危険を察知できず、大事なものを奪い返すこともしなくなり、種の存続が難しくなっていたでしょう。

このように、生存機能は、本来わたしたちを守るべく生まれたものであるはず。しかしその生存機能こそが、我々の苦しみをこじらせる原因、つまり「二の矢」となって突き刺さるのです。

たとえばわたしたちは、貯金が少なくなれば、「このままでは将来の生活はどうなるのか」と不安を募らせるでしょう。「貯金が少なくなったこと=一の矢」は起こってしまった事実ですが、「将来への不安=二の矢」は社会的感情が生み出したものです。最初の悩みが別の悩みを呼び込み、脳内で反復され、苦しみをこじらせているのです。

このように、生き物としての自分のシステムを知っておけば、すこし気持ちがラクになりませんか? さまざまな角度から「自己」を観察できる本書を読むことで、あなたを縛りつけるものから解放され、より穏やかに毎日を送ることができるはずです。

ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう

今回も、現在の自分の姿と向き合い、さらなる成長を遂げようとするビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。

本の要約サービスflierには、他にも、ビジネススキルを磨きたいときや自分とじっくり向き合いたいときに役立つ書籍が多くそろっています。8月のランキングでは、『精神科医が見つけた3つの幸福』(樺沢紫苑、飛鳥新社)や『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』(山口周、大和書房)、『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(畑中翔太、朝日新聞出版)などがベスト10にランクインしました。

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。