肥満は生活習慣病などのリスクが高いことから、コロナ対応でも「基礎疾患」と見なされる健康の敵。見た目の点でも“ぽっこりお腹”を気にしてダイエットを決意する人は多いだろう。ダイエットの王道は食事制限と運動だが、運動は正しく身体を動かさないと期待する効果が得られない。

  • 「股関節の位置」の正しい把握が、ダイエットの第一歩!! / パーソナルトレーナー・柴雅仁

最新のパーソナルトレーニングがSNSで注目を集め、ストレッチの本も数多く出版する柴雅仁先生に、“ぽっこりお腹”に効くインナーマッスルとその動かし方を聞いてみた。

■股関節の位置の正しい把握がダイエットの第一歩

インナーマッスルの中でも特に大事なのが、腸腰筋と呼ばれる筋肉です。腸腰筋が使えないと他のインナーマッスルもほぼ使えなくなり、いくら運動しても“ぽっこりお腹”は解消できません。そもそも下っ腹が出るのは、腸腰筋の動きが悪くなっているからです。

腸腰筋は大まかにいうと、股関節の内側についています。そのため、腸腰筋を動かすのは股関節を使うこととイコールですが、この股関節を使えていない人がけっこう多いです。それどころか、股関節がどこにあるのか、ほとんどの人は正しく認識していません。 股間接の位置はここです。

  • 股関節は足のつけ根の鼠径(そけい)部、正面から見るといわゆるコマネチラインの中央の奥にある

多くの人はお尻の外側の骨が出っ張ったところ、ウェストにある骨盤の骨あたりを股関節と勘違いしています。ここを股関節だと認識して歩いたり走ったりすると、体が外にブレてしまい、動きが歪(いび)つになるだけでなく、膝や腰にも大きな負担をかけてしまいます。

■トレーニングの前に、股関節の位置と動きを知るワークを

正しいトレーニングやダイエットのための運動は、股関節の場所と動かし方をきちんと理解したうえで行わないと、インナーマッスルの腸腰筋を使えず、ほとんど効果が期待できません。まずはトレーニングに入る前の段階として、股関節を意識するワークを行います。

  • 足を腰幅程度に開き、つま先を正面に向けます

  • 股関節の真ん中あたりを触りつつ、その場所を起点にしてお辞儀をします

このとき、内股にならないよう気をつけながら、内腿が伸びているのを感じてください。お辞儀の角度は75度くらい。お尻のふくらみの下あたりを触りながらお辞儀して起き上がる動作を5~10回繰り返します。

■下腹部のトレーニングを毎日続けて、身体も心もポジティブに

股関節の位置と動きを理解したら、続いてみぞおち・背中のワークを行います。みぞおちの奥の背骨にも腸腰筋がついているので、腸腰筋を動かすためのエクササイズです。

  • あぐらを組み、みぞおちと、その反対に位置する背中を手で押さえます

  • 押さえている場所を意識しながら、背骨を前後させたり、肩を左右に傾けたり、肩を入れるようにして捻ったりしましょう。それぞれ3~5回ほど行います

最後は、いよいよ下腹部のトレーニングです。

  • 仰向けになり、両ひざを立てます。両手の指先で股関節の真ん中を触り、肩を下げてわきを締めます。その状態で腰を丸めてから、股関節にある指をはさむように両足を上げます

  • 腰が反らないように注意しながら右足をゆっくり下げてまた戻します

  • 次に左足を下げて戻す。この動作を交互に5回行います

どれも自宅で手軽にできるので、ぜひ毎日続けてください。このセットをワークとして継続したうえで、自分にあった運動を取り入れると、ぽっこりお腹の解消に大きな効果が期待できます。

股関節を上手に使えるようになれば、歩き方がきれいになり背筋も伸びます。心と身体はリンクしているので、気持ちも明るくポジティブになるはずです。