投資をしたいけど、時間がないから自動で運用したい。そんな方におすすめの金融商品がロボアドバイザー(以下、ロボアド)です。

昨年のコロナショック以降の堅調な株式市場を受け、個人投資家の投資活動は加速しており、ロボアドの業界を牽引するWealthNaviの預かり資産残高は5,000億円を超えました。日本の投資家が投資を始めるのにロボアドを利用する動きが広がりつつある中、ロボアドの裾野をさらに広げるべく、多様なニーズの受け皿となるサービスも続々と登場しています。

今回は真っ先に目が行きがちなリターンの比較からは少し離れ、それぞれのロボアドが持つ特徴的な機能にフォーカスしながらサービスを見ていきましょう。

  • 特徴的な機能を持ったサービスが続々登場している(公開情報を参考に筆者作成)

利益が出ているときだけ手数料が発生する『Susten』

資産運用で気になるのはやっぱり手数料。その手数料に完全成果報酬の形式を取り入れたのが「Susten」です。「Susten」は自社で運用する3つの投資信託を通じて世界のあらゆる金融商品に投資をする国際分散型のロボアドであり、かつどんな市場状況でも収益を出すヘッジファンド的な運用を組み入れている点に特徴があります。

独自の運用手法もさることながら、ユーザーの資産が最高評価額を更新した際にしか手数料を徴収しない完全成果報酬型の手数料体系を取り入れているのが特徴的です。ユーザーは利益が出ていない間は手数料がかからず、運用成果に応じて支払う形になっています。

お任せで運用しているとはいえ、手数料を払って資産が減ってしまっていては納得がいかない! という方にとっては、試しに始めやすいサービスではないでしょうか。

  • ※プレスリリースより引用

アドバイス機能が付いた「ザ・ハイブリッド」

続いて、ロボアド×アドバイス機能で新たな価値提供を目指す「ザ・ハイブリッド」について見ていきましょう。

フィデリティ証券が提供する「ザ・ハイブリッド」はネット完結の場合は1万円という低価格からアクティブ運用の商品を組み合わせたお任投資が開始できるのに加え、アドバイス担当付きのコースも用意されています。

アドバイス担当付きの場合はネット完結コースより手数料率が0,55%ほど高くなるほか、開始金額が300万円からと開始のハードルは高くなります。しかし、基本的にはお任せで投資をしつつ、ライフプランの相談や定期的なフォローアップなど、包括的な資産運用の手助けがされる形で運用することができます。

特に運用額が大きくなるにつれ、ただ増やせばよいだけでなく、細かくリスクに目を向け、下落・変動を小さくする運用の重要度も上がってきます。専門家の意見を取り入れつつ、基本的にはお任せで投資をしたいユーザーには向いているサービスと言えるのではないでしょうか。

  • ※プレスリリースより引用

リスクヘッジ機能を搭載した「Wealth Wing」

投資を始めたばかりで特に気になるのが資産の下落。一般的に投資は買いのポジションを持つため、相場が下落してしまえば当然資産は下落してしまいますが、その下落の影響を緩和させる"リスクヘッジ"の機能を搭載しているのが「Wealth Wing」です。

コミュニティ型株取引アプリ「STREAM」などを展開するスマートプラス社が運営する「Wealth Wing」は、日本株指数をベンチマークとし、指数のパフォーマンスを上回る運用成果を目指すアクティブ運用を行うロボアドです。

そこでリスクヘッジ機能では、アクティブ運用を行うお任せ投資に日本株指数の逆の値動きをするインバース型ETFを組み合わせて運用することで、資産の変動が緩和される運用を可能にしています。

  • ※Wealth WingのWebサイトより引用

「スマートヘッジ」と呼ばれるリスクヘッジ機能で選べるヘッジ度合いは3つあり、それを選びさえすれば以降は自動で売買が行われます。ヘッジと聞くと高度な機能に聞こえますが、資産の大きな変動が気になりがちな初心者の方にこそ安心して運用するためにおすすめできる機能と言えます。

また、ESG(環境/Environment 社会/Social ガバナンス/Governance)の配慮が行き届いていない企業には投資をしないようにする「ネガティブスクリーニング」の手法も採用。現在の株式市場では、ESGを意識した企業の株価が明確に上昇するとまでは言える状況になっていませんが、ESGに配慮していないと判断された銘柄は売られるケースも出てきており、投資家からの注目度が高い投資判断材料となっているからです。

「Wealth Wing」は、リスクヘッジの機能で資産運用の中核である経済的利益(リターン)の部分を安定化しつつ、ESG機能で社会貢献的な要素も併せ持った先進的なロボアドと言えるでしょう。

AIが資産配分を提案する「Alpaca ROBO」

これまで出てきたサービスはユーザーが資金を入れるだけで運用をそのままお任せすることができる運用型のロボアドでした。それとは異なり、AIを用いてユーザーに資産配分を提案する助言型のロボアドが「Alpaca ROBO」です。

「Alpaca ROBO」は日本の個別銘柄の買い判断、売り判断やおすすめ銘柄を毎日配信し、ユーザーの売買をサポートします。また時価総額に応じて銘柄を分類し、分散効果の効く適切なポートフォリオ配分も提案されます。

提案を参考に実際の売買判断はユーザー自身で行う必要がありますが、銘柄選びがネックで投資を始められない方にとっては、銘柄がAIを用いた膨大なデータ分析によって導かれるのは大きな後押しとなり得るでしょう。

  • ※プレスリリースより引用

楽しみながらお任せで運用しよう!

付加価値を付けたサービスが増えてきています。

お任せで投資をしつつも、自分なりの楽しみ方をしたい! そのような方にはここで挙げたサービスを試してみてもいいのではないでしょうか。

Finatextグループ アナリスト 菅原良介

1997年生まれ、Z世代のアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科に在学中は「株式投資サークルForward」の代表を務め、大学生対抗IRプレゼンコンテストで準優勝を獲得。2年間の長期インターンを経て、2020年Finatextに入社。現在はFinatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当。コミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターも務める。