ホンダがスーパースポーツ「NSX」の最終モデルとなる「Type S」(タイプS)を発売する。世界で計350台の限定生産モデルで、日本に入ってくるのはそのうち30台。9月2日には購入申し込みの受け付けが始まるが、欲しい人が全員、必ず買えるというわけでもなさそうだ。最後のNSXを買えるのはどんな人なのか、ホンダに聞いてみた。

  • ホンダ「NSX Type S」

    プレミア化は必至? ホンダの「NSX Type S」

転売防止の観点も?

初代「NSX」が誕生したのは1990年のこと。「人間中心のスーパースポーツ」として開発したNSXに対しては、「誰もが乗れるスーパーカーとは、いかがなものか」との批判もあったそうだが、今では世界の名だたるスーパーカーメーカーも「運転しやすい」クルマを作る時代になった。そういう意味では、NSXはスーパーカーの民主化に先鞭をつけた記念碑的なクルマといえる。

  • 初代「NSX」の「Type S」(2004年モデル)

    初代「NSX」の「Type S」(2004年モデル)

2016年8月に登場した2代目「NSX」は、3モーターハイブリッドシステム「SH-AWD」を搭載する電動スーパーカーに生まれ変わった。3.5LのV型6気筒ツインターボエンジンをミッドシップにレイアウトし、クランクシャフトと直結したダイレクトドライブモーター、9速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)、前輪左右を独立した2つのモーターで駆動する「TMU」(ツインモーターユニット)を組み合わせ2代目は、エンジンと電気の力で高次元のレスポンス、加速フィール、ハンドリング性能を実現。今年に入っからも「2020年モデル」が車両本体価格2,420万円で売られていたが、現在は販売終了となっている。

2代目NSXの、そしてNSX自体の集大成ともなるクルマが、日本では2022年7月の発売を予定している限定生産モデル「Type S」だ。

  • ホンダ「NSX Type S」

    この「NSX Type S」が最後のNSXとなる

タイプSは新デザインを採用し、空力や冷却性能が向上している。動力性能にも磨きがかかっていて、最高出力は610PS(2020年モデルは581PS)、最大トルクは667Nm(同646Nm)にパワーアップ。価格は2,794万円だ。

ホンダは2021年9月2日に、全国の「NSX PERFORMANCE DEALER」でType Sの購入申し込みの受け付けを始める。限定生産なので、欲しいと思ったら誰でも手に入れられるクルマではなさそうなType Sだが、どんな人が買えるのか。ホンダの広報によると、販売方法は「先着順」でも「抽選制」でもなく、「年収がいくら以上」であるとか、「免許取得から何年が経過」などといった条件も特に設けてはいないという。抽選や先着順にしなかった理由としては、「転売防止」の観点が多分に含まれているようだ。

  • ホンダ「NSX Type S」

    「タイプS」向けの新色「カーボンマットグレー・メタリック」は69.3万円の特別有料色。全350台のうち70台がこの色となり、日本には10台が入ってくるとのこと。ホンダ初のマットカラーをまとった最後のNSX…これはかなり希少だ

  • ホンダ「NSX Type S」

    インテリアカラーはオーキッド(写真)、レッド、エボニーの3色

どんな人が買えるのかという質問に対しては、「NSXの2020年モデルが欲しかったけど買えなかった人」「NSXの既納客(前に買ったことがある人)」「待ち遠しい思いで待っていた人」などの回答が得られただけだった。かなり抽象的な内容だが、実際の販売方法については販売店とコミュニケーションをとりながら詰めていくとのことだ。

ちなみに、北米向けには300台のType Sを用意するそうだが、すでに完売の見通しが立ちつつあるという。