無理なく心地よく、自分らしく暮らす。長年、芸能界やファッション界で活躍し、そのきっぱりとした生き方や、魅力的なファッション、ライフスタイルが幅広い年代の女性から支持されている辺見えみりさん。自身でブランド展開やショップ経営も手がける辺見さんに、若い人がファッションを楽しむコツや、自分らしい装いにたどりつくために意識しておきたいことなどを語ってもらった。

  • 辺見えみりの"ファッション"に学ぶ。10代、20代は「冒険」を楽しむ

■モテを意識するのもアリ。貪欲に、いろんなファッションに挑戦

10代、20代の頃は、いろんなファッションに挑戦していいと思うんです。若い時にしかできないメイクやモードも絶対あるので、自由にお洒落を楽しまないともったいない。

私もランチを我慢してでもこのバッグやお洋服が欲しい! といったことが頻繁にありました。毎日、素麺をすすって節約したりね(笑)。20代の私にハイブランドが似合うかどうかはともかく、「あこがれのバックが持てた」「この世界に近づけた」とすごく満たされた気持ちでした。

それと若い頃は、男性ウケを意識するのも全然アリでしょう。私もそうで、最初は男の人にモテたくてモテたくて、ふわっとした巻き髪にしてワンピースを着てと、女の子らしい格好ばかりしていました。男の人が「いいな」と思ってくれる女子でいたい、という気持ちも、人生の一時期には大事かなと思います。

私の場合は年齢とともにモテたい思いが薄らぎ、昔から好きな服づくりが仕事になったこともあって、段々と「自分がどんな格好をしたいか」に関心が向くようになりました。

今も覚えているのは、あるハイブランドのブーツ。当時はとても斬新なデザインで、すごくお洒落な人には流行っていたけど、普通の男性は引いてしまう感じの靴です。私も購入するまでさんざん迷いました。

でも「人の目を気にせず、自分がステキと思う装いを堂々とする女性」になりたい、と決心して履いたら全然平気。むしろその靴が嫌じゃない男性が好きだな、と強気になりました(笑)。

■地球にやさしい服を選ぶ、という視点

私が20代の頃は女性らしさを感じる服が主流だったけど、今のファッションはずっと多様化しています。男性の女性に対する服の好みもさまざまです。自由度が増し、情報もたくさん入る時代だから、今の若い子はインスタなんかを見ても充分にお洒落で可愛く、うらやましい限りです。

さすがに真似はできない歳だけど、もし私がいま20代に戻れたら、20代にしかできないメイクやファッションを思いきり満喫するでしょうね。インスタの女王にもなりたいし、TikToKでも踊りたいですね(笑)。

ファッションに関しては、とにかく悔いなく楽しむこと。若い時ならではのパワーをフルに使って、一度しかない20代を冒険してください。

もうひとつ、若い世代が進んでいると感じるのは、環境に対する意識の高さです。サステナビリティとかSDGsといった概念は、私たちの世代よりもずっと浸透していますし、環境問題を身近なこととして捉える感度も高いようです。

洋服づくりをしていると、大量に生産される安価な服はそれだけ捨てられている、一方で長く着られる服はそれに比べて少ない、と実感することがよくあります。

大げさに言うと地球の未来を考えて、質のいい服を大切に着る、あるいは土に還る生地の洋服を選ぶ、といったことは、若い世代のほうが意識的だと思うので、そこは本当に頼もしいですね。ぜひその視点を持ち続けてほしいです。私も服づくりの担い手のひとりとしてがんばります!

■いくつになって装うトキメキを忘れずに

コロナ禍により人と会う機会が少なくなって、がんばってお洒落する気になれない人もいるかもしれません。マスクをしているとせっかくのメイクも映えませんしね。

でもいつ何時、着飾るチャンスが来ないとも限りません。その時になって急にモチベーションを上げるのはなかなか難しいものです。大切なのは「ワクワクする気持ち」を失わないことかな。誰に見せるためでもなく、自分自身が感じるときめきを大切にしてほしいですね。

ネットでお洋服を見たり、時にはひとりでお買い物に出かけたりして、リフレッシュするのもオススメです。私は娘の服を一緒に買いに行くとき、特に何も言わず好きに選ばせていますが、ステキな服に出会うと、それはもう娘が興奮するんですね(笑)。「可愛い!」「今すぐ着て帰りたい! 」とワクワクする様子が微笑ましいし、そういう気持ちってすごく大事だなと思います。

  • ワードローブに必ずあるオーバーオール。上品に見えつつリラックス感のある「大人カジュアル」が着こなしのポイント Ⓒ猪原悠(TRON)

だからやっぱりファッションも自分のため。男性目線を意識して装うのも自分がモテたいからですし、やがて仕事に結婚にと、どう生きるかに真剣に向き合うなかで「こんな女性になりたい」とだんだん自分なりの理想像が固まり、それを表現する装い方もわかってきます。

その時、その時の「好き」を大事にすれば、幾つになってもワクワクするファッションにきっと出会えます。